朝日放送テレビ – Avidリモートソリューションを活用して報道フロアの3密回避を実現!

By in ビデオ

朝日放送テレビ株式会社 社屋

報道フロアの過密を避けながらの報道番組制作を継続

2020年春、世界は未曾有の混乱の中にありました。「新型ウイルス感染症 COVID-19」(以下 新型コロナウイルス)の感染拡大によりあらゆるイベントが中止され、人々は半ば強制的にリモートワークへ移行することになりました。しかし放送業界にとって、これはより一層ハードルの高い作業でした。番組制作に関わる人数が多く、生放送番組のために締め切りを遅らせることができない中で、平時よりもさらに迅速に最新の情報を送ることが要求され、リアルタイムでのコラボレーションが不可欠だからです。

 

朝日放送テレビ株式会社(以下 ABCテレビ)では、新型コロナウイルスへの感染防止へ細心の注意を払いながら、距離を取っての取材やリモートワークなどを続けてきましたが、番組OAを行う報道フロアの3密(密閉・密集・密接)を避けるために課題となっていたのが、VTR制作を行うための編集設備でした。
取材記者とカメラマンは可能な限り2班体制をとるなど、感染防止への取り込みを行ってきましたが、不特定多数の編集マンが操作する編集ブースは、担当者 の固定が 出来ません。そのため編集ブースは、作業が終了するたびにすべてを消毒することが義務になりました。編集ブースの周辺に人が集まる密の状態を避けながら、放送を継続させることが大きな命題となっていました。

 左:株式会社アイネックス ポストプロダクション部 報道編集課 大川 悠哉 氏
右:朝日放送テレビ株式会社 制作技術部  渡辺 雄介氏

操作感を変えず、可能な限り早く

ABCテレビ 制作技術部 渡辺 雄介氏はAvidのリモート編集機能を使ってこの問題を解決出来ないかと考え、Avidとともに検討を進めました。

「報道フロアへの3密を避けるために編集ブースを別の場所へ移動できないか?という問い合わせが来たのが始まりでした。ABCテレビの編集ブースはPCモニター3台、SDIモニター1台、VUメータ等、周辺機器を含めるとかなり大がかりな設備となるため、簡単に設備を動かせません。新型コロナウイルスの影響が収まった際には元の環境に戻すことも念頭におくと、簡単に環境を構築できること、なにより編集の操作性に問題がないこと、この2点が必須要件でした」(渡辺氏)

 

2019年のInterBeeでAvidブースの展示内容を見ていた渡辺氏は、この事態にクラウド編集の仕組みを応用できないかを考えていました。

「クラウド編集は、まさにリモート編集を実現するソリューションになります。ただ実際にはクラウド環境の構築、素材のアップロードなど準備期間、検証作業が必要でした。新型コロナウイルス対応はスピードが求められていましたのでクラウド編集に使われているリモート編集の仕組みだけを適応できないかと思ったのです」(渡辺氏)

 

このとき、Avidでは、新型コロナウイルス対応への社会貢献として、Media Composerへのリモート接続を可能とするCloud VMオプションを期間限定で無償提供していました(※)。そこで、この無償ライセンスを活用し、短時間でリモート環境を構築できないか、検討が開始されました。

「他のやり方を使ってMedia Composerにリモートアクセスすることも試してみたのですが、うまく起動できなかったり、起動できても反応が悪すぎたりして、実用的ではありませんでした。Teradiciを使ったMedia Composerへのアクセスは、デモ機での操作は見ていて、問題ないことはわかっていましたが、実際にABCテレビの環境で使用したらどうなのか、編集マンに触ってもらったときに満足してもらえるものなのかどうか、それだけが心配でした」(渡辺氏)

社内会議室を報道編集ルームに

実際の運用に先立って、リモート接続を行うMedia Composer端末へ無償のVMオプションライセンスを追加、リモート接続用ソフトウェアであるTeradici Cloud Access Software をセットアップしました。これらの設定は、実際にはAvidテクノロジーのパートナーである株式会社レスターコミュニケーションズによって実行されました。

「ライセンスの追加はとても簡単で、Teradiciをセットアップしたら、他にやることは何もありませんでした」(株式会社レスターコミュニケーションズ 技術部門 技術推進部 保守一課 松井 康貴氏)

今回採用したシステム構成図

実際の運用前には、想定よりも厳しい環境でのテストも行われました。

「実際のOA業務を行う前に、ネットワーク環境的には社内リモート環境より厳しい、社外からのVPN接続で編集作業が可能かどうかをテストしたのですが、想像以上にサクサクと編集操作が可能だったので驚きました。これなら社内リモートは間違いなく使えると確信しました」(渡辺氏)

 

会議室を使用したリモート編集

リモート接続の操作性に問題がないことが確認できたら、会議室を編集ブースへ変更します。この作業もとてもシンプルでした。

「社内に確保してもらった会議室を編集ブースに作りかえるべく、用意したのはネットワークと簡易デスクトップPC、PCモニターです。用意したデスクトップPCから社内のMedia Composer端末へリモート接続を行い、実際に編集作業を行う編集マンに試してもらうことになりました」(渡辺氏)

 

実際の編集を担当した、株式会社アイネックス ポストプロダクション部 報道編集課 大川 悠哉氏も、その反応性を体験した一人でした。

「レスポンスの良さに驚きました。いつものMedia Composerと何も変わりません。また、朝から夕方までリモート接続を行っても全く接続が切れたりしません。使っているうちに、リモートであることを忘れてしまうほどでした」(大川氏)

リモート編集中の大川氏

制作量を減らすことなく、より安全な環境に

会議室を使用してのリモート編集は、2020年4月末から運用が始まりました。編集マンとディレクターは出社から報道フロアへ立ち入りをすることなく、会議室へ直行して業務を行い、会議室から直帰します。最大3ブース、日常的に2ブースの編集作業を会議室で行います。

「いつもの編集室へアクセスしているだけなので、編集はもちろん、テロップ入れや送出サーバーへの転送等、これまでやってきたことはすべてそのままできます」(大川氏)

 

「社内インフラにはまったく手を加えていません。アクセスするための手元のマシンにスペックが必要ないのも大きなメリットです」(渡辺氏)

これにより、制作量も維持することができました。

 

「番組中にランキングコーナーがあって、多数のディレクターが担当しています。この担当者が、報道フロアへ出入りすることなく会議室へ出社し、これまでと同じ制作量をカバーできる。3密を避けつつ放送を継続するためにとても理想的でした」(渡辺氏)

リモート編集用に締め切られる編集ブース

未来への現実味

今回、リモート編集での制作が成功裏に実施できたことで、将来への可能性も見えてきました。

 

「今回は、社内環境におけるリモート編集の実施、報道フロアの密を緩和するための緊急対応としてリモート編集を導入しましたが、想像以上に簡単に、追加作業なく環境構築を出来ることが分かりました。もっと早くから取り組んでおけばよかったくらいです」(渡辺氏)

「今回のような事態だけではなく、地震やその他の災害でオフィスに来られなくなることも考えられる。そんなときのために、このようなシステムを準備しておくのは、とても大切なことだと思います」(大川氏)

 

完全な在宅勤務やリモートコラボレーション等への拡張にも意欲的です。

「セキュリティや勤務体系の管理、コミュニケーション等、課題はありますが、これらが整備できれば、完全な在宅編集も現実味を帯びてきました」(渡辺氏)

 

実際、ABCテレビの環境においては、VPNサービスを利用した社外からのアクセス環境化においても十分な編集作業が出来ることが確認できています。

「報道番組は常に追い込み編集作業が発生するので、記者・ディレクターといかにコミュニケーションを取るか、使用注意情報を共有できるかが在宅勤務のカギとなると思いますが、編集環境としては実用可能なことが分かりました。働き方改革への取り組み、新型コロナウイルスの影響による急激なリモートワークの増加など、柔軟な対応が求められる中でAvid社のソリューションをうまく活用しながら、技術としてよい提案が出来ればと思っています」(渡辺氏)

 

 

※現在、提供は終了しています。また、v2020.4以降では、リモートアクセスするためにCloud VMオプションライセンスは必要ありません。

朝日放送テレビ株式会社
(Asahi Television Broadcasting Corporation)
https://www.asahi.co.jp/

Media Composerについて

一流の映画、テレビ、放送局のエディターが使用するツールでストーリー制作を加速します。HDやハイレゾの編集もこれまでになくスピーディかつ簡単に行えます。

ソリューションズ・アーキテクト | ソリューションデザイン・アンド・コンサルティング