Pro Tools | MTRX+Avid S4 導入事例 #29:株式会社IMAGICA SDI Studio

By in Pro Mixing

Installed by    &

国内最大規模のポストプロダクション事業者であるIMAGICA Lab.と、世界最大規模の映像コンテンツ・ローカライズ事業者であるSDI Media Groupの共同出資によって設立された新会社、IMAGICA SDI Studio(東京・築地)。同社は今年2月、浜離宮公園からほど近いビルのワン・フロアに、大規模なダビング・スタジオを開設し、運用を開始しました。映像コンテンツの音響制作に特化した同スタジオは、ブースを完備したダビング・ルーム4部屋(102〜105)と、Dolby Atmos Home Masteringに対応した広大なミックス・ルーム(101)で構成。IMAGICA SDI Studio代表取締役社長の野津仁氏は、「音響制作に関わるあらゆる作業をワン・ストップで遂行できる体制が整っている」と語ります。

 

「2015年4月、SDI Media GroupがIMAGICA GROUPのグループ会社になったのを機に、IMAGICA Lab.とSDI Media Groupのコラボレーションが始まったのですが、それがIMAGICA SDI Studio設立のきっかけになっています。IMAGICA Lab.とSDI Media Group、両社の国内外のお客様から日本語吹替版制作を長らく期待されていたこともあり、日本国内で共同で事業をできないか検討を開始しました。そして2017年初頭、五反田にあるIMAGICA Lab.のMA室を改装してテスト的に業務をスタートし、次のステップとして吹き替えやアフレコに特化したダビング・スタジオを開設することになったというわけです」(野津氏)

IMAGICA SDI Studioのミックス・スタジオ『101』。Dolby Atmos Home Masteringに対応

IMAGICA SDI Studioのダビング・スタジオ『102』。Avid S3が導入されている

IMAGICA SDI Studioのレコーディング・ブースに入って驚くのが、その天井の高さです。約3mという天井高は、モダンなデザインの内装も相まって、オフィス・ビルのワン・フロアにあることを忘れてしまうほど。IMAGICA SDI Studioのミキシング・エンジニアである丸橋亮介氏によれば、ブースの広さに関してはSDI Media Groupの担当者から強いリクエストがあったとのことです。

 

「海外の人たちは、“ブースの響きは要らない、残響は後から加える”というのが基本的な考え方で、SDI Media Groupの担当者からは、“ロビーや共用部は最低限に、ブースの広さをできる限り確保してほしい”という強い要望がありました。確かに、天井が低いブースですと役者さんは窮屈でやりにくいですし、長尺の映画の集合録りでは、ほぼ1日ブースに入らなければならないわけですからね。ですので広さと天井高は、物件選びの重要なポイントでした」(丸橋氏)

 

「SDI Media Groupの担当者は最初、“天井高は3mは欲しい”と言っていたのですが、彼は日本の事情をよく知っているので、内心では3mの天井高は難しいと感じていたと思うんです。ですので十分な天井高を確保できたと知らせたら、すごく喜んでいましたね」(野津氏)

ダビング・スタジオ『102』のレコーディング・ブース。十分な広さと天井高が確保されている

そしてIMAGICA SDI Studioのプロダクションの中核を担うのが、Pro Tools | HDXとPro Tools | MTRXのコンビネーションです。Pro Tools | HDXは、5部屋あるスタジオすべてに導入され、Dolby Atmos Home Masteringに対応したミックス・スタジオには、効果用も含めて2台導入。また、すべてのPro Tools | MTRXには、音場補正用のSPQ Speaker Processing Cardが装着されています。

 

「Pro Tools | MTRXは、とにかく音質が素晴らしいですね。音の劣化がまったく感じられないですし、変な色も付け足されない。非常に満足しています。それとSpeaker Processing Cardも凄く良いですね。Dolby Atmos Home Masteringに対応した『101』は、センター・スピーカーだけスクリーンが被っているのですが、それによって真ん中が若干ロール・オフしてしまうんです。それを補正するには、センター・スピーカーのハイを持ち上げるか、あるいは他のスピーカーのハイを落とすかという選択になるのですが、今回は、SPQ Speaker Processing Cardを使ってプラス方向で補正しました。GenelecのGLMは、スピーカーそのものの鳴りを尊重するマイナス方向の補正なので、必要なプラス・アルファの部分をSPQ Speaker Processing Cardで補ったんです」(丸橋氏)

すべてのスタジオに導入されたPro Tools | MTRX。SPQ Speaker Processing Cardを装着、音場補正もPro Tools | MTRXで行われる

ダビング・スタジオの『103』〜『105』のホスト・コンピューターは新型Mac Pro

モニター・スピーカーは、ダビング・ルームはすべて5.1ch、Dolby Atmos Home Masteringのミックス・ルームは7.1.4chという構成。コントロール・サーフェースは、ダビング・ルームにはS3、ミックス・ルームには16フェーダー/4フットのS4が導入されました。丸橋氏は「作業の規模に関係なく、こういうスタジオにはフェーダーは絶対に必要」と語ります。

 

「ミックス作業では、マウスとキーボードだけではできない操作を求められますから、フェーダーは絶対に必要ですね。キーボードとマウスだけでは時間がかかってしまうような操作がパッとできますし、S4があるお陰で作業フローが簡略化され、分かりやすくなる印象があります。五反田のスタジオではArtist Mixを使っていたんですが、それと比べるとS4のフェーダーは格段に良くなっていますね」(丸橋氏)

ミックス・スタジオのコントロール・サーフェースは、16フェーダーのS4

ミックス・スタジオの『101』は、Dolby Atmos Home Masteringに対応しているのが大きな特徴

東京に誕生したワールドクラスのダビング・スタジオ、IMAGICA SDI Studio。今後はIMAGICA Lab.が長年培ってきた映像事業のノウハウと、SDI Media Groupが持つグローバルなネットワークを活かし、ユーザーのニーズに即した高品位な音響制作サービスを提供していくとのことです。

 

「これだけの規模の音専門のスタジオをゼロから造ったのは、IMAGICA GROUPの長い歴史の中でも初めてのことになります。既に多くの方々に作業でのお立合いやスタジオ見学で見ていただきましたが、非常に高い評価をいただきました。国内には他にもダビング・スタジオはありますが、このスタジオはIMAGICA Lab.とSDI Media Groupが共同でデザインしたので、国内のお客様の要望と海外のお客様の要望の両方に応えられる設備になっている。これはIMAGICA SDI Studioの大きな特色なのではないかと思っています。最先端の設備と洗練されたワークフロー、経験豊富なスタッフによって、最高品質の音響制作サービスを提供していきたいですね」(野津氏)

写真手前右から、株式会社IMAGICA SDI Studio代表取締役社長の野津仁氏、同社のオペレーション・マネージャーである遠山正氏、同社のミキシング・エンジニアである丸橋亮介氏、同社のチーフ・プロデューサーである浦郷洋氏。 写真奥右から、株式会社フォトロンの鎌倉大氏、株式会社メディア・インテグレーション ROCK ON PROの岡田詞朗氏、2人挟んで同じくROCK ON PROの沢口耕太氏

株式会社IMAGICA SDI Studio

https://www.imagicasdistudio.co.jp/

Pro Tools | MTRX

新たなレベルの再現性と柔軟性を実現