札幌テレビ放送 – Avidクラウドソリューションで日本初の「クラウド編集から当日オンエア」を実現

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北海道日本ハムファイターズ・沖縄キャンプ・オープン戦クラウド編集

未来のワークフローを現実に

毎年、各地で行われるプロ野球の春季キャンプは、チームの地元放送局にとって絶好の取材対象となりますが、頭を悩ませる問題でもあります。キャンプ地までの距離的な制約により、通常の編集ワークフローでは対応しにくいばかりか、スタッフの移動に伴う経済的な問題もあるからです。

札幌テレビ放送株式会社にとっても、それは大きな問題でした。地元チームである日本ハムファイターズは、毎年沖縄県名護市でキャンプを行います。北海道―沖縄の距離的なハンデを克服し、最新の情報を視聴者に届けなければなりません。

札幌テレビ放送 制作技術部の山内 健太氏は、クラウド編集がこれらの課題を解決する可能性を秘めていると考えていました。そこで、名護キャンプ取材での運用を想定した、検証プロジェクトを発案しました。

札幌テレビ放送 制作技術部:山内 健太氏

「クラウドストレージとクラウドアプリケーションを利用して、名護キャンプの映像素材を札幌本社にて共有・編集し、オンエアすることができたら、エディターが現地・名護入りする必要がなくなり、移動・宿泊・人件費の削減に寄与し、現地システムも簡略化できる可能性があると考えました」(山内氏)

 

編集環境をクラウドに移行する。2019年のNAB ShowでAvidの展示内容を見て、山内氏はクラウドソリューションの可能性を考えていました。

「NAB Showを視察して、Avidのクラウドソリューションに将来性を感じました。オンプレでは他メーカーのアプリケーションを使用しており、エディターにとっては不慣れな環境となりますが、システムとしてそれ以上の優位性があると判断し、まずは本社にてデモを依頼させていただきました」(山内氏)

 

このデモによりクラウド環境においてMedia Composerの優位性を確認し、実運用に耐えうると想定できたのです。

「即座に名護キャンプでの検証をAvidに依頼しました。漠然としたイメージであったものがハッキリと実用可能なフェーズに入っていると確信し、明確な運用イメージを持つことができました。」(山内氏)

 

そこからは未来の編集ワークフローをイメージから現実のものにするだけでした。

札幌~名護 2,184 kmをクラウド編集でつなぐ

「従来はデスクトップとノートの編集機をそれぞれ一台ずつと、モニターやストレージ等の機材をすべて名護に持ち込み、セットアップしていました。もちろんエディター自身もです」(波多野氏)

 

「一度エディターがキャンプに入ると、二週間は不在になります。もし事情が変わってエディターを交代しなければならなくなると、札幌から名護まで行くだけで丸一日かかってしまい、その間のエディターのシフトも考えなければならない。これが解消できるなら、試す価値があると思いました」(波多野氏)

札幌本社側担当 報道局報道部 編集デスク:波多野 正尚 氏 (右)・同 編集:有元 謙一朗 氏(左)

「沖縄がここにあるかのように編集できたのは印象的でした」

実際の運用に先立ち、Microsoft Azure上に仮想マシンとしてのAvid Media Composer | Cloud Remoteと、同じく仮想的なNEXISであるAvid Cloud Storageを設定しました。

名護の球場にアップロード用のPC、札幌の編集室に編集用のPCを起き、それぞれを通常のインターネット公衆回線に接続、Microsoft Azure上に設定したMedia ComposerとNEXISにアクセスできるようにします。

「この環境なら、アップされた素材に順次アクセスすればいい。編集のためにダウンロードを待つ必要はありません」(波多野氏)

ディレクターは名護の球場にいます。このため、札幌の編集画面を名護に画面共有し、さらに音声も同時に送ることで、画面を見ながらリアルタイムに指示を送ることができます。

札幌の編集室

「沖縄がここにあるかのように編集できたのは印象的でした」(有元氏)

「札幌にいながらにして現地のディレクターとコミュニケーションしながらできる。未来を感じました」(波多野氏)

 

名護の球場で撮影されたAVCHD素材は、ある程度素材が集まった時点で、ブラウザベースのFileCatalystを使って、記録用メディアからクラウド上のAvid Cloud Storageにアップロードされます。素材がアップロードされたら、Teradici PCoIP Software Clientを使って、札幌の編集室からクラウド上のAvid Media Composer | Cloud Remoteにアクセスし、アップロードされた素材を編集します。必要なテロップ素材や音楽素材等は札幌で準備し、これもFileCatalystで、同じAvid Cloud Storageへアップロードします。

 

「転送の速さには驚きました。これまで使っていたシステムの10倍近い速さを記録することもありました」(山内氏)

編集が完成したら、クラウド上にエクスポートし、FileCatalystでダウンロードします。これがXDCAM納品用の完パケファイルとなります。

 

「スポーツの編集では力を発揮できるでしょうね。ナレーション、スーパーに関してはオンプレのほうが時間的には早いかもしれませんが、少なくとも白完までなら、差を感じません」(波多野氏)

名護のプレスセンター

「期待以上でした」

エディターの有元氏にとっても、これは新たなチャレンジでした。普段は違う編集システムを使用している有元氏にとって、Media Composerを使うのはこれが初めてでした。準備を始めたのは、本番の4日前でした。

 

「以前の癖があったので、最初は多少とまどいがありましたが、覚えやすいし、編集機の基本としては違いを感じませんでした。これまでと同じことはすべてできるとわかったので、問題はありませんでした」(有元氏)

 

当初の予定では、完パケ作成のためのテロップ入れとナレーションのパンチインは別のシステムを使うことにしていましたが、作業が順調だったため、テロップ入れまでMedia Composerで行うことになりました。こうして、日本初のクラウド編集による完パケ作品は、その数時間後の夜、無事にオンエアされました。

 

「ナレーションはどうしてもリアルタイムで録音したかったので、オンプレで行いました。でも、テロップ入れはクラウドで行えた。ディレクターに完成形に近い状態でリアルタイムで確認してもらえたのは大きかったです」(波多野氏)

「ナレーション以外はすべてできた。期待以上でした」(有元氏)

 

「日本初のクラウド編集による地上波オンエアを実現することができました。機材のスペックや場所の制約を受けない編集システムとして、今後徐々に普及していくものと考えます。ディレクターからもブラッシュアップは必要だがストレスなく番組制作できたと感想をもらえました」(山内氏)

 

今回のAvidクラウドソリューションの使用により、札幌テレビ放送の今後のワークフローにも変化が起きそうです。

 

「最も理想的なワークフローは、やはりディレクターとエディターが肩を並べて編集する環境になります。ただ今回の検証により、名護のディレクターと札幌のエディターがあたかも同一空間にいるようなワークフローをAvidのクラウドソリューションによって実現することができました」(山内氏)

 

「課題もありますが、今後のさらなる発展によりテレビの制作が変わるかもしれない。みんなが一ヶ所に集まって編集する時代は終わるかもしれないですね。」(波多野氏)

 

STV 札幌テレビ放送株式会社
(STV The Sapporo Television Broadcasting Co.,Ltd.)
https://www.stv.jp/

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