Avid NEXISの機能を活用した、 共有サーバー運用が「意識改革」を生む

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Avid NEXIS導入事例レポート:ベイコミュニケーションズ

ファイルベース化は、システムを入れただけでは機能しない――。この当たり前の事実を教えてくれたのが、大阪・兵庫地域のケーブルテレビ事業者(株)ベイ・コミュニケーションズ(ベイコム)である。新たにリアルタイムメディアストレージ「Avid NEXIS」を導入、本格的な共有サーバーの活用とファイルベース運用を開始した経験から、あらためて気づくことができる。2011年のファイルベースシステム化以降、そのメリットを十二分に生かしきれていなかった同社のワークフローを一変させたAvid NEXISの機能と活用を取材した。(レポート:高瀬徹朗・月刊ニューメディア)

ベイコミュニケーションズ

導入して6カ月のAvid NEXISは業務フローを刷新したというベイ・コミュニケーションズ コンテンツ営業部主任・山岸祐一氏(右)と導入を支援した伊藤忠ケーブルシステム(株) ネットワークソリューション本部CATV・ネットワーク営業部放送システムグループ大阪営業所・源谷直哉氏

システム更新情報の課題は「速度」と「容量」の2つだった

ベイコムが今回導入したAvid NEXISは、バックアップシャーシを含め8式。それらを用途別に2つのアイランドに分け、4式(物理容量80TB相当)をオリジナル番組制作関連に、3式(同60TB)を調達番組などの放送管理側に割り当てて運用している。

システム更新のポイントは「速度の改善」と「容量の確保」。「これまでのシステムでは、自主制作と放送管理が共通で共有サーバー(Grass Valley K2)を使ってきましたが、編集機(EDIUS)を立ち上げた段階からタイムラインの操作スピードが遅く使いづらい。また、容量24TBは共有サーバーとして運用できる十分な容量ではありませんでした」(ベイ・コミュニケーションズ コンテンツ営業部主任・山岸祐一氏)。

結果、ベイコムは本格的な共有サーバーの運用を諦め、個々の担当者が外付けHDDを使って編集作業した後に共有サーバーへ移すという、コスト面も含めて本来の狙いとはかけ離れた運用を続けてきた。HDDの安全性を含め安定したシステムとは言えず、今回の更新で「今度こそ、サーバーで完結する仕組みを導入したい」(山岸氏)と考えたわけだ。

「共有サーバーに関する事情はうかがっていたので、まずは速度面で確実にコミットすることが重要。いわゆるNASを採用する手もありましたが、速度にブレが生じる恐れがあったため、速度を担保できる『Avid NEXIS』を提案しました」(伊藤忠ケーブルシステム(株) ネットワークソリューション本部CATV・ネットワーク営業部放送システムグループ大阪営業所・源谷直哉氏)。

ベイコミュニケーションズ システム構成図

システム構成図

使い慣れているEDIUSは必須の条件

今回の更新では、EDIUS 8を9式導入しており、これらはすべてオリジナル番組制作側で運用。この9式、そして導入済みのEDIUS 6を3式(放送管理側で運用)が、それぞれのアイランドで全端末稼働しても速度が落ちないことが大前提となる中で、Avid NEXISはその期待に十分応える性能と評価された。

「K2で運用していたときのような速度面のストレスは現状、報告としてあがってきていません。Avidのサーバーを導入しても使い慣れたEDIUSを採用するというのは絶対だったので、とてもありがたい提案でした」(山岸氏)。

 

容量の上限を定めて現場スタッフの意識改革を促す

 

もう一つの課題だった「容量の確保」は、Avid NEXISの機能性とともに、山岸氏を中心とした「ベイコム側のアイディアと努力」によって解消された。

導入したAvid NEXISの物理総容量は140TB、実効容量112TBと数値的にも更新前を大きく上回るが、共有サーバーとして本格的に運用するためには「運用側の工夫と意識改革が求められる」(源谷氏)という。

では、ベイコムの意識改革はどのようにおこなわれたのか。更新に向けた検討を行う中で、山岸氏はAvid NEXISが持つ「ワークスペースごとの容量管理」機能に着目。ベイコムが扱う番組などのファイルを16のフォルダに分類し、それぞれに容量上限を用いることで各担当者が責任をもってサーバー容量を確保する、という運用体制を打ち出した。
例えば、あるスタジオで収録する4番組を「スタジオ①フォルダ」とし、そこの上限を5TBに設定。そのフォルダに属する4番組は合計で5TB以上のサーバー容量を使うことができず、上限を越えないよう注意して共有サーバーを使わなければならない。

「以前のシステムでは物理容量自体の制限もありましたが、それ以上に考えるべきと感じたのが『個々の意識』。残せるファイルは4週分までと定めていても、それぞれの思い入れだったり作業の順序だったり削除の作業を怠ったりと、さまざまな事情で『とりあえずファイルを(共有サーバーに)残しておこう』という運用が目立ちました」。

ワークスペースの容量上限は、過去のHDD利用実態を含め細かく調べた山岸氏が「適量」として定めたもの。当然、上限設定ができる機能、容量の状態を一目で把握できる管理機能といったAvid NEXISそのものの性能もあるが、山岸氏のアイディアと熱意、それに従って適切な共有サーバー利用に取り組む各番組担当者たちの努力がなければ「理想的なファイルベースワークフローの構築」はなしえない、ということだろう。

Avid NEXISのワークスペースごとに容量管理機能に注目

Avid NEXISのワークスペースごとに容量管理機能に注目

容量管理の棒グラフ表示で 一目瞭然

容量管理の棒グラフ表示で 一目瞭然

ファイルベースワークフローの理想形に

現在、ベイコムが制作しているオリジナル番組数は20番組以上。阪神電鉄が筆頭株主であることも含め、関西の人気球団・阪神タイガース関連のコンテンツなど人気番組も多い。

今回の設備更新に伴うファイルベースシステムの本格運用化は、ベイコムのワークフロー改善において大きな意味を持つとともに「他のケーブルテレビ事業者が参考にして欲しいほど、理想的な共有サーバー活用の形」と言える。

「ご要望のあった速度面の改善を大前提として設備を提案してきましたが、結果的にワークフロー全体において大きな改善が見られるようになったのは、山岸さんをはじめベイコム側が高い意識を持って取り組んでくれたから。我々としても、こうした事例が生まれたことをありがたく思う」(源谷氏)。

結果として容量上限を気にしながら運用することになった現場スタッフの声はどうか。「現状、みんなきっちり守ってくれていますし、上限の拡大を含めた個々の要望もあがってきていません。共有サーバーは皆で使うもの、という意識が浸透してきたのかもしれません」(山岸氏)。

 

共有サーバーでの役目を終えたコンテンツはLTOに移して管理されるが、こうした作業を現場スタッフそれぞれがしっかり、定期的に行うことが共有サーバー運用の鍵。それをしっかり守ることが、効率的なワークフローへとつながっている。

一つ目の課題であった速度面が改善され、共有サーバー運用も「意識改革」によって実現された。「現時点で、これらが『よりよい番組作り』に反映されているかどうかはわかりませんが、この先、例えば番組への字幕付与などを含め、より多くのサービスを展開できる土壌になっていけば、と思います」(山岸氏)。

ワークフローの改善はサービス向上につながる。現時点でもAvid NEXIS導入事例の理想形と評価されるベイコムのケースは、さらなる飛躍の可能性を秘めている。
(月刊ニューメディア 2018年5月号掲載)

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