Avid S6導入事例 #22: 株式会社サウンドインスタジオ

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2019年、開業40周年を迎えた日本を代表する商用スタジオの一つ、株式会社サウンドインスタジオ(東京・市ヶ谷)。同社は現在、レコーディング・スタジオを5室、MAスタジオを4室開設し、クライアントの多様なニーズに応えていますが、中でも5.1ch対応のスタジオとして人気が高いのが『F STUDIO』です。青を基調としたスタイリッシュな内装が特徴的な『F STUDIO』は、昭和から平成に元号が変わった1989年、同社の4番目のスタジオとしてオープン。2004年のリニューアル時に5.1chのスピーカー・システムが常設され、国内のレコーディング・スタジオとしては初めてICON D-Controlが導入されました。同社スタジオグループ部長の河野洋一氏は、「弊社のスタジオの中ではPro Toolsミックスに完全移行した最初の部屋で、セッション・ファイルを開けばすべてが再現されるというのは非常に画期的だったのですが、最初は営業的に苦労しましたね」と開設当時のことを振り返ります。

 

「あの頃はまだコンソールでミックスするのが一般的でしたから、他に先駆けてPro Toolsミックスに完全移行したチャレンジングなスタジオでした。なので最初は敬遠されたりもしたのですが、“音が良い”とクライアントの間で徐々に評判になっていったんです。演歌を数多く手がけられているベテラン・エンジニアがいらっしゃるんですが、その方はリコール性の高さを評価してくださり、毎回“『F STUDIO』でやりたい”と指定してくださるようになりましたね」(河野氏)

サウンドインスタジオの『F STUDIO』(東京・市ヶ谷)

そして先頃、同社は『F STUDIO』を約15年ぶりにリニューアル。国内の商用レコーディング・スタジオとしては初めて、S6を導入しました。同社ファシリティマネジメントグループ部長の大槻博也氏は『F STUDIO』をリニューアルするにあたり、Pro Toolsスタジオのコンソールの必要性をあらためて検討したと語ります。

 

「モニターとコミュニケーション系さえしっかりしていれば仕事ができてしまいますから、Pro Toolsスタジオに本当にコンソールが必要なのか熟考しました。実際、弊社のエンジニアからも、“もうコンソールは要らないんじゃないか”という意見もありましたしね。しかし商用スタジオとして、見た目が貧弱になってしまうのはどうかと思い、最終的にS6を導入することにしたんです」(大槻氏)

『F STUDIO』に導入されたS6。24フェーダー/5ノブ仕様のM40

『F STUDIO』に導入されたS6は、24フェーダー/5ノブのM40で、サラウンド・パンナーは使用しないときのことを考慮してフレームには内蔵せず、単体ハードウェアのJL Cooper AXOSが導入されています。Producer’s Deskには、レコーディング用の自社製アナログ・フェーダーが埋め込まれ、これはICON D-Control時代から使用しているユニットとのこと。システムの中心となるのはPro Tools | HDXで、2枚のHDXカードはSonnet Technologies製シャーシに装着されています。

 

「導入前にスタッフを連れてAvidのショー・ルームに見学に行ったのですが、若手を中心に32フェーダーも要らないという意見が多かったので、24フェーダーにしました。ノブに関しては、あまりプラグインを操作することはなく、AUXのセンドとして使うケースがほとんどなので、5ノブあれば十分だろうという判断です。レイアウトは最初、フェーダーをまとめてマスター・モジュールを端に寄せた方が、“卓”としてちゃんと使ってもらえるかなと思ったんですが、最終的に以前のICON D-Controlのレイアウトを踏襲することにしました。S6は各セクションがモジュール化されているので、後からレイアウトを組み替えることもできますしね」(河野氏)

Producer’s Deskには、レコーディングに欠かせないアナログ・フェーダー・ユニットを内蔵

また、S6と同時にPro Tools | MTRXも導入され、タックシステム VMC-102と組み合わせてモニター・コントローラーとしても使用。Pro Tools | MTRXは、アナログ16ch入力/24ch出力という仕様で、デュアルMADI I/Oカードも装着されています。

 

「MAスタジオの場合、Pro Toolsのセッション・フォーマットは、ほぼ48kHzだと思うんですが、レコーディング・スタジオはセッションによってサンプル・レートが違うんです。96kHzのときもありますし、編成が少ない場合は192kHzという場合もある。今回、Pro Tools | MTRXとVMC-102を導入したことによって、どんなサンプル・レートにも対応できるようになりました」(河野氏)

S6と同時に導入されたPro Tools | MTRX

通常、メインのオーディオ・インターフェースとして使用されることが多いPro Tools | MTRXですが、サウンドインスタジオではコミュニケーション系やVUメーターなどもすべて、Pro Tools | MTRXとダイレクトに接続されています。

 

「VUメーター用には別のAD/DAコンバーターを用意するケースが多いと思うのですが、今回はすべての入出力をPro Tools | MTRXに集約させました。トークバックやコミュニケーション系の音質にもこだわるお客様が多いですし、別のAD/DAコンバーターを用意してもチャンネルを持て余してしまいますからね。クロック・マスターとなっているのもPro Tools | MTRXで、従ってこのスタジオでは純粋なPro Tools | MTRXの音が鳴っていることになります」(大槻氏)

モニター・コントローラーとして導入されたタックシステム VMC-102

S6とPro Tools | MTRXの導入によって、あらゆるワークフローに柔軟に対応する現代的なスタジオとして生まれ変わった『F STUDIO』。河野氏は、S6の優れた操作性とPro Tools | MTRXの高音質を高く評価しています。

 

「S6は、フェーダーのレスポンスも良く、ディスプレイの文字は小さくなったんですが、クッキリ表示されて凄く見やすくなった感じがします。細かい情報が様々な場所に表示されるので、使っていて自然とノブやボタンに手が伸びる。ICON D-Controlよりもかなり進化している印象です。また、Pro Tools | MTRXも評判どおり、かなり解像度が高いですね。音の抜けが良いですし、何よりサンプル・レートの違いが分かりやすい。96kHzと192kHzの違いも明確に分かるようになりました。凄いオーディオ・インターフェースだなと思います。今回のリニューアルで我々が目指したのは、とにかく音が良いスタジオだったんですが、それは見事に実現できたのではないかと非常に満足していますね」(河野氏)

写真右から、株式会社サウンドインスタジオ ファシリティマネジメントグループ部長の大槻博也氏、スタジオグループ部長の河野洋一氏、タックシステム株式会社の益子友成氏

株式会社サウンドインスタジオ(SOUND INN STUDIOS INC.)
http://www.sound-inn.com/
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Avid S6

S6は、モジュール式設計であり、構成されたシステムを選択するか、または独自のシステムを構築することが可能です。