Avid S6導入事例 #27:株式会社松竹映像センター

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映画やテレビ番組をはじめとする映像コンテンツの編集、ダビング、MA、字幕制作業務を手がける日本有数のポストプロダクション・カンパニー、株式会社松竹映像センター(東京・台場)。同社は先頃、ダビングステージの全面リニューアルを実施し、大船撮影所時代から10年以上運用してきたSystem 5をAvid S6に更新しました。導入されたS6は国内最大規模の構成で、フロントエンドとなるPro Tools | MTRXも4台設置。これからの10年を見据えた非常にパワフルなシステムが構築されています。松竹映像センター ポストプロダクション部の吉田優貴氏は、新しいコンソールにS6を導入した理由について、「他のスタジオとの互換性を考慮して選定した」と語ります。

 

「新しいコンソールに関しては、System 5のサポートが終了した4年くらい前から検討を始めました。もちろん、今回もDSPコンソールを導入するという選択肢はあったのですが、この業界の世界的な流れとして、ミキシング・システムはどんどんコンパクトになっているんです。大規模なシステムだけではなく、仕込み部屋などでも手直しができる汎用性も求められている。そう考えると、DSPコンソールではなく、自ずとS6という選択になりました。また、隣りのADRルームではS3、上階のMAルームではS6を使用しているので、ダビングステージにもS6を導入して、社内のスタジオすべてに互換性を持たせた方が、会社全体としてメリットが大きいのではないかということも考えました」(吉田氏)

東京・台場の松竹映像センターのダビングステージ。国内最大規模となるデュアル・ヘッド/72フェーダーのS6を導入

ダビングステージの新しい顔となるS6は、デュアル・ヘッド/72フェーダーという大規模な構成。マスター・モジュールを2台組み合わせたデュアル・ヘッド仕様のS6は、松竹映像センターが日本初の導入事例となります。

 

「マスター・モジュールを2台搭載したデュアル・ヘッド仕様にすることは、最初の段階で決めていました。S6のマスター・モジュールはかなり優秀なので、複数のオペレーターで作業すると、いつも奪い合いになってしまうんです(笑)。フェーダー数に関しては、System 5の時代に”56フェーダーでは足りない”という意見があったので、他のスタッフとも話して、72フェーダーにすることにしました」(吉田氏)

複数のオペレーターが並んで作業することを考慮し、デュアルヘッド仕様にしたとのこと

松竹映像センター ポストプロダクション部の深井康之氏は、デュアル・ヘッドの操作性は想像以上に良く、非常に満足していると語ります。

 

「映画のミックスでは、録音技師さんと効果さんが並んで作業を行うわけですが、双方がそれぞれのマスター・モジュールを自由に使用できるため、非常に利便性が高いですね。先日の作業でも、録音技師さんと効果さんがマスター・モジュールを使ってパン、フィルター、ダイナミクス、それとレイアウトを自由に切り替えて、とてもスムーズに進行することができました」(深井氏)

 

そして松竹映像センターのS6の大きな特徴と言えるのが、モジュールを簡単に入れ替えられるようになっている点です。すべてがモジュール化されたS6の設計を活かし、作業内容に合わせて、各モジュールのレイアウトを自由に変更できるようになっています。

 

「System 5時代から、作業内容に合わせてモジュールを組み替えるということをやっていたので、そのフレキシビリティはS6でも踏襲したいと思ったんです。それを実現するために導入したのが、イギリスのFrozen Fish Designという会社のアタッチメントで、それによって各モジュールの入れ替えが簡単に行えるようになっています。そのアタッチメントは、System 5とS6を組み合わせたハイブリッド・システムを組むためのもので、ここでは以前のSystem 5のフレームを生かし、その上にS6のモジュールを設置してあるんですよ」(吉田氏)

S6の各モジュールは、Frozen Fish Design製のアタッチメントの上に設置してあり、簡単に組み替えられるようになっている

Pro Tools | HDXは、再生用として4台(台詞用、音楽用、効果用、フォーリー用)、ミキサー用として2台、ダバー用として1台を併用するダビングステージならではの大規模な構成。台詞用、音楽用、フォーリー用はHDXカード2枚、効果用と2台のミキサー用はHDXカード3枚のシステムで、オーディオ・インターフェースに関しては再生用はHD MADI、ミキサー用とダバー用はDigiLink接続のPro Tools | MTRXが使用されています。

 

「システムはコンパクトになっているんですが、逆にPro Toolsのセッションはどんどん膨張していっているんです。昔はアウトボードやコンソールを使ってやっていた処理を、すべてPro Tools上で行うようになり、音を重ねて作り込んでいくと、どうしてもトラック数や増えてしまう。なので今回、すべてマシンでHDXカードを増設し、ミキサー用には4枚目のHDXカードも用意してあります」(吉田氏)

 

「Pro Tools | MTRXは、ミキサー用に2台、ダバー用に1台、モニター・コントロール用に1台、計4台導入しました。モニター・コントロール用のPro Tools | MTRXは、2台のミキサー用Pro Toolsの出力をサミングする役割も担っていて、これが以前のSystem 5のDSP部分の代わりになっています」(深井氏)

マシン・ルームに設置されたPro Tools | MTRXと新型Mac Pro

ビデオ・インターフェースは、Artist | DNxIOが使用されている

2020年2月1日から本格運用を開始したという松竹映像センターの新しいダビングステージ。音質と操作性はもとより、以前と比べると柔軟性が格段に向上したと語ります。

 

「S6とProTools | MTRXのシステムに変わり、既に多くの映画を仕上げてきましたが、クライアントの要望に合わせて柔軟に対応できるところが気に入っています。この柔軟性の高さは、S6とPro Tools | MTRXの組み合わせだからこそで、いくらでもカスタマイズができるPro Tools | MTRXは本当に素晴らしいですね。ここまで融通が利くオーディオ・インターフェースは他にはないと思いますし、できないことはないと言ってもいいと思います。S6に関しては、ディスプレイ・モジュールに波形が表示されるのが良いですね。これまでは録音技師さんが来られたときは、音楽のきっかけを掴んでもらうためにディスプレイを1台つぶしてPro Toolsの音楽のトラックを表示させたりしていたんですけど、その必要がなくなりました」(深井氏)

 

「S6に関しては、MAルームで既に使用していたわけですが、このコンソールの一番の目玉はディスプレイ・モジュールの波形表示だと思っています。ミックス中に脇のPro Toolsの画面を見なくても、正面を向いたままできっかけが掴めるというのは本当に素晴らしい。途中で波形を編集しても、リアルタイムに反映されますからね。あとは複数のDAWをシームレスに扱えるのもいいですね。フェーダー1本単位で、DAWの指定のトラックを割り振ることができる。これだけの台数のPro Toolsがあると本当に便利ですね」(吉田氏)

写真向かって左から、株式会社松竹映像センターの吉田優貴氏、深井康之氏、株式会社メディア・インテグレーション ROCK ON PROの前田洋介氏

株式会社松竹映像センター

https://www.shochiku-mediaworx.jp/

Avid S6

S6は、モジュール式設計であり、構成されたシステムを選択するか、または独自のシステムを構築することが可能です。