Avid S6導入事例 #30:テレビ愛知株式会社

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テレビ愛知株式会社(愛知県名古屋市)は、愛知県を放送エリアとしているテレビ東京系列の放送局です。開局は1983年のことで、経済・情報番組をはじめ、地元に根付いたオリジナル番組の制作に取り組んでいます。2020年3月には、名古屋に本社を置く他の放送局と共同で、動画配信サービス『Locipo(ロキポ)』を立ち上げ、大きな話題になりました。

 

そんなテレビ愛知は今春、本社社屋内にあるMA室の全面改修を実施。機材を入れ替えるだけでなく、ルーム・アコースティックや内装にも手を入れ、これからの10年を見据えた新しいMA室にリニューアルしました。テレビ愛知 デジタルネットワーク局 技術部の水野正基氏は、「とにかく“快適に作業できる空間”、これが今回のリニューアルのコンセプトでした」と語ります。

 

「以前のコンソールは部屋のサイズと比べると大きく、その奥にはモニター棚も設置してあったため、部屋全体が少々窮屈で、居心地があまり良いとは言えなかったんです。真正面にはセンター・スピーカーがあったので、Pro Toolsのモニター・ディスプレイの位置が高く、長時間作業していると首が痛くなってしまったり……。ですので今回のリニューアルでは、オペレーターが快適に作業ができる空間を目指し、コンセプトを練っていきました。快適な作業空間を実現するために行ったことの一つが、ステレオへの回帰です。この10年、サラウンド・コンテンツの制作実績がほぼ無かったので、思い切って5.1chをやめてステレオに特化し、空間を有効活用することにしたんです。また、スポットと蛍光灯しかなかったスタジオ内の照明を、部屋を広く見せるために間接照明を入れて、雰囲気も良くしました」(水野氏)

テレビ愛知株式会社(愛知県名古屋市)の新生MA室

そして新しいMA室のワークフローの中心として導入されたのが、Avid S6です。以前のコンソールは32フェーダーのICON D-Control ESシステムでしたが、今回の更新では少しコンパクトに、24フェーダーのシステムが導入されました。テレビ愛知のグループ会社、アイプロ技術部長の牟禮康貴氏は、「ほとんど迷うことなくS6に決めました」と語ります。

 

「他の放送局での実績もありましたし、ここで行うMAという作業内容を考えたら、もうS6しかないだろうと。サイズだけで言えば、もっとコンパクトなコントロール・サーフェースもあったのですが、実際に触ってみるとS6はフェーダーの感触が全然違いますし、これしかないという感じでしたね。今回24フェーダーにしたのは、できるだけ部屋を広く使いたかったからなのですが、実際に32フェーダーあったとしても、一人で作業するときにそこまでの本数を必要とすることはないんです。16フェーダーでも問題ないくらい(笑)。ただ、音効さんと並んで作業を行うケースもあるので、左端の8フェーダーはほぼ音効さん用という感じです」(牟禮氏)

S6は24フェーダー/5ノブの構成

S6は日本音響エンジニアリング製の特注デスクに収納し、手前にはキーボードとトラックボールなどを置くためのスペースを確保。Pro Tools用のディスプレイには、大型のウルトラ・ワイド曲面モニターが導入されているのも目を惹きます。

 

「以前は23インチ・ディスプレイを2台並べていたのですが、真ん中の繋ぎ目がずっと気になっていたんです。他のスタジオを見ると、2台のディスプレイを離して設置してあるところもありますが、やはり隙間なくくっ付けたいなと。インターネットで検索してみると、海外のスタジオではワイド・ディスプレイを導入しているところがけっこうあったので、そういった事例を参考に曲面モニターを導入することにしました。必要に応じて手前に引き出せるようにしてあるので、とても使いやすいですね。また、上には映像用のモニターとタイムコード・ディスプレイ、映像用モニターの左側にはメーター用のディスプレイ、右側にはブースを映したモニターを設置し、さまざまな情報を最低限の視線の移動で確認できるようにしてあります。このディスプレイ類の配置には随分悩んだのですが、悩んだ甲斐あってイメージどおりの作業環境を実現することができました」(牟禮氏)

手前に引き出せるようになっている大型のウルトラ・ワイド曲面モニター

各種ディスプレイ類をバランス良く配置することで、最低限の視線の移動で作業できるようになっている

Pro Toolsはカード1枚のHDXシステムで、ラックマウント仕様の新型Mac Proで運用。オーディオ・インターフェースはS6と同時に導入されたPro Tools | MTRXで、モニター・コントローラーとしてタックシステム VMC-102も設置されています。

 

「VMC-102は操作性が良く、HDMI変換時に生じるディレイなども補正できるので導入しました。VMC-102にはビデオ・スイッチャーも接続してあり、ワン・アクションで音と映像のモニターを切り替えられるようにしてあります。音を切り替えると映像も勝手に付いてくるので、映像を切り替えるという感覚がない。これは凄く快適ですね」(牟禮氏)

今回新たに導入されたPro Tools | MTRX

Pro Toolsは、ラックマウント・タイプの新型Mac Proで運用

改修工事後、直ちに運用を開始したというテレビ愛知の新生MA室。水野氏は、“快適な作業空間”という目標は十分に達成できたと語ります。

 

「最初はS6の操作に少し戸惑うかなと思ったのですが、ショートカット的なスイッチが備わっているので、比較的スムーズに移行することができました。S6はコンパクトで、ショートカット的なスイッチが右側に集中していることもあり、操作性は凄く良いですね。フェーダーの感触も柔らかくて気持ちいい。ディスプレイ・モジュールも次に来る音が目で見て分かるので気に入っています」(牟禮氏)

 

「音もかなり良くなった印象です。以前はスピーカー・プロセッサー、マトリクスとして別のメーカーのものを使っていたのですが、今回はPro Tools | MTRXからスピーカーに直結しているので、シンプルなシステムになり、音がクリアになった気がします。当初の目的は達成できたと思っているので、今後は映像を含むファイル・ベース・システムとの連携を考えていきたいと思っています。いろいろなケース・スタディーが出てきているので、どのようなシステムがベストなのか。ファイル・ベースとの連携が次の課題ですね」(水野氏)

写真手前左から、テレビ愛知の水野正基氏、アイプロの牟禮康貴氏、写真奥左から、ROCK ON PROの廣井敏孝氏、同じくROCK ON PROの前田洋介氏

テレビ愛知株式会社

https://tv-aichi.co.jp/

Avid S6

S6は、モジュール式設計であり、構成されたシステムを選択するか、または独自のシステムを構築することが可能です。