Sibelius 2020.9 新機能

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2020年9月リリースのSibeliusをご紹介します。このリリースでは、最高のスコアを作成していただくため、プログラムのいくつかの点にフォーカスして、ホームオフィスからせっせと作業してきました。

いますぐ新しい機能をご利用されたい場合は、Avid Linkまたはmy.avid.com/productsのアカウントからアップデート版をダウンロードしていただけます。最新バージョンに更新またはクロスグレードする必要がある場合は、販売店にお問合せください

https://www.avid.com/sibelius/upgrades-and-renewals

まだSibeliusに触れたことがないという方、新しいバージョンを試したい方には、30日間の無償トライアルをお試しください。

「譜表にフォーカス」「空の譜表を非表示」

このリリースでは、[譜表にフォーカス]機能が強化され、[空の譜表を非表示] と[譜表にフォーカス]を同時に使用できるようになりました。これにより、リズムを調整したり、MIDIからインポートしたファイルを整えたり、他の譜表に分けたり、パート譜で引き続き使用できるよう譜表を組み合わせたりするための下書き用に譜表を使ったりすることもできるようになります。

これは[記譜ルール]>[譜表] の中の[譜表にフォーカスを使用するときに空の譜表を表示]で設定できます。ここにチェックを入れると、これまで通り[譜表にフォーカス]を使用した際に、非表示になっている譜表が表示されます。このオプションのチェックを外せば、新しいワークフローが有効になります

他の譜表にフォーカスすると、非表示になっていた譜表が表示されるこれまでのビュー:

他の譜表にフォーカスしても、非表示になった譜表はそのままの新しいビュー

[譜表にフォーカス]を使えば、新しく追加されたドロップダウンから譜表を選択し簡単にフォーカスセットを作ることができるようになりました。

これまでのUI

New UI

ご覧の通り、[譜表にフォーカス]ボタンを独立させ、ドロップダウンを追加しました。ボタンの上部(イラスト部分)をクリックするとオンとオフが切り替わり、下部(文字部分)をクリックするとスコアもしくはパート譜の譜表リストが表示されます。

リストの楽器にチェックマークを付けたり外したりすることで、[譜表にフォーカス]がオンになり、スコアには選択された楽器のみが表示されます。リストから楽器を追加すると、フォーカスされたセットに追加されます。すべてのチェックを外すと、スコアはすべての譜表を表示した状態に戻ります。特定の譜表のみを選択したり、(その時の必要に応じてその中の)いくつかを非表示にするには、リストから[Clear All(すべてをクリア)]または[Select All(すべて選択)]オプションをクリックします。

譜表のセットにフォーカスするために、スコアから譜表を選択することに変わりはありませんから、お役立ていただけると思います。

また、新しい記譜ルール([譜表]>[レイアウト])を追加しました。これにより「ページ」ビューでは[譜表にフォーカス]をアクティブにしたまま、「パノラマ」ビューでは機能を無効にすることができます。これにより、パノラマモードを、スコア内のすべての楽器の「マスターパレット」のように見なすことができる一方、ページビュー([譜表にフォーカス]機能と組み合わせて使用)では、スコアの楽器のうち一部分のみが表示される場合があります。こうすることで、スコアのページビューには表示されない下書き用の譜表を、パノラマビュー内に表示できます。新しいルールはデフォルトではオンになっているため(つまり、従来通り)、新しいワークフローを試してみたい場合は、この機能をオフにしてください。

[譜表にフォーカス]を使用して譜表を非表示にすると、新しいレイアウトマーカー(紫色の破線)が非表示部分を示します。もしもそのフォーカスされていない譜表と、[空の譜表を非表示](こちらは点線で表示)により非表示になっている譜表が隣合った場合、2本の線がわずかにずれて、2つの異なるタイプの非表示オブジェクトがあると分かります)。

 

このリリースでは、[譜表にフォーカス]がオンのときに[空の譜表を非表示]で譜表を非表示にする方法にも少し変更が加えられています。以前は、譜表のセットにフォーカスして、1つ以上の譜表に[空の譜表を非表示]を適用した場合、[譜表にフォーカス]をオフにするまで何も起こらないように見えました。スコアには何も起こっていないように見えていましたが、[譜表にフォーカス]をオフにすると意図した表示にならないことがあります。ただし、[空の譜表を非表示]は表示されている譜表にのみ適用されるため、[Select All(すべて選択)]を選択して[空の譜表を非表示]を選択した場合でも、表示されている譜表にのみ適用されます。

譜表の操作に対するこれらの改善に加えて、オーディオとビデオのエクスポートのオプション「ミュートされた楽器を無視」が、スコア上での選択に関係なく機能するようになりました。つまりこのオプションをオンにすると、ミュートされた楽器はオーディオのエクスポートに含まれず、オフにすると、ミキサーのミュート状態は無視されます。

こうして、フォーカスされた譜表の独自のセットを使用してスコアとパート譜を作成することができるようになりました。また、空の譜表も非表示にする新しいオプションと組み合わせれば、パート譜を新しい方法で作成することができるようになります。下書き用の譜表を含む「フルスコア」や、自由にオンとオフを切り替えることができる必要なだけ自由な数の譜表を備えたパート譜を、それぞれにレイアウトを完全にコントロールすることができます。

ManuScript プラグイン言語

ご存じない方のために説明すると、Sibeliusにはプログラミング言語が組み込まれていて、ちょっと面倒な作業や繰り返しのルーチンワークの実行に役立つプラグインを作成することができます。ご興味をお持ちの場合は、[ファイル] > [プラグイン]にあるManuScript言語リファレンスpdf(英文)をご覧ください。 このリリースでは、プラグイン言語にいくつかの改善を加えていますが、それらがお客様のお役立つことを願っています。古いバージョンのSibeliusに影響しないよう、新しい機能を慎重に追加し、どの(新しい)バージョンのSibeliusでも利用できるプラグインを構築できるようにしています。
すべての新しいプラグインで、Initialize()メソッドに次のコードを挿入して、Sibeliusが新しい動作をオンにし、レガシープラグインはこれまで通り実行できるようになっています。

// The following enables the latest behavior for the ManuScript interpreter.
// If you intend your plugin to run on previous versions of Sibelius where that functionality
// didn”t exist, you will likely have to revisit the following:
if (Sibelius.ProgramVersion > 20200600) {
SetInterpreterOption(TreatSingleCharacterAsString);
SetInterpreterOption(SupportHalfSemitonePitchValues);
}

TreatSingleCharacterAsStringを使用すると、ManuScriptは単一の文字を数字ではなく文字列として扱うようになりました。SupportHalfSemitonePitchValuesは、浮動小数点値を「ピッチ」として受け入れることができるため、プラグインは四分音(クォータートーン)値を追加し扱うことができます。 ピッチは引き続き指定され、半音として返されますが、0.5半音は四分音です。 臨時記号についても同じことが言えます。

次のメソッドは浮動小数点ピッチを受け入れます。

• NoteRest.AddNote
• Bar.AddNote
• Stave.AddNote

次のメソッドは、浮動小数点値でピッチまたは臨時記号を返します。

• Note.Pitch
• Note.WrittenPitch
• Note.Accidental
• Note.WrittenAccidental

条件内で1文字のリテラルを使用する際に、ManuScriptはタイプ(数値と文字)が推測されなくなり、より一貫した結果をもたらします

スコアを閉じるためのさまざまなCall(呼び出し)の信頼性が向上しました。
例えば、Sibelius.Close(False)や、新しいすべてのSibelius.CloseScore(score…)もあります。これは、スコアを閉じる際に曖昧さを取り除き、正しいスコアが閉じられるようにするのに役立ちます。また、すべてのパート譜とスコアを閉じる新しい引数fCloseAllを取ることもできます。 新しいSibelius.CloseWindowsWithScore()メソッドもあります。これにより、開いているスコアのリストを検索しなくても、特定のスコアを確実に閉じることができます。

また、ハウススタイルからテキストスタイルをインポートするときに一貫性のない挙動を引き起こす長年のManuScriptバグにも対処しました。これまで、ApplyStyles()コマンドを呼び出す際には、ALLSTYLESをインポートするために呼び出さない限り、ManuScriptプラグインは「音楽テキストフォント」をインポートしませんでした。 現在、ApplyStyles()コマンド機能はSibelius内の[ハウススタイルのインポート]ダイアログをミラーリングし、TEXTスタイル名(またはTEXTに依存する任意のスタイル名)を使用して「ミュージック・テキストフォント」をインポートできるようになりました。 このバグについて詳細に報告してくれたBob Zawalichに感謝します。

また、いくつかのバグも修正しています。

• ラグインから呼び出された際、ManuScriptを介したMusicXMLファイルのエクスポートがもう一度可能になります

アクセシビリティ

ここ最近のすべてのリリースと同様、視覚障害のある方のエクスペリエンスを改善することを目指しています。 バークリー音楽大学とのアクセシビリティ機能を開発および改善するための1年間のパートナーシップはまもなく終了しますが、私たちは常にこういったお客様に最高のエクスペリエンスを提供できるよう努めていきます。アクセシビリティの専任開発者であるEdithは、この1年間素晴らしい仕事をしてくれました。彼女が達成したすべてのことに心からの感謝を表したいと思います。彼女の貢献がなければ、今のSibeliusはありませんでした。

このリリースでは以下の向上を実現しています。

スクリーンリーダー(視覚障害者向けの読み上げソフトウェア)は、入力時にテキストを読み上げるようになりました。各文字が読み上げられ、スペースを押して次の単語に移動すると単語が読み上げられます。また、単語を読み進める際に、キャレット(カーソル)の後の文字も読み上げます。

Ctrl+Shift+-/+ または Cmd+Shift+-/+を使用して機器名に移動できるようになったため、システムオブジェクトのナビゲーションがさらに簡単になりました。内部では、ClickArea(つまり、マウスポインターを使用してクリック)を使用して、選択範囲をナビゲートします。これには、削除されてしまった楽器名に移動できるというおまけがついてきます(たとえば、楽器名を選択してDeleteキーを押します。スコアでその下の楽器名を選択し、キーボードショートカットCtrl + Shift +-またはCmd + Shift +を使用します。すると、空のテキストフィールドが選択されます。F2またはリターンを押すと、点滅するカーソルが表示されます – それは素晴らしくクリア、とは言えませんが、それでも便利です!)。

さらに:

• スクリーンリーダーは、VoiceOverを使ってワードメニューにアクセスできるようになりました。
• 符尾を選択すると、連桁情報がスクリーンリーダーで読み取られるようになります。
• VoicerOverは、Macの数値スピンボックスの値を読み上げます。 [ファイル] > [印刷]、[テキスト] > [番号付け] > [小節番号の変更]で、新しい小節番号などを設定します。
• クイックスタート・ウィンドウの[最近使用]タブでは、スコアのタイトルではなく、ファイル名が読み上げられるようになりました。
• MacでVoiceOverを使用してComboBoxコントロールにアクセスできるようになりました。
• [環境設定] > [Accessibility] > [Exclude action types]などのチェック可能なリストにアクセスできるようになりました。 以前は、オプションがチェックされているかどうかは読み上げられませんでしたが、読み上げられるようになりました。

[ファイル] > [インポート]

最近改善したMusicXML機能については素晴らしいフィードバックをいただいていますが、このリリースではさらに微調整を施し、UIの調整のためスピードが向上しています。

•マッピング処理をスピードアップするため、すばやく連続して実行された場合、譜表のマッピングが処理できるようになりました。
•Macでマッピング後にテクニックを追加したときに発生するクラッシュを修正。
•スコアのプレビューのプログレスバーが、WindowsとMacの両プラットフォームで一致するようになりました。
•すでに楽譜を割り当てている複数譜表の楽器にMIDIタイプ0ファイルをインポートしてもクラッシュしなくなりました。

これまで連符は新しいMIDIやMusicXMLインポート機能の精度があまりよくありませんでした。現在では、インポートされた連符(およびその他の複雑な連符)が一つの声部にマージされる際に失われることはなくなりました。これまでであれば、これらの音符は投げ出され消えてしまっていました。

Before

After

新しい「マージ」ロジックは、単旋律をマージする場合にのみ適用され(つまり、和音ではまだ機能しません)、入れ子状の連符では機能しません。サポートされないパッセージの場合、Sibeliusはこれまで通りの挙動をします。 これらの変更はすべて、アレンジ機能にも適用されます。

一般

例によって、いつもの通り、プログラムの一部の領域をカバーするいくつかの小さな修正を投入します。

  • 「MagixLowLatncy 2016」ASIOドライバーがSibeliusで問題を引き起こすという報告があったため、起動時に初期化されないようにブラックリストに登録しました。
  • Palatino(Mac)とPalatino Linotype(Windows)は自動的に相互に代用されるようになったため、コンピューター間でスコアを移動するときにフォント置換のダイアログは表示されなくなりました。
  • [ファイル]> [環境設定]>[用語メニュー] の「Musical structure」が正しく表示されるようになりました。
  • タイのかかった装飾音符はタイのつながりの中で正しく移動します。
  • macOS 10.15 Catalinaでまれに起こるクラッシュを修正しました。
  • 歌詞の韓国語の文字を正しく表示するようになりました。
  • 英語以外のバージョンのSibeliusの譜面用紙とのいくつかの不一致を解消しました。
  • 「空白」の原稿用紙は、すべての言語バージョンでPodiumフォントを使用するようになりました。

その他のニュースとしては、IntelとArmプロセッサの両方でBig Surの検証を開始しました。初期テストの感触はとてもよかったので、今後も都度、進展情報をお届けします。もしもBig Surでお試しいただいている場合は、現時点ではまだSibeliusは正式にサポートされていないことにご注意ください。互換が確認でき次第お知らせします。

今回のリリースでの向上がお楽しみいただけますように。 今年度の次のリリースの準備はすでに開始されており、その成果を早くお見せしたいです。

Team Sibelius

Sibeliusで自身を表現

ベストセラーの楽譜作成ソフトで、より美しく魅力的なスコアを素早く簡単に作成

Avidのシニア・プロダクト・マネージャとして、設計、開発、営業、マーケティング、法務、グローバル・サービスチームと協力しあって、未来に向けてSibelius製品およびソリューションを作っています。