作曲家のアン・カトリン・ダーン、Sibelius 2019.4を語る

By in 記譜

映画音楽の作曲家は、ディレクターや現場責任者との最初のディスカッションから、スコアに生命を吹き込むオーケストレータとのやり取り、更にはフルオーケストラが演奏を録音するステージに至るまで、一連のコラボレーションに携わります。作曲家のアン・カトリン(『フェリシーと夢のトウシューズ』『The Jade Pendant』『Sprite Sisters』『ギャラヴァント』『Halo 5: Guardians』)に、その具体的な過程や、Sibelius 2019.4の印象についても聞いてみました。

映画音楽、テレビ番組、ゲーム音楽、にどのように取りかかりますか?

作曲家として目の前にあるプロジェクトに従事します。つまり、ディレクター、現場責任者のクリエイティブなビジョンを成し遂げるための情報を収集しなければなりません。最初の段階で、まず彼らと向き合い、どういう音楽にしたいのか、映画のストーリーで何が重要かを話し合います。

まず「Spotting session(スポッティング・セッション)」でシーンごとの映像をバラバラに確認します。この段階では映像に音楽はついていないか、仮の音楽がついている程度です。物語の中で、それぞれのシーン、登場人物、転換もしくは決定的なポイント等に、どのような音楽が必要なのかを早い段階で見極める重要なセッションから始めます。 

このセッションの後に、スタジオに戻り作業に取り掛かります。ドラマチックなアイデアを形にする前に、捻りを加えながら、最終スコアの模索とモックアップを行い、基本を作り出します。

チームとどのように対話するか教えてください

プロジェクトをチームに渡す前に、作曲は完了し、新たに作られる音楽はありません。リファレンスとして使用したり、再利用できるような初期のオーディオもしくはMIDIファイルをチームと共有し、そこから割り当てられたシーンのテンポ、雰囲気、物語にフィットするように曲を再アレンジすることが彼等の仕事となります。

どのポイントでSibeliusをプロセスに組み込みますか?

様々なステージで使用しています。例えば初期の段階でアイデアのスケッチに使用します。スピードが鍵となりますので、インスピレーションを形にする上で、Sibeliusは非常に素早く作業できる快適なツールです。

しかしながら、Sibeliusの最も重要な活用は、オーケストレータが作業に参加してからです。オーケストレータは、各楽器がスコア順になるように整頓および再編成された最終MIDIファイルを受け取り、Sibeliusにインポートします。 この段階で避けられない落とし穴の1つは、SibeliusにインポートされたMIDIファイルからの音符やアーティキュレーションの誤った解釈です。こういった細かい問題を解決するために、私とオーケストレータで常に議論しています。

 

Sibeliusで新たに強化された「レビュー・モード」はオーケストレーションのプロセスにどのようにどう役立ちますか?

新機能レビュー・モードはとても便利です。うっかりオーケストレータの作業を変更したくはありません。記譜はロックされ、オーケストレータのみが変更を加えられるべきです。現状ではEメールでメモを送付しますが、想像できるように、誤解を回避することは完全にはできません。スコアがロックされていれば、選択したフレーズに対してコメントを入れたり、強調表示したりすることができるので、より明確なコミュニケーションが可能となります。オーケストレータは、私のメモを反映するために、ロックを解除すればよいだけです。

 

Sibeliusは、他にどのような課題の取り組みに役立っていますか?

常に時間の制限が課題となります。例えば60分の曲を書かなければならないとして、作曲とオーケストレーションには4週間しかありません。特に映画音楽のスコアのレコーディングセッションは、非常に高額(1日約10万ドル)であるため、2、3回のセッションが限度です。そのため、適切にレイアウトされて表記され、読みやすいスコアであることが重要です。時間の浪費がコストの浪費となってしまうからです。

このプレッシャーの高い中、Sibeliusに頼るべきは、印刷のクオリティです。バッチ処理、プラグインによる追加機能、マグネティックレイアウトといった自動化されたプロセスは、時間の節約につながり、ミスも防ぎます。

Sibelius 2019.4で最も良いと思う点は? 

新機能のループ再生が、指揮の練習に役立っています。出張中にリハーサルしなければならない事も多く、時にホテル、時に飛行機の中で手を振りながら練習するので、周りの人の注目を浴びがちですが気にしません。Sibeliusでスコアを再生し練習するのですが、毎回再生/停止を繰り返さなくても、テンポや拍子の変更など、特に難しいパートを繰り返しできるのが嬉しいです。

また、オーケストラの演奏用に、複数のキューを組み合わせ、長いスコアをひとつにまとめる必要があります。アイデア間のスムーズな移行を実現するには、多くのことを試す必要があります。ループ再生はこれらの問題を解決するのに本当に役立ち、その場で訂正することができるのです。

 

他にどのような点に感心しましたか?

レビュー・モードについての追加コメントになりますが、この機能には大きな教育的価値があると感じています。例えば、私は音楽院でオーケストレーションの講義も行っておりますが、プログラムの一環でSibeliusを使って学生たちに仕事をしてもらいます。レビュー・モードでコメントを追加し、生徒にフィードバックを提供できるのです。

また、プラグインに焦点を当てられていることにもエキサイトしています。プラグインのバッチ機能で可能となる特殊な記譜や校正は、かなりの時間節約に貢献しています。

常に、Sibeliusチームのアイデアには感心します。アップデートをダウンロードするたびに、「これ以上何ができるのでしょう?」と思いますが、その度に、毎回の新機能は嬉しく、ミュージシャンによって作られたミュージシャンのためのプログラムであることを感じています。

新機能の確認は こちらをご覧ください。

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マーケットソリューション・マネージャーとして、音楽制作とオーディオポストのお客様のために最高のクリエイティブなソリューションを提供することにフォーカスしています。クリエイティビティとテクノロジー、特に音楽、ソングライティング / ストーリーテリング、そしてレコーディングアートに情熱を注いでいます。業界を定義する製品や人々と密接に協力することができて幸せです。