Pro Tools | S6導入事例 #16:スクウェア・エニックス

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日本を代表するゲーム・ソフトの開発/販売会社、株式会社スクウェア・エニックス。同社は2016年末、本社内に開設された音響スタジオ、『SOUND STUDIO』を2部屋同時にリニューアルしました。今回のリニューアルでは、コンソールを中心に機材が大幅に入れ替えられたほか、大規模な『SOUND STUDIO1』はDolby Atmos for Homeにも対応。これからの10年を見据えたモダンな音響スタジオとして生まれ変わりました。同社サウンド部所属のサウンド・デザイナー/レコーディング・エンジニアの五十川祐次氏は、“音質のさらなる向上”が今回のリニューアルの狙いであると語ります。

 

「音質に関しては、前々からもっと向上させたいと考えていたんです。ICON D-Controlシステムの導入以降、モニター・コントローラーとして標準のXMONを使用していたんですが、その部分での音質劣化がずっと気になっていた。今回のリニューアルは、ICON D-Controlシステムのサポートの終了がきっかけだったんですが、どうせコンソールを入れ替えるのであれば機材をシンプルにして、Pro Toolsの出力をダイレクトに鳴らせるようなシステムにしたいと思ったんです」(五十川氏)

新たにPro Tools | S6システムが導入された『SOUND STUDIO1』

録音メインのスタジオ『SOUND STUDIO 2』には、Pro Tools | S3システムとPro Tools | Dockの組み合わせを導入

今回のリニューアルでは、長らく使われてきたICON D-Controlシステムをリプレースする形で、『SOUND STUDIO1』にはPro Tools | S6システムが、『SOUND STUDIO2』にはPro Tools | S3システムとPro Tools | Dockの組み合わせが導入されました。『SOUND STUDIO1』のPro Tools | S6システムは24フェーダー/5ノブ仕様のM40で、各モジュールは音響施工会社が製作した特注フレームに収納。中央のモニター・ディスプレイ/キーボード周りを広くすることで、台本や資料が置きやすくなっているのが特徴です。

 

「ICON D-Controlシステムの次に入れるコンソールということで、『SOUND STUDIO1』のPro Tools | S6システムに関してはほとんど迷わずに決まりました。一方の『SOUND STUDIO2』に関しては、最近は録音作業がメインになっていたので、小さなアナログ・コンソールを導入しようと思っていたんです。しかし今回お手伝いいただいたタックシステムさんからDAD AX32の話を聞いて、オーディオ・インターフェースで音質を向上できるのであれば、わざわざアナログ・コンソールを導入することもないだろうと。最終的にPro Tools | S3システムとPro Tools | Dockの組み合わせを選定しました」(五十川氏)

『SOUND STUDIO1』のPro Tools | S6システム

『SOUND STUDIO2』のPro Tools | S3システムとPro Tools | Dock

五十川氏によれば、「今回のリニューアルのポイントとなった機材がDAD AX32」とのことで、この製品はご存じのとおり、Pro Tools | MTRXの原形となったオーディオ・インターフェースです。『SOUND STUDIO』では、Pro Tools | HDXとAX32はDigiLinkでダイレクトに接続され、またDanteポートにはゲーム開発ツールのWindowsマシンも接続。さらにはCB TechnologiesのTMC-1-Pentaを接続することで、モニター・コントローラーとしても活用されています。

 

「AX32によって、ルーティングをシンプルにすることができ、その結果今回の最大の目標だったクリアな音質を実現することができました。AX32は内部がバランス回路なので、とても音質がクリアで、内部のゲイン調整などの融通も利きますから、本当に便利な機材です。DSDにも対応していますから、音楽のマスター音源を試聴する際にも重宝していますね。AX32と組み合わせる機材としてTMC-1-Pentaを導入したのは、このスタジオで扱うセッションのサンプル・レートがバラバラだからです。基本は96kHzなんですが、48kHzのときもありますし、たまに192kHzで作業することもある。その点TMC-1-Pentaは、AX32側のサンプル・レートの切り替えだけで済むのが良かったんです。9.1.2chに対応しているというのもポイントでしたね」(五十川氏)

今回のリニューアルでポイントとなった機材、DAD AX32。Pro Tools | MTRXの原形となったオーディオ・インターフェース

約10年使用してきたICON D-Controlシステムに替えて導入されたPro Tools | S6システムとPro Tools | S3システム。その操作感と新しいワークフローについて、五十川氏は大変満足していると語ります。

 

「Pro Tools | S6システムに関しては、エンコーダーやフェーダーの感触が格段に良くなりました。ICON D-Controlシステムのエンコーダーは、動きが極端な感じでEQの微妙な操作が厳しかったんですが、Pro Tools | S6システムではアウトボードのような感覚でプラグインを操作できています。フェーダーもガタガタいっていた感じが無くなって、滑りが良くなりました。

正面のディスプレイ・モジュールは、オートメーション・カーブが表示されるのが便利です。最初は別に要らないかなと思っていたんですが、作業中につい見てしまうということは便利ということなんでしょう。フェーダーの下にトラックの色が表示されるのも分かりやすくて気に入っています。

今のところ一番気に入っているのは、フェーダー・ロックとメーター・ロックですね。好きな位置にフェーダーとメーターを固定しておくことができるんです。他のフェーダーをスクロールさせてもそこだけは動かない。頻繁に操作するフェーダーを固定しているんですが、これはかなり便利ですね。

新しいスタジオは、AX32の導入によって音が凄く良くなりましたが、違和感なくこれまでどおり作業できています。工事が終わってフル稼働ですが、動作も安定していてトラブルも無く、とても満足していますね」(五十川氏)

写真左から、タックシステムの小野隆氏、スクウェア・エニックスの五十川祐次氏、タックシステムの小林稔朗氏

Pro Tools | S6

Avid Pro Tools | S6は、モジュール式設計であり、構成されたシステムを選択するか、または独自のシステムを構築することが可能です。