Radioheadと共に - 待望のメキシコ公演

By in ライブサウンド

本記事は、sound:check 誌編集者Nizarindani Sopeña Romero氏によるsound:check 誌第220号(2016年12月)掲載記事の転載です。本記事のスペイン語版はこちらからご覧いただけます。

先日、メキシコ・シティのパラシオ・デ・ロス・デポルテス(Palacio de los Deportes)会場で演奏されたニューアルバム『A Moon Shaped Pool』が示すように、30年以上にわたり優れた音楽を制作してきたRadioheadのサウンドは、現代的なだけでなく、新鮮かつ斬新です。メキシコのファンは、生でニューアルバムを聞くことを心待ちにしていました。Radioheadのファンは、過去30年間に演奏された曲を聴くだけでは満足しません。ファンはそれ以上を望み、期待通りにそれ以上のものを得ました。

メキシコ・シティ、パラシオ・デ・ロス・デポルテスにおいて、Firehouse Productionsから提供されたS6LシステムでFOHミキシングするジム・ウォーレン氏

最新技術

人気英国バンドは、サウンドだけでなく、使う機器も違います。メキシコ・シティ公演を含む最後のツアーでは、新しいAvid VENUE | S6Lミキシング・システムを使い、ジム・ウォーレン(Jim Warren)氏がFOHを、マイケル・プロウダ(Michael Prowda)氏がモニターを担当しました。「Radioheadとは、25年間一緒に仕事しています」とバンドのサウンド進化を見届けてきたウォーレン氏は話します。「年々、バンドのスタイルは進化していますが、すごいことに、昔の曲でも新鮮さが失われていません。」

約11年にわたり、様々なVENUE でミキシングしてきたウォーレン氏とプロウダ氏は、すぐにAvidコンソールに慣れました。「大まかに言って、このコンソールは、とても気に入っています。中でも有用と感じるのは、レイアウト機能を使い、同じサーフェスで多数のチャンネルを安定して処理できる能力です。おかげで、フェーダー間で探すことなく、グループやVCAへすぐにアクセスすることができます」とウォーレン氏は続けます。

S6Lでモニターするマイク・プロウダ氏

パラシオ・デ・ロス・デポルテス会場では、110 Hz付近での音響が課題でした。「110 Hzが、この場所には最適な周波数でした。どうなるのか見るためにサイン波を出すと、行ったり来たり、行ったり来たりするだけ。しかも、戻りは増幅しています。私が思うに、難しい場所が必ずしも仕事を複雑にするというわけではなく、この場合もそうでした。」モニター・エンジニアの観点から言うと、会場の音響特性は、ミックスに余り影響しません。「まずは、慌てないことです。確かにインイヤーのパーソナル・システムを使いますが、フロア・モニターも使用します」とプロウダ氏は言います。

曲をどのようにミキシングするか考える時、ウォーレン氏はチーム作業という考え方を好みます。彼にとってグループのフィードバックは、最終的にスピーカーから流れるサウンド作りに欠かせないものです。「彼らがミキシングに関われば、彼らの見方を知ることができます。それがないと、音響的に似通った曲ばかりになってしまいます。リハーサル中に、バンドメンバーに提案がないか聞くのはそのためで、これまで、非常にうまくいっています。」

少ないほど良い

プラグインの使用が大幅に単純化されたS6Lでは、コンソールに外部機器を繋ぐ必要がありません。ウォーレン氏は次のように話します。「興味深いことに、Radioheadのミキシングでは、余り多くのプラグインを使っていません。S6Lは、イコライザーやダイナミクスでほとんどのことが足りてしまいます。非常に良く音に特徴を加えるサードパーティ製のサチュレーション・エフェクトを除き、コンソールの内蔵エフェクトを好んで使っています。これまで、アナログ・システムを使ってきましたが、特定の効果を得るには、多くの機器を接続しなくてはなりませんでした。それが今では、全てがコンソールの中で対応できます。アクセスできるツールは増えましたが、(必要なツールは)少ない方が良いと確信しています。」

プロウダ氏は、ライブ・オーディオの世界で40年にわたり、グレートフル・デッド、ナイン・インチ・ネイル、デビッド・ボウイ、スティービー・ワンダー、ホイットニー・ヒューストン、イーグルス等の著名なアーティストのミキシングを担当してきました。Radioheadのミキシングについて、彼は次のように話します。「彼らとの仕事は素晴らしい経験です。彼らの音楽は複雑性に富み、非常にインテリジェントです。このバンドと仕事をしている時は、いつも自分のスキルを試しているように感じます。Radioheadのモニター・エンジニアとしての仕事には、非常に満足しています。モニター・エンジニアを務めるということは、5人目のビートルズのように、バンドの一員になることです。そこには、仕事を特別なものにする特別な繋がりがあります。全てがうまくいく時、それ以上望むことはありません。しかし、何かが狂いだした時は、最悪です。何が言いたいかというと、繋がりはとても緊密であり、感情の移ろいを共にしているということです。」

長年、現場で働くモニターとして、アナログからデジタル、フロア・モニターからパーソナル・モニター等、プロウダ氏は技術の重大な変化を経験してきました。「私は単純に技術を受け入れ、共に進化しようと試みてきました。モニタリングがどのように進化して、自分も技術と共に進歩すると認識したのは、ずいぶん前のことです。良い音と良いミックスを作り、バンドに良いものを聞かせるということが全てです。フロア・モニターは、それは今も変わりませんが、推測ゲームのようなものです。非常にうまくいき、素晴らしいミックスを作れる時もあるし、ミュージシャンにはどのように聞こえているのか見当もつかない時もあります。確かに、それぞれの楽器の一般的なバランスを教えてくれるエイドもありますが、ステージの真ん中に居ずして、全ての音がどのように響いているかを知ることは不可能です。」

同レベルで仕事をするモニター・エンジニアの多くは、お互いの仕事の近さから、ミュージシャンとの関係構築の重要性を強調します。プロウダ氏は、次のように話します。「私たちは、素晴らしい関係を築いてきました。ステージを下りたら、仕事の話をすることは滅多にありません。大概は、冗談を言ったり、他の話をしています。次々とコンサートをこなしていくには、そんな時間が役立ちます。そのような関係を築けない場合、仕事に影響が出るでしょう。」 プロウダ氏にとって、Avidは目新しいものではありません。ジム同様、彼も2005年からAvidを使用してきました。そんな彼でもS6Lシステムの性能には驚いたと言います。「このプリアンプは、実に高性能です。ほんとうに聞くのが楽しい。プラグインについてはジムと同意見です。2005年には全てがプラグインでした。今では、コンソール単体で提供するものに傾向が移っているようです。もちろん、プラグインは使用しますが、使用は減りますね。」

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Avidラテンアメリカのフィールド・マーケティング・マネージャーとして、20年以上にわたり、オーディオ・エンジニアリングとプロフェッショナル・オーディオ、ビデオ、ブロードキャスト業界のマーケティングに携わっています。