カナダ・トロントのロイ・トムソン・ホールが、2台のS6Lシステムにより最高のサウンドを実現

By in ライブサウンド

トロント交響楽団、トロント・メンデルスゾーン合唱団の本拠地であるロイ・トムソン・ホールは、年間を通し、トロント国際映画祭等、様々な世界規模のステージやイベントを開催しています。多様な性能要件に対応するため、座席数2630のホールは、Ethernet AVBネットワーク上でI/Oを共有する2台のS6LシステムでFOHモニターをアップグレードしました。ロイ・トムソン・ホールおよびマッシー・ホールのプロダクション・マネージャーを兼務するダグ・マクケンドリック(Doug McKendrick)氏に同ホールのアップグレードについてお話を伺いました。

ロイ・トムソン・ホール(日中)

夜景(写真:Stephen Chung)

DH: 年間を通して、新システムはどのようなプログラムをサポートしますか?

DM: ホールを本拠地とするトロント交響楽団は、多くの時間を占有しています。著名人の講演会、アリサ・フランクリン、ダイアナ・ロス、ピンク・マルティーニ、クリス・ボッティ等のコンサート等、例年、数多くのイベントやシリーズを催しています。そして、毎年秋には、トロント国際映画祭の上映会場となります。また、幅広い公開イベントを開催するホールでは、イベントとオーケストラのリハーサルを一日の中で素早く切り替えます。最近のオーケストラ・イベントでは90から100チャンネル扱っています。

FOHのS6L

DH: システムのアップグレードを考え始めた時、ロイ・トムソン・ホールのセットアップはどのようなものでしたか?

DM: 約14年間、ロイ・トムソン・ホールではヤマハPM1Dを使用しました。とても、良かったのですが、そろそろ替え時でした。PM1Dは、ホールのバルコニー・レベルにある音響ブースに固定されていて、ツアーのエンジニアにとって、あまり良い位置ではない場合もありました。新たなコンソールを考えた時、柔軟性の高いものに目を向けました。ブースのドアから出し入れできて、いつものように2階のブースへのアクセスを維持できるだけでなく、必要に応じて、メインフロアへ簡単に移動できるコンソールを求めていました。ブースのドアに合ったサイズと重量を考え、ツアーの場合のように、基本的にコンソールを載せるカートを考案しなくてはなりませんでした。それゆえ、機能以外に大きなポイントは、サイズと重量でした。そのポイントを満たし、さらに、ホール初のモニター・コンソールを加えることが出来ました。

モニターでのS6L

DH: 以前は、どのようにモニターを扱っていましたか?

DM: 以前は、いつもコンソールを借りていました。通常は2台のコンソールを使用します。スネークを使ったり、あれこれしなくてはなりません。モニター・ボードを加える価値を検討する上で、これらのレンタル費用は大きな要素でした。S6LのI/O共有機能があれば、インフラストラクチャを加えて、スネークを分割する等々の必要もありません。また、ホール内のあらゆる場所に設置可能な場所があったので、最大3台までステージラックが可能であることも、とても重要でした。実際、ホールでは1台をブースに、1台をステージ左、もう1台をステージ右に配し、全てを2台のコンソールで活用することができます。

Stage 64 I/Oラックをステージ両側に配置

Ethernet AVBネットワーク経由で2台のS6Lコンソールへ供給

DH: S6Lは、ホールが求めていた要件にぴったりと合っているようですね。

DM: おっしゃる通りです。ファイバー接続での完全な冗長リング型構成により、ブースではファイバー・パッチベイを使って、パッチを移動することができます。さらに、モニター・コンソールをリングから外したり、加えたりして、ブースにステージラックやエンジンを残したまま、FOHコンソールをメインステージへ移動することができます。つまり、メインフロアには、サーフェスだけ移動すれば良いのです。

 

DH: FOHとモニター・ポジションのコンソールの構成を教えてください。

DM: FOH に32フェーダーと1スクリーンのモニターに24フェーダーです。一般的ではありませんが、とても良く機能しています。同規模の予算で他の選択肢を見れば、1スクリーンが妥当なところです。それに、とても良くフィットしています。

ロイ・トムソンのロビー

DH: FOHコンソールをメインホールへ実際に移動できるサイズのものが必要であるということ以外に、どのように新たなコンソールを選びましたか?

DM: 様々なコンソールを検討した結果、S6Lが最先端の製品だと思いました。私たちは、S6L発表後比較的すぐ導入したわけですが、私個人はこの業界でのキャリアを通じて、マッシー・ホールとロイ・トムソン・ホールでのマネージャーとしてだけでなく、ツアー・エンジニアとしてもAvidユーザーでした。決定の大きな要素は、ロイ・トムソン・ホールが主にツアー会場であり、ツアー・プロダクションの多様なニーズに対応する柔軟性が必要であったという点です。VENUE旧システムとの下位互換性の高さにより、ホールのユーザーやゲスト・エンジニアは、使用するファイルを再構築することなく新しいシステムに持ち込むことができるため、安心して使うことができます。これは、大きなセールスポイントです。私も、VENUEファイルを新システムへ持ち込み体験しました。エフェクトのリターンの変更を除き、完璧にできました。思い通りに、しかも遥かに良い音質でできました!

ロイ・トムソン・ホール庭

DH: 新機能についてはどうですか?S6Lのカスタム・フェーダー・レイアウトは使用しますか?

DM: ホール全体に100チャンネル以上配する音響チームには、とりわけ重要です。ホールのワイヤレス・マイクを下の端に配置しても、簡単に上に変えることができます。

 

DH: インストールが完了し、稼働し始めた今、システムの調子はどうですか?

DM: 素晴らしいです。現在、Meyer PA用スピーカー+Galileoフロントエンド、Optocore伝送システムを装備していますが、これまでは、PM1Dからアナログ出力していました。コンソールからスピーカーへの出力をAESに切替えることができます。また、サンプルレートの向上、プリアンプとコンバーターの品質により、遥かにオープンでクリーンかつピュアな音質になります。CDを再生するだけでも音質の違いは明白です。

2002年にロイ・トムソン・ホールは音響設備を大幅改修しました。それ以来、観客とアーティストの満足感を強化、向上するため、できることを細心の注意を払い全て実行してきました。ホールで開催される多様なプログラムに対応する適切なシステムは、欠かせません。

FOHのS6L、背景には同ホールの名高いGabriel Kneyパイプオルガン

DH: ホールでは、どの程度、拡声装置を使用しますか?

DM: 場内アナウンス等の用途に小型のPAシステムを使用する場合があります。しかし、ポップスに加えて映画も大きな部分を占めるようになりました。これらのイベントでは、しばしば、オーケストラ全体にマイクを付けて、バンドや映画のセリフ等をそれに統合します。

 

DH: S6LとPro Toolsの統合は、クライアントとの関係でどのように役立っていますか?

DM: アーカイブ、商用、Web等、目的を問わず、多くのイベントが収録、ストリーミングされています。マルチトラックが可能で、マルチトラックからの再生が簡単にできること、特に、Ethernetケーブルだけでできることは、確かに大きなポイントです。今まで持っていたようなものとは全く違う最新のものなので、恐らく私たちは全てのポテンシャルを理解してないと思います。それでも、ロイ・トムソン・ホールでは数々の収録を行っています。そして、以前は、あらゆる追加装備を用意しなくてはできなかった極端に高いサンプルレートでの録音も可能になりました。

DH: I/Oの共有については、これまで、あまりされてなかったようですが、チームの方にはどのような感想をお持ちでしょうか?

DM: ネガティブな先入観が頭になければ、通常との違いは見いだせなかったでしょう。以前、他のシステムで悪い経験をしている場合、それを進めることはなかなか難しいです。しかし、I/Oを共有していると知らなければ、違いに気付くことさえないのではないかと思います。

ここでは、FOHがまだ入力に慣れていないためにモニター担当が困る、またはその逆のような状況に遭遇していません。誰かが触りノブが動いても、ビジュアル表示がないので、スプリットで操作するのと変わらないことで、安心感が増すと思います。また、受け止め方に与える影響も大きいと思います。コンソールをインストールすると直ぐに、I/O共有のソフトウェアが更新され、これまで何一つ問題は起こっていませんね。

VENUE | S6L発売中

ライブ・サウンドのネクスト・ステージがここに―賞に輝くVENUE | S6Lなら、世界で最も要求の厳しいライブサウンド・プロダクションも簡単に扱うことができます。

詳細
Avidライブサウンド・システム及びノーテーション・シニア・マーケティング・マネージャー。 以前はEuphonixとE-MUシステムで働いていた経歴を持つ。