The Rough Cut:『ジョーカー』エディター ジェフ・グロス

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ベネチア映画祭での『ジョーカー』のプレミア上映では、8分間にも及ぶスタンディング・オベーションが起こりましたが、ジェフ・グロスはそれを受けるにふさわしいエディターです。

Avidのシニアディレクター  マット・フューリーがトップエディターにインタビューするポッドキャスト「The Rough Cut」の最新エピソードではジェフにお話しを伺いました。脚本家で監督のトッド・フィリップスとのコラボレーション、『ジョーカー』の編集でのクリエイティブなプロセス、そしてエディター志望の方へのキャリアアドバイスなどについて聞きました。

ポッドキャスト全体は以下からお聞きいただけますが(英語)、ハイライトをご紹介しましょう。

マット:リブートとドラマシリーズのこの時代には珍しく、この映画のトーンとジョーカーのスタイルは大きく異なっています。

ジェフ:私たちは常にこれを、ひとつの「映画」として考えていました。 DCコミックスの映画ではなく、必ずしも「ジョーカーの映画」としてではなく、ただただ良い映画を作ろうとしていたんです。 そしてその上に、ジョーカーがあるような感じです。 大事なことは、ジョーカーの性格を描き出すということです。

私が映画で最も誇りに思っていることがあるんです。まずに彼に会って思う。「どうしたらいい? この男をどう理解すればいい?」 それからジョーカーがスクリーンに登場するシーンで、振り返ってみて言う。「わあ、どうやってたどり着いたんだろう?すごい! ここまで来られたなんて信じられないよ!」

 

マット:トッド・フィリップスは、監督であり、映画の共同脚本家でもあるわけですが、時に脚本に忠実すぎたりして、編集する上で難しかったりすることはありますか?

ジェフ:トッドは編集ということをよく分かっています。Avidでの仕事の仕方を知っているんです。監督としても脚本家としても、彼はカットすることに躊躇しません。実際、彼は映画から何かをカットするまで幸せじゃないんじゃないかと感じるほどです。

特に脚本家でもある監督の場合、私はスクリプトツールを使うんですが、それは彼らが言葉というものに常にとても具体的だからです。 4か月経った頃、こう言うんです、「この行ではこんな風に言いたいんですよね。さあ、じゃあそのあたり全体を見てみましょう」 そして、そんな風にスクリプト全体に使えるんです。 脚本を書く監督の場合、言葉を紙に書いているわけで、このツールを持ってることは非常に重要なんです。

脚本家であり監督であるトッドについてもう一つ言えることは、ダイアログを再利用するのが非常にうまいということです。 ダイアログの一部をカットしてしまったとしても、まだそれらのセリフを使う方法を探していて再アレンジするんですが、私はいつもそういうところから学んでいます。

 

マット:このような映画は、時間の経過に伴うキャラクターの変化です。 ノンリニアで撮影する場合、悲劇的な要素を持った人物から邪悪な悪人まで、揺れ動いていくのを追うのは難しいですか?

ジェフ:撮影は順不同で行われますが、私は結局のところ時系列に編集していきました。 シーン2ができたらすぐにシーン2をカットします。 シーン3を受け取ったらすぐにシーン3をカットします。次のシーンがくるまでの間、その後のリールは順番がくるまで置いておきました。

必ずしもこういったやり方を他の映画でもやっていたわけではありませんが、この映画の場合は、その時点までのキャラクターの心の動きを見ることができて、良い考えのように思えました。

 

マット:これは何度も演じられているキャラクターです。他の映画のことを考えてみると、確かに素晴らしいパフォーマンスがありましたが、大きなアクションシーンを思い浮かべてしまいます。『ジョーカー』は実際のところそれよりもっと性格描写の映画です。 より小さな、繊細な描写のシーンで作業するのは楽しかったですか?

ジェフ:間違いなく、アクションよりもキャラクターやストーリーが優先します。 アクションシーンはいったん組み立ててしまえば、それほど変更はありませんでした。 議論になるのは間違いなくキャラクターやストーリーでした。 ジョーカーはここではまだ激しさの頂点に到達していないだろうか?ここが頂点だとしたら、次のシーンではそこまでは張りつめていない、じゃあ、どうやって興奮が収まったんだろう? 議論はほとんどそんな感じでした。

 

マット:ストーリー的にバランスを取っているそういった要素を把握するために使うツールやテクニックはありますか?

ジェフ:5×3インチ(125×75mm)の情報カードを壁に貼っているんですが、これが非常に重要なんです。 編集プロセスの間中ずっと、シーンがそこにあったものよりもよりよいものに変更するにつれ、これらのカードをプリントし直すんです。 実際、大きい方のオフィスにはそのボードがあり、サテライトオフィスにも同じボードがありました。

 

マット:多くの人にとって、映画制作で最初に就きたいと思っている仕事は、アシスタントエディターや実習生です。 よいアシスタントには何を求めますか?

ジェフ:一番は、編集室の管理です。 編集室の管理はそれほどやりたくないんですが―何というか物事をまとめるという自分の世界に缶詰になっているので。 ですから、アシスタントにやって欲しい最も大切なことは、エディターが必要とするものを管理し、予測することです。

アシスタントとして、編集者になりたいと望んでいるなら、練習として出来ることの一つは考えることです。「もしも自分でカットしているのであれば、何が欲しいだろう?どうしたいだろう?どうやってセットアップしたいだろう?」それらのことをエディターのために行うことで、エディターが望むことを学ぶことができます。 そのように考えると、たとえ映像ですべての作業を行っているわけではなかったとしても、エディターとしてのマインドセットに慣れることができるんです。

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アーティストリレーションズのシニアディレクターとして、メディア・エンターテインメント業界で、最高の評価を得ているストーリーや音楽の作成でAvid製品をご活用くださっているクリエイティブなプロフェッショナルに関心を向けるだけでなく、彼らと次世代を担うプロフェッショナル志望者たちとをつないでいます。