編集ポストチームでAI(人工知能)を活用する5つの方法

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ビデオ・ポストプロダクションでは、AIアプリケーションを応用して、自動文字起こしやメタデータ入力、時間がかかるカラー・コレクション(色補正)やVFX処理などを高速化しています。

しかし、映画やテレビでは、行き過ぎたAIの計算を懸念する傾向があります。通常、そのような懸念は、スタジオが業績予測アルゴリズムを使って、映画やテレビシリーズの制作を決めるというニュースに対する反応が多いです。

少なくとも映画やテレビのポストプロダクションに関して、そのような心配は無用です。最も重要なポストプロダクションのクリエイティブなプロセスが、AIに取って代わられる危険はありません。AIは、数ある選択肢の中から最適なテイクを選ぶことはできません。シーンをポーズする絶妙のタイミングや、カットしてコメディ効果を作るタイミングも把握できないですし、型破りな選択でシーンを盛り上げることもありません。

ポスト・ワークフローにAIを取り入れる5つの方法

AIアプリケーションは、ビデオ・ポストプロダクション・チームを解放することができます。それによってチームは、テレビや映画制作において極めて重要なクリエイティブな作業に集中することができるのです。ポスト・ワークフローに組み入れることで、クリエイターのクリエイティブな制作をサポートするAIアプリケーションを5つ紹介します。

 

1. メディア管理

AIを使えば、DITやAEは、メタデータの入力に長時間費やす必要がなくなります。顔認識ソフトは、シーン内の人物を自動的に検出し、その情報からメタデータを作成することができます。堅固なAIソリューションでは、映像の中のセリフと台本のセリフを同期して、各クリップのメタデータに情報を入れこむことも可能です。

 

さらに、音声検索や映像の自動転写機能を備えたAIアプリケーションを導入すれば、ドキュメンタリーなど映像の大部分に台本がない制作において、膨大な時間と労力を削減することができます。日々、脚本から若干外れた特定のクリップやテイクの検索に時間を費やすことも面倒なメタデータの入力も必要なく、映像を簡単に検索することができます。

 

2. VFX

ピーター・ジャクソン監督の『ロード・オブ・ザ・リング』三部作の時代から、AIは、コンピューター生成された大群衆の中で、動作を個別にシミュレーションするツールとして使われてきました。現在、AIのVFXへの応用はほぼ無限に広がり、膨大な計算パワーも必要としません。

 

ロトスコープを全てAIに任せたら、エディターやVFXアーティストがどれだけの時間を節約できるか想像してみてください。あるいは、2Dスケッチから3Dモデルを自動的に生成でるとしたら、どうでしょう。

 

そのようなアプリケーションは既に存在し、現在多く使用されています。コンピューターに学習させて、人間をオブジェクトとして選択し、フレームから外したり、環境を変えたりすることができるようになり、ブルーバックの使用は減っています。カメラで撮影した動作を使ってオンセットのCGIレンダリングを生成する方法が効率化されれば、面倒なモーションキャプチャー・スーツは、すぐに過去のものとなるでしょう。

 

また、顔を自動的に置き換える技術がさらに進歩すれば、コストがかかり、俳優には不快で、時間がかかる装具が必要になるケースも最終的には無くなるでしょう。

 

3. 音響

映画のサウンド・デザイン構築には、オプションが重要になります。例えば、映画に残したい音があっても、何かしっくりこない場合、優れた音響アーティストは、選択肢を提示したいと考えます。AIアプリケーションは、与えられたライブラリの中から似た音を探したり、独自に似た音を生成したりできます。

 

同様に、作曲家もこのようなツールを使うことで、可能性のある音を幅広く集めて楽譜に組み込み、創造力に富んだ音風景を作り出すことができます。エディターは、AIが生成した楽譜を使って、制作作業を進めることができます。静的に蓄えられた音楽の代わりに、AI生成の楽譜は、編集者の作業に合わせて動的に変化します。

 

また、より日常的な問題解決には、現在のAIツールは、オーディオ・トラックから風の音を除去して、映画音響の黎明期から制作を悩ませてきた問題を解決します。

 

これらのプログラムは、ハンス・ジマーのように高品質の音楽を自然に生み出すことや、映画の音風景を全て作り出すことはできません。ただし、何十年にもわたり音響デザイナーが抱えていた問題を解決し、最終的には、制作的な問題解決よりも創作に集中できる余裕をもたらします。

 

4. カラー・コレクション(色補正)

AIの導入によって、カラリストが失業することはないでしょう。しかし、この技術によって、カラリストは、キー・ビジュアルを正確に表現することにより多くの時間を費やせるようになります。AIプログラムは、キーとなるイメージやショットに他のシーンを自動的に合わせることができ、カラリストが自分で行うよりもはるかに速く、例えば30分かかるものが数秒で行えます。

 

このような自動化により、映画全体のグレーディングにかかる時間が、数週間からほんの数日に短縮できる可能性があります。現在、市場に出ているものは完璧ではないものの、数年前と比べると飛躍的に進歩していて、どんなエラーも仕上げの段階で簡単に解消できます。

 

5. 品質保証

AIは、人の手によるクリーンアップ作業の時間を短縮する方法を提供します。適切な技術によって、ショット内のブームの一部であっても、不要なピクセルを処理することができます。ブームを消去できるソリューションを使って、ディレクターやエディターは、ブームが映っていても最適なテイクを選ぶことができます。

 

古い映像や低解像度の映像の高画質化もAIで対処できるため、古い映画の商業利用が可能になります。将来的には、既存のフレームから新しいフレームを生成して、映画のフレームレートを上げることも可能になるかもしれません。

 

 

AIを活用する

AIの用途は、あくまでも特定のツールを制作プロセスに適用することです。AIは創造的判断ができないので、判断には常に人間の知性が欠かせません。AIを活用してワークフローの効率化を図り、意思決定のための精神的余力を生み出すことで、ポストプロダクション・チームは、余裕を手に入れて最高の作品を作り出すことができます。

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