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グラミー賞受賞者 ダレル・ソープのイマーシブミュージック・ミキシングに関する3つのポイント

9回のグラミー賞受賞®︎経歴を持つレコーディングエンジニア、ミキサー兼プロデューサーが、イマーシブ(没入型)ミュージックが可能な全ての音響空間にアクセスできるようになりました。

 

ダレル・ソープはポール・マッカートニー、レディオヘッド、ベックなどの有名なミュージシャンとコラボレーションしてきました。2017年、彼はフー・ファイターズのアルバム『コンクリート・アンド・ゴールド』のエンジニアとミックスを行いました。彼のキャリアにおいて、この受賞歴までは、ステレオでのエンジニアをメインとしていましたが、このプロジェクトでは、イマーシブフォーマットであるDolby Atmos® でトラックをリミックスする機会を得ました。フー・ファイターズのバンドリーダー、デイブ・グロールは、Dolby Vision™で制作された2枚目のシングル『ザ・スカイ・イズ・ア・ネイバーフッド』のビデオを作りたいと思っており、Dolbyからその曲の音源のリミックスをAtomos でしてみないかとの提案がDolbyからありました。

Dolby Atmosは、最大128チャンネルを使用して、オーディオフィールドを3D空間に変えます。まるでリアルな日常生活の中にいるような、イマーシブサウンド体験が得られます。2つのステレオチャンネルに全てを振り分けて、コンプレッションやE Qで仮想音響空間を作り上げる必要はありません。イマーシブミュージック・ミックスでは、どこにでも、いつでも、音源を配置させてパンができ、どの方向にも動かすことができるので、さらにダイナミックな体験と無制限のクリエイティブなオプションが選べます。

 

ソープは、ステレオバージョンの『ザ・スカイ・イズ・ア・ネイバーフッド』をイマーシブでリミックスするチャンスに飛び付きました。オーシャン・ウェイ・レコーディングでサラウンド・ミックスをしたので、イマーシブミュージックは興味をそそる次のステップのようでした。

 

「そのプロジェクトを引き受けたのは、とても面白そうだったからです。オーシャン・ウェイで最後にスタッフとして働いた時、かなりの経験ができました。」とソープは言います。「ソニー・オックスフォード・コンソールで9.1にもなる専用の5.1セットアップを使いました。ジャズのレコーディングでは、ハイファイ(hi-fi)を使用する人が多く、サラウンド・サウンドでミックスをしています。インディーズのフィルムでも同様です。バーバンクのDolby オフィスに行く機会があった時、ステージ上でミックスをして、『すごい!!』と感動しました。Atmosについてもっと知りたいと思いました。」

サラウンド・サウンド以上のもの

ソープは、部屋に入るやいなや、イマーシブオーディオに対するイメージをリセットしなければなりませんでした。

 

「Dolby Atmosは、サラウンド・サウンドがただ進化したものだと思っていました。でもそれは浅はかな考えでした。」とソープは言います。『ザ・スカイ・イズ・ア・ネイバーフッド』をイマーシブでリミックスし始めたとき、可能性がもっとあることは明瞭でした。

イマーシブミキシングすると、サウンドスケープにサウンドを配置する際に、よりフレキシブルに、正確に行うことができます。128チャンネルが使えるため、フロント左、フロント右、センター、左、右、リア左、リア右のチャンネル(7)と、ローフリーケンシー・エフェクトのチャンネル(.1、LFE)と、ゲームチェンジャーとなるハイチャンネル(.2)からなる7.1.2ベッドと、その他最大118オブジェクトを配置できます。これは、ステレオでもサラウンド・サウンドでもできない、3Dオーディオ・イメージを作り出すことができます。特定のスピーカーに結び付けられていない個々のチャンネルとオブジェクトに秘密があります。モノでもステレオでも、真のイマーシブ体験を得るために、3D空間のどんな場所にでも配置し、動かすことができます。

 

「Dolbyのエンジニア責任者であるセリ・トマスが来て、『やぁ、君がやってることもなかなかいいけど、こんなこともできるの、知ってるかい?』と、彼はAtmosがどんな個性を持っているか、どこをさらに明確にできるかを、もっと試してみるように促しました。」とソープは言います。「例えば、『この音をあのスピーカーから出したい』と思えば、それを簡単に実行できるのは素晴らしいです。そこからさらにのめり込み始めました。」

 

フー・ファイターズのシングルで、ソープは初めてイマーシブオーディオを体験しました。でもこれが最後ではありません。「もっとたくさんやってみたい。」と彼は言います。「イマーシブオーディオのプロジェクトを予定しています。一年前に録音したもので、大きなプロジェクトです。私が録音したものを、他のエンジニアが再録音するくらいなら、なぜ自分でやらない?ステレオで試してみます。」

スタジオにて(ダレル・ソープ)

ステレオバスを捨ててみる

イマーシブへのソープの関心の一つとして、お気に入りのおもちゃをいくつか手放さなければなりませんでした。「フー・ファイターズのミキシングをし始めた時、まず、セリに『ステレオ・バス・コンプレッションに何が使えますか』とたずねました。」

 

「私のミキシングスタイルの大きな部分を占めるもので、正直なところ、多くのエンジニアのミキシングスタイルでも同様です。」と彼は言います。「ミックスの形がある程度見え始めたポイントやプロセスに達すると、ミックス・バス・チェーンを追加し始めます。コンプレッションや、EQを少し、場合によってはある種のテープエミュレーションです。」

 

ソープが説明するように、Atmosのチャンネルとオブジェクトは、通常のステレオミキシングの過程とは異なったアプローチを可能にします。「ステレオバスを捨てて、いつもの作業過程を忘れることを、恐れないでください。イマーシブオーディオで作業しているときは、もうそのように考える必要はありません。」と彼は言います。「ミキシングを始めたら、まず音量バランスとパンを調整します。曲をよく知っていたので、初めからトラックとミックスをしました。いくつかのオートメーション・ライドがあちらこちらにありましたが、コンプレッションやテープ・エミュレーションをする必要がないとすぐにわかりました。ステレオで作業している時の速さとは同じではありません。パラレル・コンプレッションのコア・ミックスや、ボーカルやバッキングボーカル上のコンプレッションとEQに、十分に注意を払いました。ストリングスなどは、ほとんど同じようにしました。イマーシブ体験でのパンについてだけは、いつもと違うやり方でした。」

 

ステレオバスでの処理はオリジナルミックス上での大部分のサウンドを占めていましたが、イマーシブミックスの新しい拡張機能が登場したため、変えることは問題に思いませんでした。「デイブが本当に気づいたかどうかはわかりません。」とソープは言います。「一つだけ彼が言ったのは、『なんてことだ、信じられないくらいいい音だ!』ということでした。それから、彼のギターソロをとても大きくしたことに感謝されました。正面に持ってきて、ただ音量を上げるだけでなく、このギターアンプがあなたの頭に落ちてくるような音の配置にしたので、さらに非日常的な感覚に陥ります。」

 

没入型マインドセットに移行する

イマーシブでミキシングをするのはテクノロジーとワークフローの移行も必要ですが、考え方も変えなければなりません。

 

「私にとってステレオは、使用できる音響空間が非常に小さいです。」とソープは説明します。「この狭い帯域幅(バンド幅)に大量の情報を無理やりつめているので、とてもアグレッシブに感じるように曲を作るのはわりと簡単です。しかし、イマーシブオーディオでは、全く異なります。そこのギターの一部を削って、ここにあるキーボードと被らないようにする、といったことは、Dolby Atmosのようなイマーシブでミキシングするときにはする必要がありません。どのように広げて、どれだけ大きくできるか、ということが全てです。本当に素晴らしいです。」

 

全く新しい方法で音をどこに配置するか再構成する必要がありました。「Atmosでは、中心からだけではなく、高低、範囲全体にわたってパンすることができます。」とソープは言います。ストリングスを上部にパンし、バックボーカルを下部にパンし、リードボーカルをフー・ファイターズのミックスの垂直軸の中央に配置させ、前後の動きをつけるため、プリディレイ・タイムを増やして、複数のリバーブを使いました。

イマーシブミュージックはTIDAL HiFiやAmazon Music Unlimitedのようなストリーミングサービスですでに聴くことができます。独立したレーベルやアーティスト、エンジニアも、Dolby Atmos ミュージックを自分で配信できるようになりました。イマーシブミックスを作成するソフトウェアが手頃な値段で手に入るおかげで、多くの曲が最先端のフォーマットでミックスされており、オーディオ・プロフェッショナルの人達に素晴らしい機会を提供しています。

 

ソープが言うように、「イマーシブミュージックはとても楽しいものです。習得する価値がありますし、正直なところ、それほど難しいものではありません。」

 

Dolby Atmosでミックスする

Pro Tools | Ultimateは、業界で最も効率的なDolby Atmos® ミキシング・ワークフローを提供しています。 Atmos 7.1.2 オーディオシステム、ネイティブ・オブジェクト・パンニング、最新のオートメーション、ADM BWAV サポート、そして Avid サーフェイス・コントロール統合をサポートします。

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Dolby Atmosが伝える変革するサウンド・クリエイションの世界。Pro Toolsが伝える変革するサウンドプロダクションとミキシング方法。イマーシブ・ミキシングのための最も強力で拡張可能なエンド・ツー・エンドのツールセットを、ぜひ体験してみてください。




レコーディングエンジニアがホーム・ミュージック・プロダクション・システムへ移行する方法

昨今の人々を取り巻く状況の変化により「ベッドからホームオフィスへ流れるように移動する」という在宅ワークをライフスタイルにするというニーズが増えています。レコーディングエンジニアという仕事は、比較的それを実現しやすい職業であるといえるでしょう。レコーディング・テクノロジーが、リモート需要に適合し始めたことにより、より多くの人が外での作業を諦め、自宅で行えるホームレコーディング設備を作ることの必要性を感じ始めています。

 

リモートも可能なレコーディングエンジニアとして仕事をする場合、ホーム・スタジオ・システムでクライアントと作業をしたり、アーティストのいる場所へ出向いたり、リモートでコラボレーションを行ったり、もしくはその3つ全てをこなすという必要があるかもしれません。アーティスト、プロデューサー、ミキシング・マスタリングエンジニアとのコラボレーションを可能にするために、フレキシブルなスタジオ設備が必要になるでしょう。

 

理想的なのは、所属している会社が、長期的に見てクライアント獲得の為の有効な手段だと理解し、リモート設備の補助をしてくれることです。しかし実際には、あなた自身もある程度の出費が必要になるかもしれないので、その計算はしておく必要があります。業界では、モジュール式で規模の拡大に対応できるシステムがトレンドですので、そういったシステムを採用する場合は、予算とスペースが許す範囲で少しずつスタジオに追加していくことができます。もしかしたらすでに、良いギアが家にあるかもしれませんが、今こそ、将来のために、今後何年にも渡って使用できることが保証されるセットアップを検討する時です。

DAW

スムースなコラボレーションを検討する際、リモート作業によって生じる可能性がある問題は、DAWによって解決されるべきです。リモートでプロジェクトのコラボレーションをする可能性が高いため、トラック、プロジェクト、ファイルの交換に関して簡単な構成や管理ができるD A Wが良いでしょう。オンライン・コラボレーションを使うと、リモートでアーティストや他のエンジニアと作業をすることが楽になります。クラウド上でプロジェクトを共有したり、他の人を招待して、どこからでも自分のトラックを追加したり、単にフィードバックを取り入れたりして参加することができます。

もし使用しているDAWにこのような機能がない場合は、リモート作業が簡単になるオプションについて、スタジオオーナーもしくはプロダクションマネジャーに相談する必要があります。もしかしたらリモート機能に焦点を当てた2つ目のレコーディングプログラムに投資する予算があるかもしれません。多くのエンジニアは、所有する複数のDAWから顧客との互換性を考えて使用しています。さらに、一部のDAWはサブスクリプション・ベースでの動作が可能ですので、本格購入する前に試すことができます。

 

オーディオ・インターフェース

ホーム・スタジオ・システムを作る際、オーディオ・インターフェースは重要となってきます。さまざまなモニタールーティンを設定し、アウトボードギアに接続でき、複数のソースをレコーディングできる多くの入力と出力を備えた、高品質で超低レイテンシー・インターフェースが必要になります。最高品質のAD/DAコンバーターを持つインターフェースがあれば、サンプルレートの値に関係なく、最高品質のオーディオを録音することができます。これにより、レコーディングスタジオで使用していたのと同様の適応性と録音の忠実度を維持できます。

一部のインターフェースでは、作業工程に合わせてI/Oオプションをカスタマイズできます。ラックマウントはモバイルレコーディングの場合、簡単に移動できるため、リモート設備には最適です。コンピューターもですが、インターフェースも最も重要なレコーディング設備の一つです。将来のニーズを念頭において賢明に投資しましょう。I/Oオプションは、多すぎる方が少なすぎるよりも良いでしょう。

 

セッション・コントロール

フェーダー、ポット、トランスポート・コントロールを備えたコントロール・サーフェスは、ミックスとレコーディング作業のスピードを早め、スタジオコンソールの触覚的なアプローチをホームスタジオにもたらすことができるうえに、かなり手頃な予算です。一部のハードウェア・コントロール・ユニットはタブレットを組み込み、複数のユニットを一緒にリンクし、ニーズ(および予算)に合わせて選択でき、小規模もしくは大規模の機器構成で実践的にコントロールができます。一部のDAWはタブレットやスマートフォン向けのワイヤレス・ミキシング・コントロールができるアプリをリリースしており、外出先でのレコーディングもしくはホーム・スタジオ・システムに最適です。

 

レコーディング設備とワークフロー

ギターやドラム、ボーカルのトラッキングを専門としますか。それともご自分の思い通りにレコーディングをしますか?

例えば、ドラムをレコーディングするとき、部屋はサウンドにとって重要な意味を持つので、優れた音響効果を備えたスペースが必要となります。そのためには家を改造する必要があるかもしれません。それが不可能な場合は、音を形作るために少なくとも仕切りやバッフルを用意してください。もし広いレコーディングルームがある場合は、バッフルとマイクの配置を色々試して、どのように部屋がさまざまな音と互いに影響し合うのかわかれば、レコーディングの音色を操ることができます。

 

ギターやベースのレコーディングでは、アンプとキャビネット、マイクの選択について考える必要があります。リアンプは現場でのレコーディングに代わるもので、リモートでできます。チューブ・アンプ、ギター・マルチエフェクト・プロセッサー、さらにはアンプ・シミュレーターを介してリアンプするためには、クライアントはクリーンなギターレコーディング、もしくはベースのDIレコーディングを送る必要があります。コピーしたファイルをクライアントに返すこともできますが、オンラインコラボレーションセッションにドロップすることもできます。ドラマーやキーボードプレーヤーにMIDIインストゥルメントでそのパートを演奏させて、スタジオでバーチャル楽器をトリガーすることも考えていいでしょう。そうすると、実際に一緒に演奏する必要がなくなります。

 

ボーカルはリモートレコーディングに最適です。シンガーは自身のパートを録音し、そのトラックをあなたと共有し、クリーンアップしてミックスに合うように処理することができます。

ボーカルや楽器のマイクの選択は、どのようなスタジオでも一般的には同じです。しかし、予算に合わせて選択しないといけないので、過去に使ってみてよかったものを選びましょう。レコーディングしているミュージシャンの数によって、ヘッドフォンアンプ出力とキューモニター用ヘッドフォンが複数必要となるかもしれません。

 

音響処理されたホーム・スタジオ・システムを整えると、モニタリングが正確になります。部屋によって異なるため、マイクの測定やキャリブレーション ソフトウェア(calibration software)を利用してフリークエンシー(周波数)の問題を検出し、それに応じて部屋を整えましょう。新しいコントロールルームを扱うとき、 Sound On Soundのページでは、リスニングポジションの周囲で数回測定を行い、最終的には測定値にとらわれずに自身の耳を信じるべきだと提案しています。

 

不可欠なもの

自宅でトラッキングするのも、外出先でも、大容量のトラックを記録して、同時に複数のソースを録音できる容量がある処理能力の高いコンピューターが必要です。アップグレードを軽視しないでください。CPUの仕様を確認し、さらにプロセッシングが必要かどうかを決めます。メモリーは別の要素です。RAMは比較的手頃な値段で簡単にアップグレードができます。64GBがお勧めです。(バーチャルインストゥルメントは特に大容量のRAMを必要とします。)最高のパフォーマンスを確保するために、必須のオーディオと通信アプリのみをインストールして、システムがすっきりとした状態を保ちましょう。

 

オンボードDSPを備えたハイブリッド ハードウェアもしくはソフトウェア装置では、コンピューターの処理負荷の一部を軽くし、さらにサウンドを形作るオプションが増えます。処理できるトラック数が増えることは、あなたとあなたのクライアントの両方にとってメリットがあるでしょう。ハードウェア処理装置のプラグイン・エミュレーションはバンクを使わずに、いくつかの多機能性を加えることもできます。追加のボーナスとして、録音が必要などんな場所でも簡単に使用できます。

 

信頼性がある高速インターネット接続も必須です。コラボレーションする相手がそれぞれ異なる場所にいる場合、ビデオ会議を介して滞りなくデジタル・オーディオファイルとプロジェクトを受け取り、転送する必要があります。頻繁にファイルを送受信する場合、支払える範囲内の高データ許容量または無制限のプランを取り扱う最高速度のインターネットサービスを利用してください。

 

パワー調整装置はホーム・スタジオ・システムでの電気とノイズ問題を排除するのに役立ちます。さらに、他の場所で、品質がわからない電気配線を使用するとき、ギアを守ることにもなります。電源サージや停電が起きた場合でも、しばらくの間電源が維持されるように、無停電電源装置(UPS)を接続したままにしましょう。

 

人間工学に基づいた椅子やデスクなどの設備も忘れないでください。腰のサポートと調節可能なアームレストを備えた椅子があると、作業中に集中できます。インターフェースとハードウェアに簡単に手が届くラックマウントが付いた、ミュージシャン向けに特別にデザインされたデスクもあります。ホームスタジオ設備が整ったら、そこで多くの時間を費やすことになるので、快適で、機能的で、良い雰囲気のものにしましょう。

 

ホーム・スタジオ・システムを作るというのは、一度きりで終わることではありません。製品やソフトウェアは、その時々によって入手可能なものが異なるため、継続的にアップグレードしながら設備を整えていきましょう。まずは、今すでに持っているものから確認しましょう。どのような作業をするか、制作過程でどんな人とコラボレーションするかを考えましょう。適切な準備と設備があれば、プロフェッショナルで多用途なホームスタジオを手に入れることができます。

 

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ネイティブ vs. DSP プラグイン : ミュージック・プロデューサー・ガイド

プラグインは音楽制作に革命をもたらし、コンピュータ・システムがそのタスクに対応している限り、クリエイティブの可能性は無限大です。より多くのクリエイティブなオプションは、ネイティブとDSPプラグインのどちらを使用するかなど、より多くの決定をすることを意味します。違いは簡単で、ネイティブ・プラグインはコンピュータのCPUで処理されるのに対し、DSPプラグインは専用のハードウェアで処理されます。

しかし、いつネイティブ・プラグインを使うべきで、いつDSPを使うのがベストなのでしょうか?その答えを出すためには、各アーキテクチャーの内部で何が起こっているのかを知ることから始めなければなりません。

負荷を共有する:ネイティブ vs. DSPプラグイン

ネイティブ・プラグインとは?

ネイティブ・プラグインは、コンピュータのCPUのみで動作します。使用しているDAWに特化してコーディングされているものもあれば、様々なアプリケーションで動作するように開発されているものもあります。多くのプロデューサーは、ネイティブ・プラグインなしではどうしようもないほどのお気に入りのネイティブ・プラグインを持っています。DAWのネイティブ・プラグインのコレクションは、追加のハードウェアを持ち歩かずに外出先でも使用でき、プロジェクトの規模によっては必要なすべてのサウンドが含まれていることさえあります。

しかし、ネイティブ・プラグインを使用すると、処理負荷が増大し、システムの速度が低下したり、レコーディングのレイテンシーが高くなったり、プロセッサがオーバー・ロードしたりすることに気づくかもしれません。お使いの CPU パワーにもよりますが、コンピュータが停止して再生や録音が停止する前に、ネイティブ・プラグインを実行できる数の限界に達してしまうことがあります。その場合、オーディオにレンダリングされたプラグインのトラックをフリーズさせたり、バウンスさせたりするか、セッションのプラグインの数を減らす必要があります。

 

DSPプラグインとは何ですか?

DSPはデジタル・シグナル・プロセッサの略で、その名が示すように、DSPパワーによるプラグインは、コンピュータのCPUとは別のプロセッサで動作します:専用のアクセラレータ・カードやオーディオ・インターフェースに独自の処理チップを搭載したものです。これらのDSPチップは、オーディオ信号を処理するために最適化されており、より大規模で複雑なプロジェクトを可能にします。

DSPプラグインとの明らかなトレード・オフは、DSPプラグインが提供する機能を利用するためには、ハードウェアに投資する必要があるということです。

 

DSPデバイスとは何ですか?

DSPユニットにはいくつかの形態があります。コンピュータのPCIeスロットに直接インストールできるアクセラレータ・カード、外部エンクロージャーにマウントされたPCIeカード、Thunderbolt経由でコンピュータに接続するDSP専用デバイス、または入力、出力、信号処理のためのオール・イン・ワン・ソリューションとして機能するオーディオ・インターフェース内のDSPユニットです。DSP ハードウェア・デバイスには、デバイス内の処理チップを使用して動作するように設計されたプラグインがバンドルされています。

いくつかの DSP バンドルは、カードとインターフェースを備えており、最大の柔軟性と処理能力を提供し、大規模なプロのプロジェクトに対応します。どのような形であれ、DSPの目的は、プラグインの処理負荷の一部を引き継ぎ、CPUを解放することです。レコーディング用コンピュータをアップグレードする場合は、カードを再インストールするか、新しいコンピュータにDSPインターフェースを接続するだけで、簡単にDSPユニットを移し替えすることもできます。

DSPが正しい動きをするのはいつですか?

レコーディング・レーテンシーを短縮

レコーディング・セットアップにDSPテクノロジーを使用すると、複雑なDSPプラグイン・チェーンを介して、1ミリ秒以下という極めて低いレイテンシーでレコーディングとモニターを行うことができます。多くのDSPユニットに搭載されているプラグインは、クラシックなハードウェア・ギアをライセンスしたエミュレート機能も備えており、レコーディングやミキシングにクリエイティブなツールを提供してくれます。一般的にDAWでは、ドライ信号を録音するか、DSPプラグインのエフェクトをトラックにリアルタイムで出力して録音するかを選択することができます。

プラグインを使ってレコーディングする場合、DSPテクノロジーはレコーディングのレイテンシーを低下させます。ネイティブ・プラグインで同様の結果を得るには、通常、DAW側でエフェクト処理をバイパスするモード(ロー・レイテンシー・モニター・モードと呼ばれるケースが多いようです)を使用する必要があります。これは機能しますが、トラッキング中に全てのエフェクト処理された信号を完全に聞くことは出来ず、レコーディング中は、その該当トラックのプラグイン・エフェクト無しでモニターすることになります。

録音された信号に影響を与えるレイテンシーの量は、CPUの能力がレイテンシーを最小限に抑えるために必要な低いバッファー設定で動作するかに直接関係しています。CPU が追いつけない場合、クリック音やポップ音、歪みなどの音が発生します。バッファーを可能な限り低く設定することと、CPUがグリッチなしですべてのオーディオ処理するのに十分な時間を与えることの間には、常にトレードオフの関係があります。

マルチ・コア・プロセッサと最新のインターフェースを搭載した最新のハイエンド・コンピュータでは、32サンプルのバッファー設定で録音することができ、レイテンシーは数ミリ秒程度です。しかし、トラック数の増加とともに、そのバッファー設定を維持する事が難しくなり、さらに言うと、そもそも多くのインディペンデントやホーム・スタジオをベースにしたプロデューサーやミュージシャンにとって、最新かつ最高のレコーディング・コンピュータが必ずしも選択肢になるわけではありません。DSPは、プラグイン処理に利用できるリソースを増やすための柔軟で予算に優しい方法を提供することができます。

 

ミキシング・プロセスの効率化

DSPはミキシングにも非常に役立ちます。例えば、リード・ボーカル、3つのバッキング・ボーカル・トラック、左右にダブル・トラックされた2つのリズム・ギター、リード・ギター・トラック、ベース・トラック、ライブ・ドラム、さらに各チャンネルにEQとダイナミクス処理を加えたロック・ソング・セッションがある場合、CPUの需要はあっという間に増えてしまいます。その後、ソフトウェア・シンセ・パーツ、ドラム・サンプル・エンハンスメント、ボーカル・チューニングとエフェクト、リバーブとディレイ、アナログ信号のエミュレーション(コンソール・モデリングやテープ・エフェクトなど)、ミックス処理プラグインをマスター・バスに追加すると、CPUメーターが最大になり、処理能力に余裕がなくなってしまうかもしれません。

停止してトラックをフリーズさせたり、所定の位置にバウンスさせたりすることはできますが、レコーディングやミキシング・ゾーンで創造的な波に乗るのではなく、技術的な問題と格闘するために停止してしまうことになります。DSPカードやインターフェースがあれば、すべてのトラックのEQ、ダイナミクス処理、アナログ・エミュレーション・プラグインをDSPユニットにオフ・ロードするようにプロジェクトを簡単に設定することができます。これにより、バーチャル・インストゥルメントやネイティブ・エフェクト、バス・プロセッシングの追加など、トラックが必要とするものを何でも追加することができるようになります。

 

選ぶ必要はありません

DSPを搭載したプラグインを使ったからといって、ネイティブ・プラグインを完全に放棄すべきというわけではありません。DSPテクノロジーの真の力は、どちらか一方だけに頼るのではなく、ネイティブ・プラグインとDSP搭載プラグインの両方のメリットを最大限に活用できることです。CPUに依存せずに追加のプラグインを実行できるだけでなく、余分なリソースを解放してより多くのネイティブ・プラグインを実行するのにも役立ちます。

ワークフローにDSPを組み込むことを考えているのであれば、オーディオ・インターフェースとDSPを組み合わせたオール・イン・ワン・ユニットが最適です。Pro Tools | Carbonのようなユニットでは、同じプラグインのネイティブ・バージョンとDSPバージョンを切り替えることができるので、どんなレコーディングやミキシングの状況にも簡単に対応できます。例えば、あなたがDSPを搭載したプラグインを使いたいが、新しい協力者がネイティブ・バージョンしか持っていない場合、彼らのプラグイン環境に切り替えることができます。

DSPとネイティブ・プラグインのどちらか一方を選ぶのではなく、DSPは補完的なワークフローの強化であり、音楽制作の能力を全体的に向上させます。ネイティブ・プラグインは、プロデューサーのツール・キットの中で非常に重要な部分ですが、性能面にさらなるパワーが必要だと感じたら、DSPを検討してみましょう。

 

輝きを捉えるための新たなツール

AAX DSPプラグインを使用可能な、新しいタイプのオーディオ・インターフェイスPro Tools | Carbon。これにより、使用するコンピュータのパワーを限界まで使用し、ミックスやレコーディングを行う事ができます。

 

参考情報:
プラットフォームの進化 : エンジニアから見たAAX

 

Pro Tools | Carbon

アーティスト、バンド、プロデューサーに最適な高品位オーディオ・インターフェースです。