Avid S4導入事例 #40:東京サウンド・プロダクション

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テレビ朝日グループの総合プロダクションとして、半世紀以上の歴史を誇る株式会社東京サウンド・プロダクション(東京都港区)。編集/MAだけでなく、企画制作、撮影、音効選曲、中継/配信といった業務も行い、テレビ番組や企業VP、Webムービーなど、多様なコンテンツの制作を手がけています。六本木界隈に3つの拠点を擁する同社は昨年9月、六本木ヒルズからほど近い “EXタワープラススタジオ” の4階にあるMA室、『MA-405』 をリニューアル。長らく使用されてきたDAW一体型のデジタル・コンソールをリプレースする形で、Avid S4を導入しました。東京サウンド・プロダクションのチーフミキシングエンジニアである川﨑徹氏によれば、同社が大型のコントロール・サーフェスを導入するのは今回が初めてとのことです。

 

「弊社は現在、3つの拠点で計9部屋のMA室を運用していますが、システムとしてはデジタル・コンソールとPro Toolsの組み合わせが最も多く、“今回も同じシステムがいいのではないか” という意見がありました。しかし 『MA-405』 は、弊社のMA室の中では上2つに入る広さの部屋なので、フラッグシップ・スタジオとして最新鋭のコンソールを導入してみるのもいいのではないかと。同じ機材ばかりではなく、新しい機材を使ってみたいという想いもあり、S4を導入することになりました」(川﨑氏)

株式会社東京サウンド・プロダクション “EXタワープラススタジオ”(東京・六本木)
の4階にあるMA室、『MA-405』

『MA-405』 に導入されたS4は、24フェーダー/5フィートのベース・システムで、マスター・タッチ・モジュール(MTM)を右端に寄せたレイアウトを採用。MTM左側のフィラー・パネル/プレートには、TRITECH製のモニター・コントローラーが設置され、S4全体は日本音響エンジニアリングが製作した特注デスクに載せられています。

 

「S4では最大規模のコンフィギュレーションで、個人的にはもう少しコンパクトでもいいのではないかと思っていたのですが、ドラマとかの仕事でスタッフ2人が横並びで作業することを考えると、これくらいのサイズがいいのではないかと。それとS4はモジュラー設計になっているので、一部のモジュールが故障したとしても、動いているモジュールだけで作業を続けることができるんですよ。もしフェーダー・モジュールが1つ壊れたとしても、16フェーダーで作業を続けることができる。16フェーダーのシステムを導入して、フェーダー・モジュールが壊れて8フェーダーになってしまったら困りますから、リダンダントという意味でも24フェーダーの方がいいだろうということになりました。

特注のデスクは、手前のキーボードを置くスペースの奥行にこだわったり、右手にマウス操作がしやすいように半円状の出っ張りを作ってもらったりとか、日本音響エンジニアリングの担当者さんとディスカッションしながら、かなり使いやすく設計していただきました。サーフェース手前のキーボードを置くスペースは重要なのですが、その奥行を長くし過ぎてしまうと、フェーダーを操作するときに手が浮いてしまうんですよ。高さに関しても、ぼくは体格がいいんですが、女性のスタッフもいるので、皆の意見を聞きながらちょうどいい高さにしました。デジタル・コンソールが入っている他の部屋から来ても違和感なく作業できる高さになっていると思います」(川﨑氏)

新たに導入された24フェーダー/5フィートのS4

作業の中心となるPro Toolsは、HDXカード2枚のPro Tools | HDXシステムで、音効用にはHDXカード1枚のPro Tools | HDXシステムも用意。オーディオ・インターフェースはHD I/Oで、映像はNon-Lethal Applications Video Sync 5で再生されています。

 

「サーバーに関しては、3拠点すべてにAvid NEXISあるいはAvid ISISが入っており、すべてのネットワークで繋がっているので、どこからでも各サーバーにアクセスできるようになっています。各サーバーの容量は、拠点によって違いますが大体400TBで、Pro Toolsに関してはローカルのストレージは使用せず、完全にサーバー上ですべての作業を行なっています。弊社はサーバーやネットワークを導入したのが早かったため、サーバー上で作業するというワークフローが身に付いています。別の拠点のサーバーからも直接再生できるだけのバンド幅はあるのですが、サーバーはMAと編集の両方で使用しているので、トラブルを回避するために一度自分の拠点のサーバーにコピーするようにしています。大きな負荷をかけてエラーが発生しては作業に支障をきたすので」(川﨑氏)

S4は特注デスクの上に設置

スタジオ後方

リニューアル工事後、すぐにMAの仕事で使用されたという『MA-405』。東京サウンド・プロダクションのテクニカル・マネージャー/ミキシングエンジニアである大形省一氏は、S4のフェーダーの操作感を高く評価しています。

 

「他の部屋で使用しているS5 Fusionと比べても、S4のフェーダーの方が滑らかですね。それとエンコーダーも、マウスより直感的に操作できるので気に入っています。最近の若い人はキーボードを使っていきなり数値を入力してしまいますけど(笑)、ぼくらのようなアナログ世代はやっぱりこういうエンコーダーがあった方がいい。ナレーション録りとか、すぐに反応しなければならないときもエンコーダーがあればパッと対応できますからね」(大形氏)

 

また川﨑氏は、「コンソールのセッティングがPro Toolsの中で完結するところが一番気に入っている」と語ります。

 

「Pro Toolsとコンソールを組み合わせたシステムでは、Pro Toolsのセッションを呼び出して、コンソールをセッティングするという2つのアクションがどうしても必要になる。この部屋ではメインのミキサーとアシスタントの2マン体制で作業することが多いのですが、S4を導入してから作業前の準備も非常にスムースになりました。また、拠点間でデータをやり取りする際も、ファイルを簡単に持ち出すことができますし、他の部屋で組んだ複雑なセッティングがこちらで再現できなくて困るということもない。それとサーフェス上のレイアウトを自由に変えられるのも便利で、S4ではPro Tools上でのレイアウト変更が即反映される。些細な部分かもしれませんが、これだけでも作業上のストレスがだいぶ軽減されました。この快適さを知ってしまった今、他の部屋もすべてS4にしてほしいと思っているくらいです」(川﨑氏)

 

株式会社東京サウンド・プロダクション ビデオセンター MA課の
テクニカル・マネージャー/ミキシングエンジニアの大形省一氏(写真左)、
同社ビデオセンター MA課のチーフミキシングエンジニアの川﨑徹氏(写真右)

Avid S4

S4は、ファイナル・ミックス・ステージで業界標準のS6のミキシング・パワーを、よりコンパクトな環境でも実現可能です。