Avid VENUE | S6L + Avid S4 導入事例 #06:身延町総合文化会館

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日蓮宗の総本山である身延山久遠寺が所在する町として知られ、観光スポットとしても人気の高い山梨県南巨摩郡身延町。その中心部にある身延町総合文化会館は、1996年に開館した町立の総合文化施設です。約400席の多目的ホールをはじめ、レッスン室、録音室、メディア・ルーム、会議室といった施設を擁し、敷地内には町立の図書館も併設。会館の運営管理を手がける身延町教育委員会の竹之内あけみ氏によれば、施設の中心となるホールの音響は、過去に出演した人たちから非常に高く評価されていると言います。

 

「ホールの設計には、Abbey Road Studiosなどを手がけられた有名な豊島政実さんが関わられていて、音響が凄くしっかりしているんです。このホールを造るときに、地元に非常に音にこだわりのある方がいらっしゃって、“この辺りで一番音の良いホールにするんだ”と言って、豊島さんにお願いしたようですね。約400席のホールですので、フル・オーケストラに出演いただくのは難しいのですが、コンパクトなので客席の後方からでも歌手や奏者の顔がよく見えるのはこのホールの特徴です」(竹之内氏)

身延町総合文化会館の中心となるホール

客席数は約400席。音響設計には、有名な豊島政実氏が関わった

この身延町総合文化会館は昨年、大規模な改修工事を実施。今回の改修工事では、各部屋の音響機器が最新のものに更新されるのと同時に、施設内にシングルモードの光ファイバー回線が設置されました。竹之内氏は、「もともと音の良いホールの音質をさらに向上させて、使い勝手をよくし、録音室との連携を図るというのが今回の改修のコンセプト」と語ります。

 

「このホールは音響が高く評価されているわけですから、大前提として、今回の改修でその部分を損いたくないというのはありました。その上で実現したかったのが、会館職員でも簡単に扱える操作体系と、ホールと録音室の連携です。他のホールにはあまりない録音室という素晴らしいスタジオがあるのにも関わらず、設備の老朽化の問題などもあり、これまでは充分に活用できていませんでした。せっかくスタジオがあるわけですから、ホールと上手く連携させて、スムースに録音できるシステムを構築したいと考えたんです」(竹之内氏)

ホールの調整室に設置された新しいメイン・コンソール、VENUE | S6L

これらのコンセプトを実現するため、ホール常設の新しいコンソールとして選定されたのが、Avid VENUE | S6Lです。音響システムのコンサルティング/オペレートを担当する株式会社サウンド・ビレッジの清水利浩氏によれば、96kHzに対応している点が選定の大きなポイントになったと語ります。

 

「私がメインで仕事をしているレコーディングの世界では、96kHzのハイ・サンプル・レートが当たり前になっています。やはり96kHzの音質は素晴らしいですし、これまで以上のサウンドを目指すのであれば、システム全体を96kHzで動かしたいと考えました。今48kHzでシステムを構築したら、すぐに陳腐化してしまうのではないかと。サンフォニックスさんにご紹介いただいたVENUE | S6Lは、96kHzに対応していて使い勝手も良く、ほとんど迷わずに決まった感じですね」(清水氏)

VENUE | S6Lは、サーフェスは24フェーダーのS6L-24D、DSPエンジンはE6L-112、ステージ・ボックスはStage 32が2台という構成

身延町総合文化会館のVENUE | S6Lは、サーフェスが24フェーダーのS6L-24Dで、DSPエンジンはE6L-112という構成。E6L-112にはMADIカードが装着してあり、ステージ・ボックスは舞台袖にアナログ32ch入力のStage 32、調整室にアナログ16ch入力のStage 32が設置してあります。

 

「このホールでは、学園祭などで学生と一緒にコンソールを操作するケースもあるんです。2人に同時にオペレートしても画面の奪い合いにならないというところも、VENUE | S6Lを選定した大きな理由の一つです」(竹之内氏)

施設の運営管理を手がける身延町教育委員会の竹之内あけみ氏(写真左)、音響システムのコンサルティング/オペレートを担当する株式会社サウンド・ビレッジの清水利浩氏(写真中央)、
音響システムのプランニングを手がけた株式会社サンフォニックスの黒岩広巳氏(写真右)

そして録音室には、新しいDAWとしてPro Tools | HDXシステムを導入し、コントロール・サーフェスには8フェーダーのAvid S4を設置。オーディオ・インターフェースはPro Tools | MTRXで、都心のプロダクション・スタジオと比較しても遜色のないシステム構成になっています。

 

「レコーディングの現場での普及率と、他のスタジオとの互換性、しっかりライブ・レコーディングができる機能性を踏まえ、Pro Toolsを選定しました。S4を導入したのは、以前もミキシング・コンソールを使用していたので、それの延長というのもありますが、やはりコントロール・サーフェスがあった方が操作性が良いからです。普段からPro Toolsを使っている人であれば、キーボードとマウスだけでもサクサク操作できるんでしょうけど、そうでない人にとってはやっぱりフェーダーがあった方がいい。でも、今の時代はマウスがあれば十分という人もいるでしょうし、8フェーダーのS4くらいがバランス的にちょうどいいのではないかと思いました」(清水氏)

ホールに隣接する録音室。新しいコンソールとしてS4が導入された

オーディオ・インターフェースはPro Tools | MTRX

Pro Tools | MTRXは、アナログ32ch入力/アナログ16ch出力/AES 8ch入出力/デュアルMADI入出力という余裕のある仕様で、システム・プランニングを担当した株式会社サンフォニックスの黒岩広巳によれば、隣接するリハーサル室を使用した本格的なレコーディングを見据え、アナログ入出力を充実させたとのことです。

 

「録音室とリハーサル室は、かなり設備がしっかりしているんです。マイク・ポケットが32ch分あり、キュー・システムの用意もある。そんなスタジオ機能を進化させるとなると、S4とPro Tools | MTRXの組み合わせがベストだと思い、ご提案させていただきました。一方、ホール側とはMADI回線で音声の送受信ができるようになっているのですが、同時に調整室のVENUE | S6LともAVBで接続してあります。これによってMADIとAVB、どちらでもやり取りすることができ、なおかつ冗長性のあるシステムにもなっているというのがポイントです。Pro Toolsスタジオにシングルモードの光ファイバー回線を引くのは、弊社的にはこれが初めてのケースでしたので、Avidのサポートとやり取りしながら慎重にプランニングを行いました」(黒岩氏)

 

コロナ禍により、改修後の本格運用はこれからという身延町総合文化会館ですが、清水氏はその仕上がりには大変満足していると語ります。

 

「皆さんのおかげで、想像以上のシステムを構築できたと思います。以前よりもさらに上の音質を実現することができましたし、舞台袖や事務室からも簡単に音響をコントロールできるようになりました。現状、非常に満足していますが、まだまだ伸びしろを感じますので、これからじっくりチューニングしていきたいですね」(清水氏)

 

「こういう中小規模のホールって、日本全国にたくさんあります。今回のシステムは、高品質で柔軟性や拡張性、将来性のある、ホールのモデルケースになるような内容だと思います。これからの時代、地方発信の配信ライブなども増えていくと思いますが、このホールだったら十分対応できるのではないのでしょうか」(黒岩氏)

最新鋭の機材が導入されたホール隣接の録音室

VENUE | S6L

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