Avid S4導入事例 #33:Avidポストプロダクション・ソリューションで映画、音楽、3Dサウンドを網羅した釜山サウンドステーションが誕生

By in Pro Mixing, オーディオ
出典:AVMIX 2021年1月号
文:イ・ムージェ(記者)
写真:イ・サンウ(記者)

釜山の文化コンテンツ制作の中心

釜山は、韓国映画の歴史に輝く1000万人以上を動員した映画の背景にしばしば登場してきました。すぐに思いつくものだけあげても、「友へ チング」、「釜山行き」、「海雲台(邦題:TSUNAMI-ツナミ-)」、「犯罪との戦争」、「弁護人」などが思い浮かびます。更に、有名な「アベンジャーズ」シリーズの「ブラックパンサー」は、釜山の美しい景色を背景にロケ撮影を行い、世界中の映画ファンの間で話題になりました。

釜山の映画ポストプロダクション施設は、コンテンツ制作の原動力としての役割を果たしており、釜山映画産業をリードしてきました。その施設は、釜山海雲台区センタムシティにある地下1階と4階の建物内にあります。釜山市は、総予算15億ウォンでまずは4部屋、最先端の音響施設である釜山サウンドステーションを建設しました。釜山サウンドステーションには、5.1チャンネルのミキシングルーム、グリフィス・レコーディングルーム、効果音レコーディングルーム、トレーニングルームがあります。最新のトレンドに合わせて、7.1.4のDolby Atmos 3Dサウンドシステムと、そのミックスを行う為のリソースも確保されています。トレーニングルームには質の高い設備を搭載し、奥深いインテリアを追求しました。ロケーション・レコーディングだけでなく、カラーコレクション、CG、全体的なサウンドメイクも、すべて1か所で行えるため、作業効率と集中力を大幅に向上することが期待されています。

高品質の映画ポストスタジオのサウンド・マスタリングルーム

サウンドステーションは、ビルの1階にある珍しい音響関連施設であるため、非常にアクセスしやすいです。サウンドステーションの1階で、最も目立ち且つ大規模でアクセスしやすい場所にあるのが、マスタリングルームです。マスタリングルームは、275㎡のスペースを保有する非常に大きなオーディオ施設です。釜山映画委員会に所属し、ウンドステーションのデジタル機器の操作を担当しているマネージャーのキム・ウヨン氏は、次のように述べています。
「最終的なマスタリングを行う場所なので、実際のシアターと同じ環境を可能な限り維持する必要があります。どんなに多数の機材を装備していても、部屋の環境が違うと音も違います。施設の大きさという点では、韓国でも最上級の施設であり、既存映画のポストワークスペースの中で考えても、実際のシアター環境に最も近い施設と言えるでしょう。」

最も重要なDAWシステムは、業界で絶対的なシェアを占めているPro Tools | HDXシステムで構成されています。一緒に使用されているソフトウェアは、Pro Tools | Ultimateです。そして、このシステムを制御するコントロール・サーフェスとして、Avid S4が導入されています。

Avid S4は、特にポストワークなど中小規模スタジオ向けに非常に効率的です。このシステムの入出力インターフェースは、Pro Tools | MTRX Studioで処理されています。Pro Tools | HDXとPro Tools | MTRX Studioの組み合わせは、他の3つの部屋にも適用されています。

すべての作業は、最新のPro Tools | Ultimateソフトウェア、高性能サーバーおよびネットワーク・インフラを介して、他のスタジオと共有されます。言い換えれば、ハードウェアとソフトウェア、オンラインとオフライン、各スタジオルーム間で、統合されたワークフローは形成されています。これにより、釜山サウンドステーションは、最新のシステムを備えているだけでなく、これまでにない新しいワークフローを提供する統合スタジオとして誕生したと言えます。

Pro Tools | HDXシステム、Pro Tools | Ultimateソフトウェア、
Avid S4コントロール・サーフェスを組み合わせた統合された作業環境

7.1.4 Dolby Atmos基準を満たすバックサイト・レコーディングスタジオ

一般的なアフレコスタジオは、声優が1名程度入ることができる非常に小さなブースと、PCとモニタースピーカー程度を備えたコントロール・ルームで構成されている場合が多いです。しかし、サウンドステーションのバックサイト・レコーディングルームには、大きなレコーディングブースと、Pro Tools | HDX + Pro Tools | MTRX Studioを組み合わせたコントロール・ルームと、3Dサウンドプロダクションを行うための7.1.4 Dolby Atmosミキシング環境が備わっていて、スタンドアロンのスタジオとして考えた場合でも、非常に優れた施設です。これは、この空間を、今後は単なるバックサイト・レコーディングスタジオではなく、次世代のImmersiveサウンド・コンテンツを作成することができる空間としても活用していくという、サウンドステーション側の意欲が伺える部分です。

バックサイト・レコーディングスタジオには、
3D Immersiveサウンドまで対応可能な7.1.4Dolby Atmosシステムが装備

すべての音を作り出す効果音レコーディングスタジオ

一般的にフォーリースタジオや効果音レコーディングスタジオの規模はそれほど大きくありません。作り出す音の多さに比べて、それほど大きな規模が必要ないからでしょうか。サウンドステーションの効録音レコーディングスタジオは、ゆったりとした広さで、様々な効果音を不快感なくクールなアクションで作成することができように配慮しています。最近は、サウンドライブラリが充実していて、あえて効果音のためにレコーディングが不要な場合が多いですが、もし気に入ったサウンドが見つからない時は、効果音レコーディングスタジオが非常に有益だと思います。そうは言っても、Pro Tools | HDXとPro Tools | MTRX Studioセットとコントロール・サーフェスのAvid S1が搭載されていますので、必要に応じて高品質な音楽ミキシングに十分な環境を提供されています。

 

柔軟な編集環境とサウンド編集ルーム

サウンド編集ルームは、独立したレコーディングブース無しで、ミキシングと編集作業を行うための部屋です。サウンドステーションの中で、最も小さい規模の部屋ですが、それでも十分な品質で作業が行えるように、5.1チャンネル・サラウンドワークが可能なモニタリング環境を備えています。この部屋にも、統合システムPro Tools | HDXとPro Tools | MTRX Studio、コントローラーのAvid S1を組み合わせて搭載し、ハードウェアとPCとソフトウェアの緊密な統合ワークフローを実現しています。モニタリングスピーカーとして導入されたのは、PMC Result6、5ユニット、TwoTwo Sub1サブウーファーの構成です。

 

フォーリーサウンド専用スタジオの効果音レコーディングスタジオ

効果音レコーディングスタジオは小さめの2チャンネルスタジオですが、
コントロール・サーフェスのAvid S1、Pro Tools | HDXとPro Tools | MTRX Studioの組み合わせを搭載

人的インフラを拡充するために準備されたトレーニングルーム

最後にご紹介するのは、最新のiMac10台がトレーニング用に用意されているサウンド・トレーニングルームです。受講者席には、オーディオ・インターフェースも含め、サウンド編集のプロセスを最初から最後まで完全に体験できるように設計されています。また驚くべきことは、Pro Tools永続ライセンスが、教育者を含む11フルライセンスが無料でインストールされていることです。

トレーニングルームには、すべての座席に最新iMacと
オーディオ・インターフェースを装備し、最高の教育環境を提供

すべてのスタジオのPro Tools | HDX DAWシステムは、2階にあるサーバールームとネットワーク接続されています。これにより、相互のデータ交換だけでなく、1つのプロジェクトを同時に複数の場所で開くことができ、有機的な作業が可能になります。例えば、一方をミキシングしてマスタリングを実行中に、もう一方では効果音の作業を行い、もう一方では、バックサイトでレコーディングしたりすることが可能です。プロジェクトのアップデートも非常にスムーズで有機的なので、第4次産業革命時代の作業環境の変化を、身をもって体験することができました。

 

今後この場所は、ポストプロダクションのサポート施設や地元の映画制作会社のコンテンツ制作スペースとして活用される予定です。さらに、映画制作会社は、ロケーション・レコーディング、カラーコレクション、CG、全体的なサウンドメイクをこの1か所で処理できることを望んでおり、それにより作業効率と集中力が大幅に向上します。

この後、釜山市は、地元の映画制作会社や映画業界、地元の大学、韓国映画アカデミーなど、センタム革新地区の関連組織や個人とさまざまな関連プログラムを運営し、緊密な協力体制を確立する予定です。

釜山サウンドステーションの施設管理を担当するマネージャーのキム・ウヨン氏(左)と
運営を担当するリム・ギョンロク氏(右)

 

本ブログは、AVMIX 2021年1月号に掲載された「映画から音楽と3Dサウンドを網羅したポストプロダクション 釜山サウンドステーション – 文:イ・ムージェ(記者)、写真:イ・サンウ(記者)」の一部を抜粋したものです。

 

Avid S4

S4は、ファイナル・ミックス・ステージで業界標準のS6のミキシング・パワーを、よりコンパクトな環境でも実現可能です。