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Avid VENUE | S6L 導入事例 #04:吹田市文化会館 メイシアター

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大阪・吹田市のメイシアター(正式名称:吹田市文化会館)は、1985年に開館した多目的ホールです。同じ建物内に大ホール(1,382席)、中ホール(492~622席)、小ホール(153席)という3つのホールを擁し、レセプション・ホールやリハーサル室、練習室、会議室なども併設。阪急吹田駅から徒歩1分という立地の良さもあり、その稼働率は実に8割以上を誇ります。同ホールの運営管理を行う吹田市文化振興事業団の前川幸豊氏によれば、稼働率が高い市民ホールとして、全国から視察に来ることもあるといいます。

 

「利用料金が比較的安く、大ホールと中ホールに関しては、音響スタッフ2名、照明スタッフ2名、舞台スタッフ2名が常駐していることも稼働率の高さに繋がっているのではないかと思います。講演会で急に生演奏が入るようなことになっても、常駐スタッフだけで対応できますからね。3つのホールは、すべて多目的ホールではあるのですが、大ホールは残響を生かしたコンサートやオペラ、中ホールは演劇やミュージカルのほか、能や狂言といった古典芸能で使われることもあります。少し特殊なのが小ホールで、舞台は開館当時ブームだった人形劇を想定した造りになっているのですが、最近はシャンソンのコンサートで使われることが多く、ちょっとしたシャンソンのメッカになっているんです」(前川氏)

大阪・吹田市の吹田市文化会館『メイシアター』

1,382席の大ホール

そんなメイシアターは昨年から今年にかけて、大規模なリニューアル工事を実施。2018年の大阪府北部地震で被害を受けた大ホールを復旧するとともに、すべての施設の改修工事が行われ、今後10年を見据えた新しい市民ホールへと生まれ変わりました。もちろん音響システムも更新され、大ホールと中ホールには新しいコンソールとしてAvid VENUE | S6Lを設置。また、スピーカーやパワー・アンプなども最新鋭の機材で固められました。前川氏によれば、“音響特性の均一化”が新システムの大きなコンセプトだったといいます。

 

「以前はカラム室の中にスピーカーがあり、プロセニアム・スピーカーはシーリング内に吊り下げていたので、どうしても音の明瞭度の高い場所と聴き取りづらい場所の格差があったんです。ですので今回のリニューアルでは、音響特性をできるだけ均一にしたいと考え、プロセニアム・スピーカーを露出型で設置することにしました。また、電源周りもCEE-Formとパワコンによって200Vにも対応するなど、音響面での“基礎体力”を全面的に向上させています」(前川氏)

 

大ホールの調整室に設置されたVENUE | S6L-24D

後方のラックにマウントされたStage 32とVENUE | E6L-144

大ホールと中ホールに導入されたVENUE | S6Lの仕様はほぼ同一で、サーフェースはVENUE | S6L-24D、ミックス・エンジンはVENUE | E6L-144、ステージ・ボックスはStage 64とStage 32という構成。今回のリニューアルでホール内のデジタル回線は完全にDante/AVB対応になり、VENUE | E6L-144とパワー・アンプ/プロセッサー類はすべてDanteで接続されています。

 

「VENUE | S6Lに関しては、大阪で行われている展示会『サウンドフェスタ』で実機を見て、すごく好印象だったんです。こういう市民ホールにVENUE | S6Lのような最新鋭のコンソールがあるというのはおもしろいんじゃないかなと思い、導入を決めました。お世話になっている滋賀県立芸術劇場 びわ湖ホールさんにVENUE | Profileが入っていて、国内ホールでの実績があったというのも大きかったですね」(前川氏)

 

吹田市文化振興事業団の谷尾敏氏は、これまでもAvidのライブ・コンソールの使用経験があり、マン・マシン・インターフェースとなるVENUE Softwareを高く評価していたと語ります。

492~622席の中ホール

中ホールの調整室に設置されたVENUE | S6L-24D

「私は大阪・梅田のサンケイホールブリーゼでVENUE | Profileを使っていたことがあるのですが、VENUE Softwareは使い勝手が良く、非常に完成度の高いソフトウェアなんです。ソフトウェアの柔軟性によって、いろいろな使い方に対応できるというのは素晴らしいですよね」(谷尾氏)

 

大阪・北摂エリアを代表する市民ホールに常設卓として導入されたVENUE | S6L。コロナの影響もあり、本格運用はこれからとのことですが、前川氏・谷尾氏ともにそのサウンドと機能には非常に満足していると語ります。

 

「VENUE | Profileは、良くも悪くも“Profileの音”になってしまう印象があったのですが、新しいVENUE | S6Lはクセがなくなったというか、良い意味で普通の音になった感じがします。サーフェースの操作感も、スイッチ類が増えて格段に良くなりました。導入工事が終わったばかりで、まだ使い方を模索している段階なのですが、これから使いこなしていきたいと思っています」(谷尾氏)

 

「今回のリニューアルの音響面での目標だった“音響特性の均一化”はしっかり実現できたのではないかと思います。当館のような市民ホールは、ライブ・ハウスなどと比べるとイベント内容が地味というイメージがあるのか、若いスタッフがなかなか入ってきてくれません。VENUE | S6Lのような夢のある機材があるということをアピールして、若いスタッフを増やしていきたいですね」(前川氏)

写真手前左から、メイシアターの運営管理を行う公益財団法人吹田市文化振興事業団 舞台管理課長代理の前川幸豊氏、同じく舞台管理課の谷尾敏氏、写真後方左から、音響機器の納入を担当したジャトー株式会社の松尾茂氏、システム・プランニングを担当したROCK ON PROの森本憲志氏

吹田市文化会館 メイシアター

http://www.maytheater.jp/

VENUE | S6L

ライブサウンドの次なる進化 ― 賞に輝くVENUE | S6L なら、世界で最も要求の厳しいライブサウンド・プロダクションも簡単に扱うことができます。




Avid S6導入事例 #30:テレビ愛知株式会社

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テレビ愛知株式会社(愛知県名古屋市)は、愛知県を放送エリアとしているテレビ東京系列の放送局です。開局は1983年のことで、経済・情報番組をはじめ、地元に根付いたオリジナル番組の制作に取り組んでいます。2020年3月には、名古屋に本社を置く他の放送局と共同で、動画配信サービス『Locipo(ロキポ)』を立ち上げ、大きな話題になりました。

 

そんなテレビ愛知は今春、本社社屋内にあるMA室の全面改修を実施。機材を入れ替えるだけでなく、ルーム・アコースティックや内装にも手を入れ、これからの10年を見据えた新しいMA室にリニューアルしました。テレビ愛知 デジタルネットワーク局 技術部の水野正基氏は、「とにかく“快適に作業できる空間”、これが今回のリニューアルのコンセプトでした」と語ります。

 

「以前のコンソールは部屋のサイズと比べると大きく、その奥にはモニター棚も設置してあったため、部屋全体が少々窮屈で、居心地があまり良いとは言えなかったんです。真正面にはセンター・スピーカーがあったので、Pro Toolsのモニター・ディスプレイの位置が高く、長時間作業していると首が痛くなってしまったり……。ですので今回のリニューアルでは、オペレーターが快適に作業ができる空間を目指し、コンセプトを練っていきました。快適な作業空間を実現するために行ったことの一つが、ステレオへの回帰です。この10年、サラウンド・コンテンツの制作実績がほぼ無かったので、思い切って5.1chをやめてステレオに特化し、空間を有効活用することにしたんです。また、スポットと蛍光灯しかなかったスタジオ内の照明を、部屋を広く見せるために間接照明を入れて、雰囲気も良くしました」(水野氏)

テレビ愛知株式会社(愛知県名古屋市)の新生MA室

そして新しいMA室のワークフローの中心として導入されたのが、Avid S6です。以前のコンソールは32フェーダーのICON D-Control ESシステムでしたが、今回の更新では少しコンパクトに、24フェーダーのシステムが導入されました。テレビ愛知のグループ会社、アイプロ技術部長の牟禮康貴氏は、「ほとんど迷うことなくS6に決めました」と語ります。

 

「他の放送局での実績もありましたし、ここで行うMAという作業内容を考えたら、もうS6しかないだろうと。サイズだけで言えば、もっとコンパクトなコントロール・サーフェースもあったのですが、実際に触ってみるとS6はフェーダーの感触が全然違いますし、これしかないという感じでしたね。今回24フェーダーにしたのは、できるだけ部屋を広く使いたかったからなのですが、実際に32フェーダーあったとしても、一人で作業するときにそこまでの本数を必要とすることはないんです。16フェーダーでも問題ないくらい(笑)。ただ、音効さんと並んで作業を行うケースもあるので、左端の8フェーダーはほぼ音効さん用という感じです」(牟禮氏)

S6は24フェーダー/5ノブの構成

S6は日本音響エンジニアリング製の特注デスクに収納し、手前にはキーボードとトラックボールなどを置くためのスペースを確保。Pro Tools用のディスプレイには、大型のウルトラ・ワイド曲面モニターが導入されているのも目を惹きます。

 

「以前は23インチ・ディスプレイを2台並べていたのですが、真ん中の繋ぎ目がずっと気になっていたんです。他のスタジオを見ると、2台のディスプレイを離して設置してあるところもありますが、やはり隙間なくくっ付けたいなと。インターネットで検索してみると、海外のスタジオではワイド・ディスプレイを導入しているところがけっこうあったので、そういった事例を参考に曲面モニターを導入することにしました。必要に応じて手前に引き出せるようにしてあるので、とても使いやすいですね。また、上には映像用のモニターとタイムコード・ディスプレイ、映像用モニターの左側にはメーター用のディスプレイ、右側にはブースを映したモニターを設置し、さまざまな情報を最低限の視線の移動で確認できるようにしてあります。このディスプレイ類の配置には随分悩んだのですが、悩んだ甲斐あってイメージどおりの作業環境を実現することができました」(牟禮氏)

手前に引き出せるようになっている大型のウルトラ・ワイド曲面モニター

各種ディスプレイ類をバランス良く配置することで、最低限の視線の移動で作業できるようになっている

Pro Toolsはカード1枚のHDXシステムで、ラックマウント仕様の新型Mac Proで運用。オーディオ・インターフェースはS6と同時に導入されたPro Tools | MTRXで、モニター・コントローラーとしてタックシステム VMC-102も設置されています。

 

「VMC-102は操作性が良く、HDMI変換時に生じるディレイなども補正できるので導入しました。VMC-102にはビデオ・スイッチャーも接続してあり、ワン・アクションで音と映像のモニターを切り替えられるようにしてあります。音を切り替えると映像も勝手に付いてくるので、映像を切り替えるという感覚がない。これは凄く快適ですね」(牟禮氏)

今回新たに導入されたPro Tools | MTRX

Pro Toolsは、ラックマウント・タイプの新型Mac Proで運用

改修工事後、直ちに運用を開始したというテレビ愛知の新生MA室。水野氏は、“快適な作業空間”という目標は十分に達成できたと語ります。

 

「最初はS6の操作に少し戸惑うかなと思ったのですが、ショートカット的なスイッチが備わっているので、比較的スムーズに移行することができました。S6はコンパクトで、ショートカット的なスイッチが右側に集中していることもあり、操作性は凄く良いですね。フェーダーの感触も柔らかくて気持ちいい。ディスプレイ・モジュールも次に来る音が目で見て分かるので気に入っています」(牟禮氏)

 

「音もかなり良くなった印象です。以前はスピーカー・プロセッサー、マトリクスとして別のメーカーのものを使っていたのですが、今回はPro Tools | MTRXからスピーカーに直結しているので、シンプルなシステムになり、音がクリアになった気がします。当初の目的は達成できたと思っているので、今後は映像を含むファイル・ベース・システムとの連携を考えていきたいと思っています。いろいろなケース・スタディーが出てきているので、どのようなシステムがベストなのか。ファイル・ベースとの連携が次の課題ですね」(水野氏)

写真手前左から、テレビ愛知の水野正基氏、アイプロの牟禮康貴氏、写真奥左から、ROCK ON PROの廣井敏孝氏、同じくROCK ON PROの前田洋介氏

テレビ愛知株式会社

https://tv-aichi.co.jp/

Avid S6

S6は、モジュール式設計であり、構成されたシステムを選択するか、または独自のシステムを構築することが可能です。




Pro Tools | Carbonとは?

イントロダクション

Pro Tools | Carbon は、音楽制作を行うアーティスト、バンドそしてプロデューサーのためにデザインされた新世代のオーディオ・インターフェースです。

将来性のあるイーサーネット標準プロトコルAVBによるコンピューターとの接続、マイク/ライン/インスト入力、専用モニターアウトや独立キューミックス制作可能な4つのヘッドフォン出力までカバーする高品位I/Oの搭載、そしてネイティブCPUパワーとオンボードHDX DSPアクセラレーションの両方の特長を生かすことが可能な、この「ハイブリッド・オーディオ・プロダクション・システム」は、数多くの最先端のテクノロジーにより、大規模で複雑なミックスを行いながらも、AAX DSPプラグインを活用しながら最小のリアルタイム・モニタリング・レイテンシー(モニター時の遅延)で高品位なレコーディング作業を行う事が可能となり、しかも、その全てのオペレーションを、Pro Tools上だけで、シンプルに完結することができます。

Carbon開発の経緯

Pro Tools | Carbonを使うと、デジタルの世界でレコーディングするミュージシャンの最大の悩みであった「レイテンシー問題」が解消され、アナログ・レコーディングの時と同じ感覚で、そのパフォーマンスを行う事ができるようになります。ここでの「レイテンシー」とは、デジタル・レコーディング・プロセスでレコーディングを行う際に生じる「モニタリング遅延」、つまりアーティストがパフォーマンスを行ってから、そのサウンドがモニターしているヘッドフォンに届くまでの時間の遅れをさしています。

Pro Tools | Carbonでは、AvidのフラッグシップであるPro Tools | HDXシステムで採用されているDSPプロセッシング・アクセラレーション機能を搭載することで、常に超低レイテンシーでの録音時のモニタリングが実現可能となりました。これにより、最大限のCPUパワーをミキシング・プロセスに使用しながら、レコーディング時のオーディオ処理に特化した形でHDX DSPチップを活用し、低レイテンシーによるストレスのないレコーディング・セッションが行えるようになります。この実現の基礎となっているのが、Pro Tools | Carbonに搭載され、全Pro Toolsユーザーが利用可能となる「ハイブリッド・エンジン」機能です。

ハイブリッド・エンジン機能

ハイブリッド・エンジンを使用することで、Pro Toolsミキサーは、近年、そのパワーが増大してきているホスト・コンピューターのCPUプロセッシングを使って作業しながら、レコーディングやオーバー・ダブ等を行う際、そのレコーディング用トラックを簡単にネイティブ・モードからDSPモードに切り替えることができます。この作業を行う事で、そのトラック並びにそのトラックのパスが影響している関連トラックには、Carbonに搭載のHDX DSPチップが使用され、ネイティブ・ミキサーはバイパスされます。

それにより、レコーディングで使用する全トラック・パスが、低レイテンシー・モードとなりながらも、その他のトラックは、ネイティブ・モードでそのまま動作し、両方の世界を一つのPro Toolsセッション上で展開することが可能となります。

レコーディング終了後、必要に応じて、DSPモードとなったトラックをネイティブ・モードにスイッチすることも簡単です。Pro Toolsアプリケーションから、一切離れることなく、シンプルにボタンをクリックするだけで、全オペレーションを実行可能です。

AAXプラグイン・フォーマットは、既に「ハイブリッド・エンジン」に完全対応しています。DSPモードで動作するAAX DSPプラグイン全てが、AAX Nativeに対応していますので、必要に応じてDSPモードとなっているトラックをネイティブ・モードに戻した際も、そのままのサウンド・クオリティーで機能し、動作します。つまり、Pro Tools | Carbonで作業したセッションは、ハードウエアが接続されていない状態でも、DSPモードを使ってレコーディングしたトラックも含め、全てそのままオープンし、ソフトウエアだけのモバイル環境であっても、ミキシング作業を継続することも可能となるのです。

デザインの哲学

レコーディング・アーティストのためにデザインされたPro Tools | Carbonは、音質面でも一切妥協していません。チャンネル毎に4基搭載されたADCは、126dBのダイナミック・レンジを誇ります。入力からHDX DSP、そしてPro Toolsに至るまで、全てのゲイン・ストラクチャーは32-bit精度(内部ミックスは64-bitフローティング処理)で行われるため、シグナルを劣化させることなく、十分なヘッドルームを確保することができます。

クロック精度も、音質にとって重要な要素の一つです。Pro Tools | Carbonでは、JetPLLジッター除去テクノロジーの倍精度のクロックを採用しており、オーディオ品質を最大限に保つことができます。

Pro Tools | Carbonは、パッドレス・デザインのマイク・プリアンプを8基搭載しており、Avid史上最も高い透明度を実現しています。Variable Zも、装備していますので、ダイナミック・マイクやリボン・マイク、さらにはギターやベース等のインストゥルメントのトーンを最適化させたり、変更したりすることが可能です。

製品構成

Pro Tools | Carbon は、Carbonオーディオ・インターフェース・ハードウエアとPro Toolsソフトウエア及び各種AAXプラグインが、完全統合されたバンドル製品で、動作させるコンピューターや楽器、マイク、オーディオ再生装置以外の必要なもの全てが揃ったオール・イン・ワン・システムです。また、新規だけでなく、既存のPro ToolsおよびPro Tools | Ultimateユーザーも、その有効な年間サポート/アップグレード・プランを延長しながら利用することができます。

まとめ

Pro Tools | Carbonは、レコーディングするアーティストやプロデューサーの誰もが必要としていた音質、機能、そして操作性を備えています。Pro Tools | HDXで培ってきた技術を生かし、ネイティブのパワーとDSPのスピードの両方を兼ね備えたPro Tools | Carbonは、より多くのミュージシャンが入手可能となる、究極のハイブリッド・オーディオ・プロダクション・システムと言えるでしょう。

製品詳細は、avid.com/carbon をご覧ください。

 

【関連リンク】

Pro Tools | Carbon

アーティスト、バンド、プロデューサーに最適な高品位オーディオ・インターフェースです。




Pro Tools | MTRX+Avid S4 導入事例 #29:株式会社IMAGICA SDI Studio

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国内最大規模のポストプロダクション事業者であるIMAGICA Lab.と、世界最大規模の映像コンテンツ・ローカライズ事業者であるSDI Media Groupの共同出資によって設立された新会社、IMAGICA SDI Studio(東京・築地)。同社は今年2月、浜離宮公園からほど近いビルのワン・フロアに、大規模なダビング・スタジオを開設し、運用を開始しました。映像コンテンツの音響制作に特化した同スタジオは、ブースを完備したダビング・ルーム4部屋(102〜105)と、Dolby Atmos Home Masteringに対応した広大なミックス・ルーム(101)で構成。IMAGICA SDI Studio代表取締役社長の野津仁氏は、「音響制作に関わるあらゆる作業をワン・ストップで遂行できる体制が整っている」と語ります。

 

「2015年4月、SDI Media GroupがIMAGICA GROUPのグループ会社になったのを機に、IMAGICA Lab.とSDI Media Groupのコラボレーションが始まったのですが、それがIMAGICA SDI Studio設立のきっかけになっています。IMAGICA Lab.とSDI Media Group、両社の国内外のお客様から日本語吹替版制作を長らく期待されていたこともあり、日本国内で共同で事業をできないか検討を開始しました。そして2017年初頭、五反田にあるIMAGICA Lab.のMA室を改装してテスト的に業務をスタートし、次のステップとして吹き替えやアフレコに特化したダビング・スタジオを開設することになったというわけです」(野津氏)

IMAGICA SDI Studioのミックス・スタジオ『101』。Dolby Atmos Home Masteringに対応

IMAGICA SDI Studioのダビング・スタジオ『102』。Avid S3が導入されている

IMAGICA SDI Studioのレコーディング・ブースに入って驚くのが、その天井の高さです。約3mという天井高は、モダンなデザインの内装も相まって、オフィス・ビルのワン・フロアにあることを忘れてしまうほど。IMAGICA SDI Studioのミキシング・エンジニアである丸橋亮介氏によれば、ブースの広さに関してはSDI Media Groupの担当者から強いリクエストがあったとのことです。

 

「海外の人たちは、“ブースの響きは要らない、残響は後から加える”というのが基本的な考え方で、SDI Media Groupの担当者からは、“ロビーや共用部は最低限に、ブースの広さをできる限り確保してほしい”という強い要望がありました。確かに、天井が低いブースですと役者さんは窮屈でやりにくいですし、長尺の映画の集合録りでは、ほぼ1日ブースに入らなければならないわけですからね。ですので広さと天井高は、物件選びの重要なポイントでした」(丸橋氏)

 

「SDI Media Groupの担当者は最初、“天井高は3mは欲しい”と言っていたのですが、彼は日本の事情をよく知っているので、内心では3mの天井高は難しいと感じていたと思うんです。ですので十分な天井高を確保できたと知らせたら、すごく喜んでいましたね」(野津氏)

ダビング・スタジオ『102』のレコーディング・ブース。十分な広さと天井高が確保されている

そしてIMAGICA SDI Studioのプロダクションの中核を担うのが、Pro Tools | HDXとPro Tools | MTRXのコンビネーションです。Pro Tools | HDXは、5部屋あるスタジオすべてに導入され、Dolby Atmos Home Masteringに対応したミックス・スタジオには、効果用も含めて2台導入。また、すべてのPro Tools | MTRXには、音場補正用のSPQ Speaker Processing Cardが装着されています。

 

「Pro Tools | MTRXは、とにかく音質が素晴らしいですね。音の劣化がまったく感じられないですし、変な色も付け足されない。非常に満足しています。それとSpeaker Processing Cardも凄く良いですね。Dolby Atmos Home Masteringに対応した『101』は、センター・スピーカーだけスクリーンが被っているのですが、それによって真ん中が若干ロール・オフしてしまうんです。それを補正するには、センター・スピーカーのハイを持ち上げるか、あるいは他のスピーカーのハイを落とすかという選択になるのですが、今回は、SPQ Speaker Processing Cardを使ってプラス方向で補正しました。GenelecのGLMは、スピーカーそのものの鳴りを尊重するマイナス方向の補正なので、必要なプラス・アルファの部分をSPQ Speaker Processing Cardで補ったんです」(丸橋氏)

すべてのスタジオに導入されたPro Tools | MTRX。SPQ Speaker Processing Cardを装着、音場補正もPro Tools | MTRXで行われる

ダビング・スタジオの『103』〜『105』のホスト・コンピューターは新型Mac Pro

モニター・スピーカーは、ダビング・ルームはすべて5.1ch、Dolby Atmos Home Masteringのミックス・ルームは7.1.4chという構成。コントロール・サーフェースは、ダビング・ルームにはS3、ミックス・ルームには16フェーダー/4フットのS4が導入されました。丸橋氏は「作業の規模に関係なく、こういうスタジオにはフェーダーは絶対に必要」と語ります。

 

「ミックス作業では、マウスとキーボードだけではできない操作を求められますから、フェーダーは絶対に必要ですね。キーボードとマウスだけでは時間がかかってしまうような操作がパッとできますし、S4があるお陰で作業フローが簡略化され、分かりやすくなる印象があります。五反田のスタジオではArtist Mixを使っていたんですが、それと比べるとS4のフェーダーは格段に良くなっていますね」(丸橋氏)

ミックス・スタジオのコントロール・サーフェースは、16フェーダーのS4

ミックス・スタジオの『101』は、Dolby Atmos Home Masteringに対応しているのが大きな特徴

東京に誕生したワールドクラスのダビング・スタジオ、IMAGICA SDI Studio。今後はIMAGICA Lab.が長年培ってきた映像事業のノウハウと、SDI Media Groupが持つグローバルなネットワークを活かし、ユーザーのニーズに即した高品位な音響制作サービスを提供していくとのことです。

 

「これだけの規模の音専門のスタジオをゼロから造ったのは、IMAGICA GROUPの長い歴史の中でも初めてのことになります。既に多くの方々に作業でのお立合いやスタジオ見学で見ていただきましたが、非常に高い評価をいただきました。国内には他にもダビング・スタジオはありますが、このスタジオはIMAGICA Lab.とSDI Media Groupが共同でデザインしたので、国内のお客様の要望と海外のお客様の要望の両方に応えられる設備になっている。これはIMAGICA SDI Studioの大きな特色なのではないかと思っています。最先端の設備と洗練されたワークフロー、経験豊富なスタッフによって、最高品質の音響制作サービスを提供していきたいですね」(野津氏)

写真手前右から、株式会社IMAGICA SDI Studio代表取締役社長の野津仁氏、同社のオペレーション・マネージャーである遠山正氏、同社のミキシング・エンジニアである丸橋亮介氏、同社のチーフ・プロデューサーである浦郷洋氏。 写真奥右から、株式会社フォトロンの鎌倉大氏、株式会社メディア・インテグレーション ROCK ON PROの岡田詞朗氏、2人挟んで同じくROCK ON PROの沢口耕太氏

株式会社IMAGICA SDI Studio

https://www.imagicasdistudio.co.jp/

Pro Tools | MTRX

新たなレベルの再現性と柔軟性を実現




AvidPlayで Dolby Atmos® Music を配信する方法

AvidPlay は、Dolby 社との密接な協力によりDolby Atmos Musicの配信をサポートする初めてのDIY音楽配信サービス向けディストリビューションを開始しました。これにより、全てのアーティスト、プロデューサー、レコードレーベルが、Amazon Music HD やTIDAL HiFiのようなDolby Atmosをサポートしたストリーミングサービスを利用し、自らのDolby Atmosフォーマット対応楽曲を簡単に配信することできるようになります。

Dolby Atmos MusicとAvidPlayを利用する事で、インディーズのアーティストやレコードレーベルはイマーシブな音楽体験を自らのファンに提供でき、毎年無制限にシングルやアルバムを配信、そして著作権と収益を100パーセント保持したままファン層の拡大を図っていくことができます。

 

必要手順

  • Avid Linkのインストール
  • Dolby Atmos® Unlimited AvidPlay サブスクリプション (こちらから購入できます)
  • シングル/アルバムのステレオファイル
  • シングル/アルバムのDolby Atmos® ADMファイル
  • アルバムアートワーク(2000×2000 推奨)

 

ステップ1 :新しい楽曲のリリース情報を設定する

1. Avid Linkで、Productsタブ、またはプロフィール上のMy PortfolioからAvidPlayへアクセスします。

2. 右上のNew Release ボタンをクリックします。

3. Subscription Planから “Dolby Atmos® Unlimited” プランを選択します。

4. リリースがアルバムかシングルかを選択し、“Are you releasing Dolby Atmos® Music?” に 対し“Yes” を選択します。

5. リリースについての残りの情報を入力します。シングルをリリースする場合、“Enter Single or Album Name”に配信するトラックのファイル名と同じ名前を入力します。

ステップ2: アルバムアートワークをアップロードする

ステップ3:  ステレオトラックをアップロードする

1. ステレオトラックのアップロードを始めてください。ステレオファイルとDolby Atmos ADM ファイルのファイル名が同じである事を確認します。

2. アップロードが完了したら、リストからトラックをクリックしドラッグすることによって、任意の並び順に変える事ができます。楽曲が正しく再生されるかどうか最終チェックをしましょう。

ステップ4: Dolby Atmos® ADM トラックをアップロードする

1. ADMファイルをアップロードします。このプロセスが完了するにはファイルサイズやインターネットの接続状況によって数分かかる事があります。

ステップ5: トラックの詳細を入力する

1. 楽曲のタイトルを入力します。シングルの場合、Release Detailsタブにあるアルバム/シングルの名前と同じである必要があります。

2. Artist の欄には誰の楽曲をリリースするかを入力してください。

3. Genresのドロップダウンメニューからは、複数のジャンルを選択する事ができます。

4. コラボレーションの場合、そのアーティストを付け加えることもできます。

5. 各楽曲に自動的にISRC(国際標準レコーディングコード)が供給されます。既にISRCを持っている場合はそれを使う事ができますが、持っていない場合は供給されたものを使いましょう。

6. 楽曲がストリーミング可能な配信か、またはリスナーが購入した場合のみの配信かを決定します。Dolby Atmos®の楽曲はストリーミングのみ有効で、購入しダウンロードすることはできません。しかし、’For’ セクションからDownload を選択すると、ステレオファイルのバージョンはダウンロードや購入が可能になります。

7. 楽曲の言語を選択し、 Parental Advisory から過激な表現を含んでいるかそうでないかを入力します。

8. この楽曲はシングルトラックとしての配信なのか、フルアルバムの一部としての配信なのかを選択します。

9. ストリーミング時に表示される歌詞を加えます。

10. サービスのサブスクリプションを購入していないリスナーが、楽曲を購入する前に試聴できる様にするには、Preview ボタンを押しプレビューを設定します。

楽曲の参加者として、アーティストを設定し、他の共同制作者をリストアップします。特定の役割をタグ付けすることも可能です。また自動的に分割される利益も記載できます。もしあなたが別のアーティストの発信も行なっているのであれば、ここではあなた自身をレーベルとして設定する事もできます。

ステップ6: 配信したいストリーミング先を選択します

1. 現時点では、Amazon Music HD , TIDAL HiFiそしてApple Musicのストリーミングサービスが、Dolby Atmos® Musicをサポートしています。配信先を複数選択することや、どちらか一方にする事も選択可能です。

2.”全ての配信先へのディストリビューション”を選択した場合、Dolby Atmos®をサポートしていないストリーミングサービスにはステレオファイルが送られ、そのサービスのリスナーには、ステレオで楽曲を聴いてもらうことが可能となります。

3. Distributeをクリックし、楽曲がそのストリーミングサービスで聴けるようになるまで数日待ちます。

AvidPlayで音楽配信

Spotify、YouTube Music、Anghami、その他世界中の多くの主要なストリーミングサービスで音楽を配信します。さらに、権利と利益を100%維持しましょう。




Avid S6導入事例 #28 :株式会社NHKテクノロジーズ

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高度な技術力で、日本の公共メディア NHKを支えるNHKグループ唯一の総合技術会社、株式会社NHKテクノロジーズ(東京・渋谷)。2019年4月、株式会社NHKメディア テクノロジーと株式会社NHKアイテックが統合する形で設立された同社は、番組制作やコンテンツ送出はもちろんのこと、情報システムの維持管理や送受信、設備整備に関する技術など、放送に関わる技術業務をほぼすべて手がけています。2018年12月の新4K/8K衛星放送開始後は、NHKグループでタッグを組み、紅白歌合戦やNHK杯フィギュアスケート、ラグビーワールドカップなど、多くのコンテンツで4K/8Kパブリック・ビューイングを展開。その卓越した技術力を活かして、4K/8Kコンテンツの推進/普及に注力しています。

 

そんな同社は先頃、東京・富ヶ谷の“テクノビル”内に設けられたMA室、『MA-601』を全面リニューアルしました。今回のリニューアルについて、株式会社NHKテクノロジーズ メディア技術本部 番組技術センター ビジネス開発部副部長の黒沼和正氏は、制作するコンテンツの変化がきっかけの一つになったと語ります。

「『MA-601』で行う業務は、これまではハイビジョンの3Dコンテンツ制作やDVD制作が中心だったのですが、最近はNHKの柱である番組制作を支える方向に変わっていきました。その結果『MA-601』は、音響設計の良さから音楽番組の制作で使われるようになっていったんです。音楽番組の制作は、TDとMAはそれぞれ専用のスタジオで、別の担当者が手がけるのが一般的ですが、弊社では収録担当者がTDからMAまでを一つのスタジオで行っています。これまでは収録担当者がTDからMAまでを手がけるという特殊なスタイルを、弊社スタッフの高い技術力でカバーしてきたわけですが、そのような仕事が増えているのであれば、作業内容に合わせて最適な環境を整えた方がいいのではないかと。そうすることで、手がけるコンテンツのクオリティーもさらに引き上げることができるのではないかと考え、2017年12月に『MA-601』のリニューアル・プロジェクトをスタートさせました」(黒沼氏)

株式会社NHKテクノロジーズの『MA-601』(東京・富ヶ谷)

株式会社NHKテクノロジーズ メディア技術本部 番組技術センター 音声部副部長の青山真之氏は、“優れたTDができるMAスタジオ”が今回のリニューアルの一番のコンセプトだったと語ります。

「『MA-601』は音の良いとてもしっかりしたスタジオであったのですが、基本的にはフル・デジタルのMAスタジオであり、音楽のTDを想定した造りになっているわけではありませんでした。最近手がけている音楽番組では、一流のミュージシャンやアレンジャーさんと一緒に仕事をするわけですが、そういった方から、“一度外に出して、アナログのエッセンスを加えられないか”と言われることもあったんです。アナログ・コンソールがあるNHKのスタジオならば、そういった要望にも応えられるのですが、フル・デジタルの『MA-601』ではそういったレコーディング・スタジオのような作業が難しかった。なので今回のリニューアルでは、MAスタジオでありながら優れたTDも行える、これまでにないスタジオを目指したんです」(青山氏)

 

そして新生『MA-601』の核となる機材として導入されたのが、S6とAPIのアナログ・コンソールを組み合わせたハイブリッド型のコンソールです。S6とAPIのアナログ・コンソールはシームレスに連結され、ラウドネス・メーターをはじめとする周辺機材と共に特注のデスク内に違和感なく収納されています。

「スタジオのリニューアル・プロジェクトがスタートしてから、海外のスタジオを研究し始めたのですが、コントロール・サーフェースとアナログ・コンソールを組み合わせて使用しているスタジオを多く見かけたんです。アナログのエッセンスが欲しいとは言っても、作業の中心となるのはPro Toolsなわけですから、キーボードやトラックボールはやはり中心に置きたい。その上で、必要に応じてアナログ・コンソールでの作業も可能にするならば、このスタイルが一番理にかなっているのではないかと思いました。コントロール・サーフェースとアナログ・コンソールを組み合わせるというアイディアは、かなり最初の時点でありましたね」(青山氏)

『MA-601』に導入されたS6。24フェーダー/5ノブ仕様

『MA-601』のS6は、24フェーダー/5ノブ/ディスプレイ・モジュールは1面という構成で、マスター・モジュールを左に配したレイアウトが採用されました。作業の中心となるPro Toolsは、カード3枚仕様のHDXシステムがメインとサブで2台用意され、またアナ・ブース内のプリプロ・スペースにもHD Nativeシステムが設置されています。株式会社NHKテクノロジーズ メディア技術本部 番組技術センター 音声部の山口朗史氏は、今回Pro Toolsのディスプレイを正面に設置することに最もこだわったと語ります。

「前のコンソールのときは、Pro Toolsのディスプレイが可動式サイド・テーブルの上にあったので、横を向いて作業しなければならなかったんです。それを改善したかったので、今回はPro Toolsのディスプレイを正面に設置し、通常3面あるディスプレイ・モジュールは1面という構成にしました」(山口氏)

 

 

コンソールに向かって左手奥にある広大なマシン・ルーム

ハイブリッド・コンソールと共に、新生『MA-601』の肝となる機材が合計4台導入されたPro Tools | MTRXです。Pro Tools | MTRXは、最大2台のPro ToolsをDigiLink接続できるのが特徴ですが、『MA-601』ではあえてDigiLinkでは接続せず、合計4台のPro Tools | HD MADIを介してMADI接続で使用されています。

「DigiLinkで接続しなかったのは、Pro Tools | MTRXをPro Toolsとは切り分け、S6と組みわせることでコンソールの一部として機能させたかったからです。DADman用に専用のWindows PCも用意し、このPCはPro Tools | MTRXの電源を入れれば自動で起動する設定になっているので、コンピューターを意識することなく、ラージ・コンソールのような感覚でS6を使用できるシステムを構築しました。また4台のPro Tools | MTRXは、それぞれADコンバーター用、DAコンバーター用、ルーター用、モニター用と役割を持たせています。贅沢な使い方ですが、各Pro Tools | MTRXの役割を明確にすることで、ルーティングを分かりやすくしているんです。例えばPro Toolsの1chの出力は、DAコンバーター用Pro Tools | MTRXの1chから、APIのコンソールの1chの入力に立ち上がります。このスタジオは、協力会社のスタッフを含めると、100名くらいが使用する可能性がある。そんなスタジオでマニアックなシステムを組んでしまうと、使う人が混乱してしまうと考え、できるだけ分かりやすいシステムにしたんです」(山口氏)

 

合計4台導入されたPro Tools | MTRX

リニューアル後、様々な業務でフル稼動の状態が続いているという『MA-601』。青山氏は、音質/使用感ともに思い描いていた以上のスタジオができあがったと語ります。

「S6の操作感に関しては、フェーダーの解像度が凄く高いですね。当たり前ですが、Artist Mixとはまるで違うということを改めて認識しました。それと今回、S6とKVMをリンクさせることで、ワン・タッチで2台のPro Tools、Media Composer、DADmanのコンピューターを切り替えられるシステムを組んだのですが、それが大変便利です。また、これも今回こだわった部分ですが、スピーカーセレクトを6系統用意し、S6のボタンで切り替えられるようにすることで凄く使いやすくなりました。このあたりのカスタマイズ能力は凄いですね。Pro Tools | MTRXも何も言うことがないくらい素晴らしいサウンドで、皆が口を揃えて“本当に音が良いね”と言っています」(青山氏)

 

「音楽のTDとMA、システム的にどちらかに振れてしまっていると、一方から不満の声が上がるのではないかと心配していたのですが、運用後にそういった意見は聞こえてきませんし、上手く両立することができたのではないかと思っています。それと今回、凄いなと感じているのは、システムの安定性です。スタジオをリニューアルした後は、半年くらいはバタバタするのが常ですが、今回は本当にトラブルが起きない。小さなトラブルがあったとしても、それらはシステム習熟の過程で起こる人的要因であることがほとんどでした。今回は国内初導入の機材も多く、初めてのチェレンジでもあったので、管理する側としては不安要素が多かったのですが、安定して運用できているのでほっと胸を撫で下ろしているところです」(黒沼氏)

写真向かって右から、新システムのプランニングを担当したROCK ON PROの君塚隆志氏、株式会社NHKテクノロジーズ メディア技術本部 番組技術センター 音声部副部長の青山真之氏、同社メディア技術本部 番組技術センター ビジネス開発部副部長の黒沼和正氏、同社 メディア技術本部 番組技術センター 音声部の山口朗史氏、ROCK ON PROの赤尾真由美氏

株式会社NHKテクノロジーズ
(NHK Technologies, Inc.)

https://www.nhk-tech.co.jp/

<<Avid S6 導入事例>>
導入事例一覧

Avid S6

S6は、モジュール式設計であり、構成されたシステムを選択するか、または独自のシステムを構築することが可能です。




Avid S6導入事例 #27:株式会社松竹映像センター

Installed by

映画やテレビ番組をはじめとする映像コンテンツの編集、ダビング、MA、字幕制作業務を手がける日本有数のポストプロダクション・カンパニー、株式会社松竹映像センター(東京・台場)。同社は先頃、ダビングステージの全面リニューアルを実施し、大船撮影所時代から10年以上運用してきたSystem 5をAvid S6に更新しました。導入されたS6は国内最大規模の構成で、フロントエンドとなるPro Tools | MTRXも4台設置。これからの10年を見据えた非常にパワフルなシステムが構築されています。松竹映像センター ポストプロダクション部の吉田優貴氏は、新しいコンソールにS6を導入した理由について、「他のスタジオとの互換性を考慮して選定した」と語ります。

 

「新しいコンソールに関しては、System 5のサポートが終了した4年くらい前から検討を始めました。もちろん、今回もDSPコンソールを導入するという選択肢はあったのですが、この業界の世界的な流れとして、ミキシング・システムはどんどんコンパクトになっているんです。大規模なシステムだけではなく、仕込み部屋などでも手直しができる汎用性も求められている。そう考えると、DSPコンソールではなく、自ずとS6という選択になりました。また、隣りのADRルームではS3、上階のMAルームではS6を使用しているので、ダビングステージにもS6を導入して、社内のスタジオすべてに互換性を持たせた方が、会社全体としてメリットが大きいのではないかということも考えました」(吉田氏)

東京・台場の松竹映像センターのダビングステージ。国内最大規模となるデュアル・ヘッド/72フェーダーのS6を導入

ダビングステージの新しい顔となるS6は、デュアル・ヘッド/72フェーダーという大規模な構成。マスター・モジュールを2台組み合わせたデュアル・ヘッド仕様のS6は、松竹映像センターが日本初の導入事例となります。

 

「マスター・モジュールを2台搭載したデュアル・ヘッド仕様にすることは、最初の段階で決めていました。S6のマスター・モジュールはかなり優秀なので、複数のオペレーターで作業すると、いつも奪い合いになってしまうんです(笑)。フェーダー数に関しては、System 5の時代に”56フェーダーでは足りない”という意見があったので、他のスタッフとも話して、72フェーダーにすることにしました」(吉田氏)

複数のオペレーターが並んで作業することを考慮し、デュアルヘッド仕様にしたとのこと

松竹映像センター ポストプロダクション部の深井康之氏は、デュアル・ヘッドの操作性は想像以上に良く、非常に満足していると語ります。

 

「映画のミックスでは、録音技師さんと効果さんが並んで作業を行うわけですが、双方がそれぞれのマスター・モジュールを自由に使用できるため、非常に利便性が高いですね。先日の作業でも、録音技師さんと効果さんがマスター・モジュールを使ってパン、フィルター、ダイナミクス、それとレイアウトを自由に切り替えて、とてもスムーズに進行することができました」(深井氏)

 

そして松竹映像センターのS6の大きな特徴と言えるのが、モジュールを簡単に入れ替えられるようになっている点です。すべてがモジュール化されたS6の設計を活かし、作業内容に合わせて、各モジュールのレイアウトを自由に変更できるようになっています。

 

「System 5時代から、作業内容に合わせてモジュールを組み替えるということをやっていたので、そのフレキシビリティはS6でも踏襲したいと思ったんです。それを実現するために導入したのが、イギリスのFrozen Fish Designという会社のアタッチメントで、それによって各モジュールの入れ替えが簡単に行えるようになっています。そのアタッチメントは、System 5とS6を組み合わせたハイブリッド・システムを組むためのもので、ここでは以前のSystem 5のフレームを生かし、その上にS6のモジュールを設置してあるんですよ」(吉田氏)

S6の各モジュールは、Frozen Fish Design製のアタッチメントの上に設置してあり、簡単に組み替えられるようになっている

Pro Tools | HDXは、再生用として4台(台詞用、音楽用、効果用、フォーリー用)、ミキサー用として2台、ダバー用として1台を併用するダビングステージならではの大規模な構成。台詞用、音楽用、フォーリー用はHDXカード2枚、効果用と2台のミキサー用はHDXカード3枚のシステムで、オーディオ・インターフェースに関しては再生用はHD MADI、ミキサー用とダバー用はDigiLink接続のPro Tools | MTRXが使用されています。

 

「システムはコンパクトになっているんですが、逆にPro Toolsのセッションはどんどん膨張していっているんです。昔はアウトボードやコンソールを使ってやっていた処理を、すべてPro Tools上で行うようになり、音を重ねて作り込んでいくと、どうしてもトラック数や増えてしまう。なので今回、すべてマシンでHDXカードを増設し、ミキサー用には4枚目のHDXカードも用意してあります」(吉田氏)

 

「Pro Tools | MTRXは、ミキサー用に2台、ダバー用に1台、モニター・コントロール用に1台、計4台導入しました。モニター・コントロール用のPro Tools | MTRXは、2台のミキサー用Pro Toolsの出力をサミングする役割も担っていて、これが以前のSystem 5のDSP部分の代わりになっています」(深井氏)

マシン・ルームに設置されたPro Tools | MTRXと新型Mac Pro

ビデオ・インターフェースは、Artist | DNxIOが使用されている

2020年2月1日から本格運用を開始したという松竹映像センターの新しいダビングステージ。音質と操作性はもとより、以前と比べると柔軟性が格段に向上したと語ります。

 

「S6とProTools | MTRXのシステムに変わり、既に多くの映画を仕上げてきましたが、クライアントの要望に合わせて柔軟に対応できるところが気に入っています。この柔軟性の高さは、S6とPro Tools | MTRXの組み合わせだからこそで、いくらでもカスタマイズができるPro Tools | MTRXは本当に素晴らしいですね。ここまで融通が利くオーディオ・インターフェースは他にはないと思いますし、できないことはないと言ってもいいと思います。S6に関しては、ディスプレイ・モジュールに波形が表示されるのが良いですね。これまでは録音技師さんが来られたときは、音楽のきっかけを掴んでもらうためにディスプレイを1台つぶしてPro Toolsの音楽のトラックを表示させたりしていたんですけど、その必要がなくなりました」(深井氏)

 

「S6に関しては、MAルームで既に使用していたわけですが、このコンソールの一番の目玉はディスプレイ・モジュールの波形表示だと思っています。ミックス中に脇のPro Toolsの画面を見なくても、正面を向いたままできっかけが掴めるというのは本当に素晴らしい。途中で波形を編集しても、リアルタイムに反映されますからね。あとは複数のDAWをシームレスに扱えるのもいいですね。フェーダー1本単位で、DAWの指定のトラックを割り振ることができる。これだけの台数のPro Toolsがあると本当に便利ですね」(吉田氏)

写真向かって左から、株式会社松竹映像センターの吉田優貴氏、深井康之氏、株式会社メディア・インテグレーション ROCK ON PROの前田洋介氏

株式会社松竹映像センター

https://www.shochiku-mediaworx.jp/

Avid S6

S6は、モジュール式設計であり、構成されたシステムを選択するか、または独自のシステムを構築することが可能です。




Dolby Atmos® Music のミキシング体験とAvidPlayでの配信

「まるでモノクロがカラーになったみたいだ」

「スタジオを変えたくなった」

「普通に音楽を聴くなんてもう無理です」

これらはアーティストやミュージシャンが、The Record House の新しくできたAtmosミックスルームで Dolby Atmos Music を聴いた時のいくつかのコメントです。この体験が特別なものであった事を物語っています。

Dolby Atmos が登場して8年が経ちますが、これがどのようなものか、よく知らない方がたくさんいます。おそらく、Atmos が使われている映画を見たことはあると思います。しかし必ずしもそれに気づいているかというと、そうではないでしょう。

このテクノロジーと表現の手段を音楽に用いることで、創造と体験、両面においての可能性を広げることができます。

私は幼少期から、ヘッドフォンで音楽に没頭するのが好きでした。よく目を閉じて音楽を聴くんですが、視覚を取り除くことで、より深く音にのめり込む事ができ、レコードに魅了されます。 Dolby Atmos を使う事により、音楽は今までにないほど私たちを夢中にさせてくれます。音に浸ることは、もはや想像の中だけではありません。実際に部屋の中で起こっていることなのです。

だからきっと、初めて Atmos で音楽を聴くと誰でも、まるで幼少期の心踊る体験を思い返すように圧倒されるんでしょう。A&R、マネージャー、アーティスト、一般の人々など、みんな目を大きくし、笑顔になり、多くの笑いがあり、感嘆の声をあげる人も多くいます。

私は、AvidPlayが Dolby Atmos 対応である事を発信するために、自身がプロデュースした数多くのアーティストの Atmos リミックスを作る事を決めました。楽曲を確認するためのアーティストとのセッションの間、私は後方のソファに腰掛けていて、彼らはコンソールの近くに座っていたんですが、同じ日にセッションをした二組の異なるアーティスト達のリアクションは全く同じでした。最初のサビにさしかかった途端、驚いてこちらを振り返り、鳥肌がたった腕を指差してきたんです!

Beto Vargas

Buel

Jessica Mar

Camie Llano

Juan Cortes

AvidPlayがDolby Atmos に対応したのは素晴らしいことです。これにより誰でもこのフォーマットで音楽を作り、シェアする事が可能になりました。プラットフォームは直感的に扱えるので利用はとても簡単です。ほんの数分でリリースできます。

Dolby がユニバーサルやワーナーと共に始めたカタログワークは素晴らしく、先述した通り、Atmosでお気に入りのレコードを聴くことは代え難い体験だと思います。でも、このフォーマットを広く普及させるためには、まったく新しいコンテンツを制作することが重要だと思います。より多くのアーティストが、Atmosで新しい音楽を作ることで、彼らのファンがAtmos対応スピーカーを導入したり、または音楽サービスのプレミアム会員になったりする事でしょう。

担当するアーティストのリミックスを行っているうち、私はミキシングとプロダクションについていくつかの興味深い点に気が付きました。

まず、より多くのダイナミクスが獲得できたことが素晴らしい!自身が楽曲に施したステレオミックスにはとても満足していましたが、これらをヘッドフォンのAtmos Binuaralバージョンと比較してみると、Atmosバージョンの方が気に入っています。

二つめは、少し直感に反するものでした。エルトン・ジョンの『ロケットマン』をAtmosで聴いた他の人達と同じように、私も驚きました。サビが始まり、ギターが目立つと、空間を取り巻くバックグラウンドボーカルとエレキギターの音が頭上で鳴っています。空間に打ち上げられる感覚です。しかしその楽曲は楽器編成の面で言うととてもシンプルです。曲の中でたくさんの事が起きている訳ではありませんが、素晴らしく、凝ったミックスにより典型的なAtmos ミックス体験を提供するのです。私がアーティストのミックスを始めた時、「この3Dスペースに鳴らすたくさんの音がある、これは素晴らしくなるぞ」と考えていました。そして実際にそうでした。しかし、シンセサイザー、キーボード、ギター、パーカッション、そしてボーカルといった多くの層を伴う密集するプロダクションを鳴らす際には、感動的な「音の球体」が作られ、少ない要素で、楽曲の中で起こっている全てのちょっとした瞬間も識別することができる特別な何かがあります。これはミックスの中で何かが失われたり埋もれてしまったりするわけではありません。サウンドを配置する360度の空間があっても、人の心が一度にそう多くのことに集中できるわけではありません。なので、たくさんの要素が一斉に素晴らしいことをするよりも、数少ない要素がそれぞれに素晴らしいことをする方が効果的なのです。

もしあなたが、アーティストや プロデューサーであり、音楽をDolby Atmos で聴いた事がないのであれば、スタジオを借りて、音楽をAtmosで聴いてみてください。魅了されてしまいますよ。そしてAtmosで音楽を作ってみてください。楽しんでください、そしてAvidPlayという簡単な方法で世界中にシェアしてください。

 

Jessica Mar – New Truth

Beto Vargas – Mistakes

Camie Llano – Visitor

Buel – Advice

Juan Cortes – So I Erased His Face

AvidPlayで音楽配信

Spotify、YouTube Music、Anghami、その他世界中の多くの主要なストリーミングサービスで音楽を配信します。さらに、権利と利益を100%維持しましょう。




Avid @ NAMM 2020

エキスパートによるデモンストレーション

Pro Tools | Ultimate - Dolby Atmos音楽制作向けデモ

Pro Tools | Ultimate 2020 - ポスト・プロダクション向けデモ

Avid S1 とPro Tools「フォルダートラック 」機能

新製品紹介

Pro Tools | MTRX Studio

Pro Tools | HDX Thunderbolt 3 Systems

シンプルでコンパクト!あらゆる規模の音楽およびスタジオに最適なプラットフォームです。

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デスクトップやスタジオラック上でPro Tools | HDX を最大限に活かせます。

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Pro Tools 2020

Avid S1

新機能として追加されたフォルダートラックは、フォーカスとシンプルさが向上し、ワークフローの可能性に多大な影響を与えます。

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小規模スペースや予算にも合う薄型のサーフェスで、Avidの比類のないハイエンド・コンソール・エクスペリエンスを実現できます。

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Avid Link

音楽を配信し、注目のアーティストをPRし、ポートフォリオを共有するためのワンストップサービスです。

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Pro Toolsで成功する

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Avid S4導入事例 #25:ブロードメディア株式会社

Installed by

取材日:2019年12月20日

(ブロードメディア・スタジオ株式会社は2020年4月1日に親会社ブロードメディア株式会社と合併し、現在の社名はブロードメディア株式会社となっています。)

 

東京・港区に本社を置くブロードメディア株式会社は、コンテンツ・放送・スタジオ・技術・ネットワーク営業の5つの領域で多角的に事業を行っているマルチメディア配信会社です。コンテンツ事業ではテレビやスマートデバイス向けに様々なサービスを提供し、放送事業では日本で唯一の釣り専門チャンネルである『釣りビジョン』を制作・配信。技術事業では、CDNサービスの提供や高度な配信技術の開発などを手がけています。そんな同社のスタジオ事業を担うのが、ブロードメディア・スタジオという子会社で、東京・六本木と月島に多数の編集室/MA室を擁し、外国映画/テレビ・シリーズの日本語版制作を中心に様々な業務を行なっています。そのブロードメディア・スタジオでは昨秋、月島スタジオのMA室のリニューアルを2部屋同時に行い、ICON D-Commandシステムに替わる新しいコンソールとして、Avid S4を導入しました。リニューアル工事が完了したのは2019年9月のことで、ブロードメディア・スタジオは世界で初めてS4が導入されたスタジオになります。ブロードメディア・スタジオ プロダクションカンパニー 音声技術グループ フィールドマネージャーの岡田光成氏は、「新しいコンソールについて検討していたときに、渡りに船というタイミングでS4が発表になり、ほとんど迷わずに導入を決めました」と語ります。

 

「弊社の主な業務である吹き替えの仕事では、3本ないし4本のマイクを同時に収録するので、物理フェーダーは絶対に必要なんです。また、英語の音声を別回線で出さなければならなかったり、モニター系も同時にいろいろと操作しなければならない。そういった吹き替えのワークフローを考えると、新しいコンソールの選択肢はS6しか無かったのですが、予算の関係で2部屋同時に入れるのは正直難しかったんです。それでどうしようかと悩んでいたときに発表になったのがS4で、まさにこのスタジオにはベストなコンソールでした。S6を元に開発された製品なので機能的にも遜色はなく、サイズがコンパクトなところも良いなと思ったんです。実績のないコンソールを導入することに少し不安はありましたが、実際に作業を行うのはPro Toolsなわけですから、とりあえず音が出て、フェーダー操作ができれば問題ないだろうと(笑)。何かトラブルが起きたとしても、最悪Pro Toolsだけで何とかできてしまいますからね」(岡田氏)

世界で初めてS4が導入されたブロードメディア・スタジオ(東京・月島)

2部屋あるMA室両方にS4を導入

ブロードメディア・スタジオのS4は、2部屋とも同じ24フェーダー・システムで、ディスプレイ・モジュールは3面装備。モジュールは、フェーダーの手前に広いスペースが確保されたオリジナルのデスクに収納されています。

 

「以前のICON D-Commandシステムも24フェーダーだったので、S4でもその仕様を踏襲しました。ディスプレイ・モジュールはS4というコンソールの大きな特徴だと思っていたので、初めから3面搭載しようと考えていましたね。デスクに関しては今回新たに製作したものではなく、実はICON D-Commandシステムを埋め込んでいたデスクを引き続き使用しているんです。デスクを製作した職人さんが、コンソールを入れ替えても使えるような特殊な構造にしてくださったんですよね。それによってスタジオの印象を大きく変えることなく、自然な形でS4を導入することができました」(岡田氏)

24フェーダー・システム、ディスプレイ・モジュールは3面という構成のS4

ICON D-Commandシステム用に特注したデスクを改造し、引き続き使用している

核となるPro Toolsは、2S部屋ともカード1枚のHDXシステムで、オーディオ・インターフェースはS4と同時にPro Tools | MTRXが導入されました。Pro Tools | MTRXには、8 Line Pristine ADカードが1枚、8 Pristine DAカードが2枚、8 AES3 I/Oカードが1枚装着され、S4との組み合わせでモニター・コントローラーとしても活用。専用のリモート・コントローラーとしてDAD MOMも用意されています。

 

「アフレコ制作の仕事は5.1chがほとんどで、切り替えなければならない音声回線の数がとても多いんです。なので以前のICON D-Commandシステムでは、タックシステムさんに改造していただいたXMONに、DirectOut Technologies ANDIAMOを組み合わせることでチャンネル数をカバーしていたのですが、そのシステムを今回、Pro Tools | MTRXで組み直した感じですね。これまで同様、5.1chの音源を3系統にパラって、1系統はVTRに送り、もう1系統はモニターに送るといったこともパッチ無しですぐに対応できるようになっています」(岡田氏)

 

S4と同時に導入されたPro Tools | MTRXとSYNC HD

Pro Tools | MTRXのリモート・コントローラー、DAD MOM

世界初の導入例となったブロードメディア・スタジオのS4。リニューアル工事が完了した翌日から通常業務を開始したとのことですが、まったく問題なく運用できているとのことです。

 

「マニュアルを読まないと分からない操作があったとしても、マスター・モジュールのタッチ・スクリーンからほとんどの操作が行えてしまうので、ICON D-Commandシステムからスムーズに移行することができました。使っていて便利だなと感じるのは、やはりディスプレイ・モジュールで、次にくる音が視覚的に分かるので、とてもミックスがしやすいですね。また、Pro Tools | MTRXを導入したことによって、スタジオの音がかなり変わりました。これまでよりも低音がスッキリして、高音がきれいになったというか、ザラついた感じが無くなりましたね。モニターの方も、出音が良くなりました。最初はDAコンバーターが良いのかなと思っていたのですが、デジタル出力を聴いても音が良いので、内部の処理が凄く優秀なんでしょうね。総じて今回のリニューアルには大変満足しています」(岡田氏)

写真手前右がブロードメディア・スタジオの岡田光成氏、手前左が同じくブロードメディア・スタジオの長井利親氏、奥がタックシステムの益子友成氏

ブロードメディア株式会社
https://www.broadmedia.co.jp/

Avid S4

S4は、ファイナル・ミックス・ステージで業界標準のS6のミキシング・パワーを、よりコンパクトな環境でも実現可能です。