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Pro Tools | Ultimateによる Dolby Atmos 制作フローの概要

Pro Tools | Ultimate(2019.10以降)は、Dolby Atmos®イマーシブ・オーディオ・フォーマット制作環境に、より幅広く対応しています。

 

7.0.2及び7.1.2チャンネル・バスをサポートしているだけではなく、シネマ/ホーム/モバイルに対応するDolby Atmosコンテンツ制作に必要なワークフロー全体をカバー可能であることが最大の特徴です。

 

ここでは、Dolby Atmos制作環境に必要なDolby社のツールの紹介とPro Tools | Ultimateに備わっている機能の詳細について紹介いたします。

Dolby Atmosとは?

 

Dolby Atmosは、2012年に映画館音響システムとして登場したDolby社のイマーシブサラウンド・フォーマットです。現在では、映画以外のコンテンツにも活用され、再生環境も拡大中です。

 

Dolby Atmosの仕組みは、

  • チャンネルベース(7.1.2ch)とオブジェクトベース(118トラック)を同時再生
  • レンダリングエンジン(RMU)が出力チャンネル(=スピーカー数)に合わせて出力
  • オブジェクト・オーディオには三次元位置情報等のメタデータが付く

となっています。

 

Dolby Atmosには、映画館上映を目的としたマスターである” Cinema (シネマ)”と一般家庭での試聴を目的としたマスター “ Home(ホーム) ”の二種類が用意されています。

 

Dolby Atmosに関するさらなる詳細は、こちらをご参照ください。

 

 

Dolby Atmos制作を行う為のツールと環境

 

Dolby社では、このAtmosミックスを行う為の2つの制作ツールを用意しています。

また、マスタリングを行う為のレンダリング&マスタリング・ユニット(RMU)に関しては、ホーム用とシネマ用の2種類が提供されています。

 

2つのDolby Atmos制作ツール

 

Dolby Atmosの制作ツールとしては、Pro Tools | Ultimateソフトウエア上でAtmosミックスが可能となる「Dolby Atmos Production Suite」とAtmosミックスに加えHome用マスタリングも可能となる「Dolby Atmos Mastering Suite」が用意されています。

 

Dolby Atmos Production Suite”には、ソフトウエア・ベースのDolby Atmos Rendererはが備えられ、Pro Tools | Ultimateと同一Mac上にインストールし、Dolby Renderer Send/Returnプラグインを使用してPro Tools | Ultimateと内部接続する形で使用可能となっています。

 

また、Pro Tools | Ultimate 2019.10以降では、Dolby Audio Bridge経由で最大130 CoreAudioチャンネルまで扱えるようになり、Dolby Atmos時の内部ミックス・ワークフローを大幅に改善しています。これによりPro Tools | Ultimate とDolby Atmos Production Suiteを使った際の、複雑なセッション構成やルーティング設定、さらには遅延補正の煩わしさから解放され、Mastering SuiteやCinema Rendererを使う際と同様のセットアップで、Dolby Atmos内部ミックスがスムースに実行可能となるのです。

Dolby Atmos Renderer では、Atmosミックスを行っている間でも、Pro Tools | Ultimateからそのオーディオ及びメタデータを受信し、HDXやHD Nativeに接続されたI/O経由でマルチチャンネル・スピーカー出力を行ったり、バイノーラル・ヘッドフォンでのモニターする事も可能となっています。

Dolby Atmos Workflow: Dolby Audio Bridge

Dolby Audio Bridgeを使用した実際のワークフローは、以下の日本語字幕付きビデオでもご確認いただけます。

また、” Dolby Atmos Mastering Suite ” は、

 

  • ”Dolby Atmos Production Suite ” 3シート分のライセンス
  • Dolby Atmos Home Theater Renderer software for Windows on a Dolby Atmos RMU
  • Dolby Atmos Conversion Tool

 

から構成され、ポスト・プロダクション環境下でのBlu-rayやデジタル配信用の高品位Dolby Atmosコンテンツの作成/編集/ミックスそしてマスタリング作業が行える、ホーム・シアター用のレンダリング&マスタリング・ユニット(HT-RMU)を構築することができます。

 

用途別にまとめると

  • Dolby Atmos Home及びCinemaコンテンツ用のプリプロダクションを行う場合には”Dolby Atmos Production Suite”
  • Dolby Atmos Home及びCinemaコンテンツ用のプリプロダクション並びにDolby Atmos Homeのマスタリングを行う場合には、” Dolby Atmos Mastering Suite ”

が適しています。

 

 

Dolby Atmosマスタリングの為の2種類のRMU

 

Dolby Atmosマスタリングを行う為の外付けのハードウエア・レンダリング・システムであるRMUが必要な場合は、以下の2つの方法で導入検討が可能です。

 

Dolby Atmos  Homeの場合:

” Dolby Atmos Mastering Suite ”により、Home用のRMUであるHT-RMUの構築が可能(HT-RMUの駆動には適切なPC並びにMADI入出力またはMac並びにDante入出力環境が必要)です。HT-RMUでは、コンシューマー向けホーム・シアター用マスター・ファイルである、Dolby Atoms master files (.atoms)が作成可能です。Atmosのマスタリングを行っていただくには、Atmosニアフィールドモニターを備えたスタジオが必要となります。詳細は、Dolby Atmos Mastering Suite Dealersまでお問い合わせください。

 

Dolby Atmos Cinemaの場合:

シネマ用RMUの設置並びに適切な視聴環境の整備が必要となる為、Dolby社の認証が必要です。シネマ用RMU(Cinematic-RMU)では、映画館向けのマスター・ファイルであるDCP MXF Atmosファイルから構成されるPRMスタイルのプリント・マスターが作成可能です。Dolby Atmos Cinemaプロダクション環境構築に関する詳細は、Dolby社までお問い合わせください。

各ツールに関する詳細は、Dolby社のWebページ「Dolby Atmos for Content Creators」(英語)もご参照ください。

 

各ツールの入手/導入方法

 

  • Dolby Atmos Production Suite:Avid Webストアにてお求めいただけます。
  • Dolby Atmos Mastering Suite: Dolby Atmos Mastering Suite Dealers(日本国内2社)にてお求めいただけます。
  • シネマ用Dolby Atmos RMU : Dolby社までお問い合わせください。

 

 

では、次にPro Tools | Ultimateに備わっているDolby Atmos対応機能について詳しく見ていきましょう。

 

Pro Tools | UltimateDolby Atmos対応機能

 

Pro Tools | Ultimateでは、以下の機能に対応しており、Dolby Atmos上でのミックス作業がより効率的に実行可能です。

 

  • 7.1.2ステム・フォーマットに対応及びフォールド・ダウン・ロジックも搭載
  • 3D オブジェクト・ルーティング・オートメーション対応
  • Avid | S4並びにS6 統合で、より完璧なミックス作業を実現
  • プリント・マスター・メタ・データを埋め込んだADM BWAVに対応し、再利用が容易に
  • シネマまたはホーム用RMUに接続可能、さらに “Dolby Atmos Renderer”にも対応

 

また、Pro Tools | Ultimateでは、上述したDolby Atmos制作ツールとの統合機能を含む、Dolby Atmosオーディオ・プロダクションの全行程に対応しています。

7.1.2トラック&バス対応

 

Pro Tools | Ultimateは、Dolby Atmosの特徴である7.1.2チャンネル・ベッドと118chのオブジェクト・オーディオの両方に対応しています。

オブジェクト・パンニング

 

オブジェクトは、Pro Tools | Ultimateに装備のDolby Atmos用パンナーで3D空間上に自由にオブジェクトをポジションさせる事が可能です。

オブジェクト音源の定位をスムースに行う為、Pro Tools | Ultimateでは、パンナー機能も強化されています。Dolby Atmos Panner Plug-Ins for Pro Toolsを使用せず、Pro Tools | Ultimate自体に搭載されているパンナーでオブジェクト音源のコントロールが可能となったのです。

イマーシブ・パンニング時に最も時間を要する作業のひとつである「音の高さ」を表現する為に、仮想空間内での天井形状やZ軸のトラッキング・オートメーション 、プリセットによるZ軸を伴ったX&Y軸の操作といった新たな「高さ」モードも搭載されました。

さらには各オブジェクトの遠近感を表現する為の「サイズ」もパンナー上で設定可能。水の中を表現したい場合等の様々な効果を生み出すためのスコア・エレメントも用意されています。

また、パンナー上のゾーン・マスクでは、特定のスピーカー・セットだけを再生するといった設定も簡単に行えます。

ルーティング・オートメーション

 

Pro Tools | Ultimateの特徴のひとつとして、オブジェクト・オートメーションに於ける柔軟性があげられます。

 

各サウンド要素は、オブジェクトとバスをオートメーションで切り替える事が可能となり、ミックスの途中からベッドにアサインされていたサウンドをDolby Atmos オブジェクトとして直接パンニングすることが可能となるのです。

RMUコントロールと各種データ互換

 

Pro Tools | Ultimateでは、Peripheralウインドウ上で各種RMUを認識し、Pro Tools上の新しいパンナーを使用してオブジェクト・ベースのパンニングを行っていく事が可能です。

 

また、Dolby Atmos Panner プラグイン・オートメーションとPro Tools パンニング・オートメーション間を1クリックで変換可能となる為、これまでのDolby Atmosプラグインで作成したオートメーションやPro Tools | HD 12.8未満とのセッション互換性の維持も容易です。

さらには、Dolby Atmos RendererやRMUがない場合、お手持ちのスピーカー・セットの状態へとフォールド・ダウンしてモニター可能です。

Pro Tools | Ultimateでは、Atmosメタデータを付加したBroadcast Wavファイをインポート可能です。Dolby Atmos Mastering Suiteに付属のDolby Atmos Conversion Toolでプリント・マスターから作成したオーディオ並びにAtmosメタデータを伴ったADMファイルをPro Tools内へと取り込み編集/ミックス作業を行う事も可能です。

リレコーディング(ダビング・ステージ)・ワークフロー

 

映画や大規模なTVドラマ制作時等で、複数のPro Tools | Ultimateを使用してステム毎にAtmosミックスを行う場合、EuConベース・コントロール・サーフェスであるS6を使ってチャンネル及びオブジェクトの各音源をオートメーションしながらダビング・ワーク・フローを実行することができます。その際、オーディオ・データのみならずオブジェクトのオートメーション・データも同時にパンチインが可能です。

S6+MTRX統合型コンソールに複数のPro Tools | Ultimateシステムを組み合わせて実施するシネマ用のリレコーディング(ダビング)・ステージの典型的なシステム構成は下記のようになります。

また、Pro Tools | Ultimate 2019.6以降では、MTRXに複数のPro Tools HDシステムを大レムとに接続可能とする為のDigi Link Optionカードを、MADIの代わりに装着し、Dolby Atmos用ファイナル・ミックス・ステージを構築することも可能となりました。下図は、DigiLink Optionカードを装着し、Pro Tools HDシステムを合計3台接続した場合のDolby Atmos HE(ホーム)プロダクション用のシステム例となります。

Avid S4/S6統合環境の実現

 

Avid S4またはS6を使用すると、Dolby Atmosのベッド・チャンネル・ミックスやオブジェクト・パンニングがより視覚的/直観的に実行可能です。

 

S4/S6の中枢であるマスター・タッチ・モジュール(MTM)に搭載のタッチ・スクリーンでは、ソースを2D/3D表示しながらパンニング可能、「高さ」「ゾーンマスク」「スピーカースナップ」といった機能にもアクセスすることができます。また、タッチ・スクリーン以外にも、物理的なノブやスイッチを使った操作が可能となっています。

オブジェクトは、ジョイ・スティック・モジュールを使ってパンニングしていくことが可能です。パンニング情報は、MTMのタッチパネル・スクリーン上だけではなく、ディスプレイ・モジュール上で各チャンネルの状況を確認することができます。

S4/S6上では、バス・パンニングとオブジェクト・パンニングも簡単に見分ける事ができ、必要に応じて高さ情報等のパラメーターをS4/S6上でのフェーダーにアサインしてコントロールすることも可能です。

最大8台までのPro Tools | UltimateをコントロールできるS6を導入する「Dolby Atmosダブ・ステージ」では、複数のPro Tools | Ultimateシステムがサテライトリンクで接続/同期し、NEXIS共有ストレージでプロジェクト・コラボレーションを行いながら、より効率的に作業を行っていく事ができます。

進化するDolby Atmosプロダクション環境

 

Pro Tools | Ultimate 2019.10並びに”Dolby Atmos Production Suite”及び”Dolby Atmos Mastering Suite”の登場により、Dolby Atmosコンテンツ制作の為の「ハードル」は劇的に下がりました。

 

今後は、必ずしもDolby Atmos制作工程の全てを、大規模システムを導入したスタジオ/ダビング・ルームで実施する必要はなくなり、事前にPro Tools | UltimateとDolby Production Suiteを使いプリ・ミックスを行った上で、Cinematic-RMUやHT-RMUを備えた、大規模なダブ・ステージでファイナル・ミックス及びマスタリングを実施する形が主流になっていくことが考えられます。

 

AvidのEuCon対応のコントロール・サーフェスは、各部屋のサイズや予算に応じて選択可能です。しかも、Pro Tools | Ultimate内でミックスしたデータは全て互換が保たれ、部屋間の移動時のデータ移行の手間もありません。

また、これらの全てのコントロール・サーフェスに、ルーター/モニタリング機能を備えた高品位オーディオインターフェイスであるPro Tools |MTRXを装着すれば、そのI/Oルーティングやモニタリング・プロファイルを共有/スタジオ互換を保つ事も可能です。

 

さらに、Pro Toolsクラウド・コラボレーションを活用すれば、外部スタジオ間とのプロジェクト共有も簡単に行えるため、物理的なメディアを持ち歩く必要もなくなるのです。

 

Pro Tools | UltimateとDolbyから提供される制作ツールによって、あらゆるサウンド・プロダクションに対して、Dolby Atmos制作環境の門戸が開かれました。

 

Pro Tools | UltimateとDolby Atmos Production Suiteがあれば、ヘッドフォン再生環境のみであってもDolby Atmosプリ・ミックスを開始することができ、Dolby Atmos Mastering Suiteを使いHT-RMU環境を構築することで、Home用Dolby Atmosマスタリングも可能となるのです。

 

より身近になったDolby Atmosイマーシブ・オーディオ・コンテンツ制作に是非チャレンジしてみてください!

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Pro Tools | Ultimate 2019、Netflix Post Technology Allianceに参入!

ニューヨークで開催されたAES 2019で発表され、US時間の10月31日にリリースされたPro Tools | Ultimate 2019.10が、Netflix Post Technology Allianceへ参加することなりました。これにより、Pro Tools | Ultimateは、Netflixが要求する高いレベルの品質基準に確実に対応することが可能となります。

Netflix Post Technology Allianceは、Netflix向けコンテンツの制作過程全般に向けたソリューション基準を、ポスト・プロダクション各社に提示する為にデザインされました。

Netflix Post Technology Allianceに参加することで、AvidはNetflixの掲げる技術並びにワークフロー要件を継続的にサポートすることをコミットすることとなり、プロダクションやポスト・プロダクションは、現在そして将来に渡って使用可能な制作環境を安心して構築することが可能となります。

 

Netflix Post Technology Allianceに対応する新機能とは?

Pro Tools | Ultimate 2019.10では、Netflixの技術/ワークフロー要件に対応する為、幾つかのキーとなる機能が追加/改良されています。

このリリースでは、Pro Tools | Ultimate内でDolby Atmosミックスを完結させるプロセスを簡素化する為、Core Audio経由でのDolby Audio Bridge完全対応を実現しています。これにより、最大130チャンネル(これまでは最大32ch)のデータをPro Tools | UltimateからDolby Atmos Rendererへ送信することが可能となり、これまでのDolby Send / Returnプラグインを使用していた際と比較し、トラック管理が大幅に簡便化されます。

また、今回のアップグレードにより、複数ミックスを、1つのWAVファイルにバウンスすることもできるようになりました。例えば、5.1チャンネルとステレオ・ミックスの2つを、インターリーブされた1つのファイルとして書き出し可能となるのです。これにより、異なったフォーマットの複数ミックスや複数言語でローカライズしたミックスを1つのファイルにまとめてデリバリーし、アセットとして管理するファイル数を大幅に削減することができるようになります。

加えて、Avid Pro Limiterプラグインにも、特別なプリセットが追加され、ファイナル・ミックスを行う際の準備が、より簡単に行えるようになりました。

 

Netflix Post Technology Allianceで設定されている高いレベルの基準を継続的に満たすことで、ユーザーは、今日そして将来に渡っても、安心してPro Tools | UltimateをNetflixコンテンツ制作用オーディオ・ツールとして利用していくことが可能となります。

Netflix Post Technology Allianceに関する詳細は、 こちら からご参照いただけます。

業界で裏づけられたサウンド


Pro Tools | Ultimateの、最大384オーディオ・トラックでサラウンドミックスを作成




Pro Tools 2019.10 新機能紹介

Pro Tools 2019 は、5月のリリースにて、MIDIトラック数倍増、トラック名一括変更、ボイス数増加、よりスムースな再生時編集、マルチシート・ライセンス対応等、クリエイターやエンジニアに役立つ新しいワークフローや機能に対応しました。そして、今回リリースされたPro Tools 2019.10では、ポストプロダクション・ユーザーにとって有意義な数多くの機能や改善が追加されていますが、その多くは他の分野のユーザーの皆様にもお役立ていただけるでしょう。早速、見ていきましょう。

 

Avid ビデオ・エンジンの強化

今回のアップグレードでは、Pro Tools 並びにPro Tools | Ultimate のビデオ・エンジンの強化が図られ4K/UHDビデオ並びにハイ・フレームレートに対応、映像に対するより精緻なオーディオ編集作業が可能となりました。また、解像度とフレームレートを、個別に設定できるようになったことにより、業界で使用される様々なビデオ・ファイル・タイプに適切に対応可能となります。これにより、既に高解像度対応となっているMedia Composerからのビデオ・ファイルのほとんどを、トランスコード等のステップを経ずに、そのまま読み込める事も大きな進歩です。加えて、H.264ビデオの再生パフォーマンスも大きく向上しています。

Dolby Atmos Production Suite向けCoreAudio対応強化

Pro Tools | Ultimate は、今回のアップグレードにより、Dolby Audio Bridgeを使用し130 CoreAudioチャンネルまで扱えるようになりました。これまでの最大32チャンネルから飛躍的な増加となっており、Dolby Atmos時の内部ミックス・ワークフローを大幅に改善しています。これによりPro Tools | Ultimate とDolby Atmos Production Suiteを使った際の、複雑なセッション構成やルーティング設定、さらには遅延補正の煩わしさから解放され、Mastering SuiteやCinema Rendererを使う際と同様のセットアップで、Dolby Atmos内部ミックスがスムースに実行可能となるのです。HDXユーザーにとっての朗報は、このアップグレードにより、HDXもDolby Audio Bridge対応となり、プレイバック・エンジンで選択するだけで、その環境下でのミックスが可能となることでしょう。

マルチ・ミックス WAV バウンス機能

Pro Tools | Ultimate のみに加えられた、もう一つの新しい機能が、複数ステムを1つのWAVファイルにインターリーブ出力可能となったことです。これはオーディオ・ポスト・エンジニアにとって、今まで苦労していた納品時のファイル統合作業から解放され時間を大幅に節約することができる重要な新機能となるでしょう。
また、この機能はNetflixを始めとするOTTベンダーへの納品を簡便化するだけでなく、別のPro Tools | Ultimateユーザーに、より確実にミックスを受け渡したい場合等にも有効です。

Netflix Post Technology Alliance

新機能やワークフロー関連ではありませんが、Pro Tools | Ultimateが、Netflix Post Technology Alliance (PTA)に参加したことも特記すべき情報でしょう。2018年に開始された、このNetflix制定のプラグラムでは、そのコンテンツを管理/制作する為のオーディオ/ビデオ・ツールに対する指標を提示しています。Netflix Post Technology Allianceロゴを掲げる製品になるということは、Netflixが制定した技術/ワークフロー要件を確実に満たしているという意味です。

Avidは、Pro Tools | Ultimateが、このプログラムに参加できることを光栄に感じており、業界最高峰の制作基準をクリアしながらプロダクションを行う、全てのオーディオ・プロフェッショナル&クリエイターを、現在、そして将来に渡ってサポートすることをコミットします。

Netflix Post Technology Alliance向けに追加されたPro Tools | Ultimateの改良点/新機能に関しては、 こちらをご参照ください。

 

いますぐアップデート

イマーシブオーディオの世界では、ポストプロダクション、音楽制作ともに、非常に多くのことが起こっているため、これらの新機能と追加 (このリリースで140を超える安定性の向上!) は、クリエイターが、より効率的にクリエイティブな制作の限界を押し広げることができるようにデザインされています。サブスクリプションが最新の場合は、Avid Linkまたは Avid.comアカウントの製品セクションからアップデートをダウンロードしてください!そして、まず、システムとOSの要件を確認することを忘れないでください!

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Avid VENUE | S6L導入事例 #03:Artware hub

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2018年の暮れ、東京・早稲田にまったく新しい音響空間が誕生しました。“Artware hub”と名付けられたこの施設は、故・梯郁太郎氏(楽器メーカー、ローランドの創業者)が創設したかけはし芸術文化振興財団が主体となって開設された、実験的な音響空間。一見すると小規模なコンサート・ホール/ライブ・スペースのようですが、室内には一般的なPAシステムに加えて36.8chのスピーカーが設置してあり、あらゆる規格のイマーシブ・オーディオ・コンテンツが再生できるようになっています。レコーディング用のPro Tools | HDXシステムも常設され、250インチのスクリーンやプロジェクター、4K対応のビデオ・カメラ、配信システムなども完備されたユニークな音響空間であるArtware hub。そのコンセプトについて、かけはし芸術文化振興財団の理事であり梯郁太郎氏のご子息でもある梯郁夫氏は、「ありきたりのコンサート・ホールではなく、“コンテンツを実現する場所”をつくりたかった」と語ります。

東京・早稲田に開設された音響空間、Artware hub。サウンド・システムの中核を担うVENUE | S6L

「父は生前、“場所が欲しい”とよく言っていたんです。メーカーがどんなに良い楽器をつくったところで、それを体験できる場所が無ければ意味がないだろうと。また父は、“これからの時代はコンテンツだ”ということも言っていて、会社の中にコンテンツ事業部を立ち上げたりしていたんです。ですので単なるホールではなく、“コンテンツを実現する場所”にしたいなという想いは最初からありました。それとイマーシブ・オーディオ対応というのも今回の大きなコンセプトの一つです。こういったホールでイマーシブ・オーディオというのは、相反するコンセプトだとは思ったんですが、父は立体音響にも情熱を持って取り組んでいた人だったので、これは疑いなくやろうと。ここはそれほど広い空間ではないのですが、イマーシブ・オーディオ対応という点ではそれが幸いしました。2,000〜3,000人入る規模だったら、こんな感じでスピーカーを設置して、イマーシブ・オーディオに対応させるなんて難しかったですからね。広さ的にも施工的にも制約のある場所だったんですが、それが幸いしてイマーシブ・オーディオ対応の空間ができたという感じですね」(梯氏)

36.8chのスピーカー・システムが常設され、Flux SPAT Revolutionによって、あらゆるイマーシブ・オーディオ・フォーマットに対応する

世界的に見ても珍しいイマーシブ・オーディオ対応の音響空間、Artware hub。そのコンセプトづくりからシステム設計、機材の選定に至るまで深く関わっているのが、エンジニア/プロデューサーの伊藤圭一氏です。かけはし芸術文化振興財団の理事でもある伊藤氏は、1980年代から梯郁太郎氏・郁夫氏両人と親交があり、今回のプロジェクトを中心になって推進しました。

 

「僕的には、“観客が入れるラボ”というイメージの空間をつくりたいと思ったんです。スウィート・スポットが広く、再生だけでなく録音にも対応した、ホールとスタジオのいいところ取りをしたような空間。加えて音響機器はもちろん、映像機器や照明設備なども完備した、すべてのことが一通りできる環境というのも最初から考えていたことです。長年コンサートの演出を手がけている人間として、現場の仕込みにかかる時間と費用ほどバカらしいものはないんですよ。それに仮設というのはクオリティの面でも問題が大きい。グラウンド・ノイズの問題もありますし、誰かがケーブルに足を引っかけてしまったり。なのでここは、外部から機材を持ち込まなくても、とりあえず一通りのことができる環境にしたかったんです。でも、こういった設備は、理想を追い求めていくとキリがない。プロジェクトが進む過程で迷うことが何度もあったんですが、そんなときは天を仰いで、“郁太郎さんだったらどうする?”と質ねましたよ(笑)」(伊藤氏)

伊藤圭一氏

36.8chのスピーカーは、Fulx SPAT Revolutionによって制御され、物理的に設置されているスピーカーに対して、音源を仮想的に配置。これによって5.1ch、Cube、Auro-3D、DTS、Dolby Atmos、22.2chなど、さまざまなイマーシブ・オーディオ・フォーマットに対応しています。

 

「イマーシブ・オーディオには、たくさんフォーマットがありますが、どれも単に再生するだけでも大変なんです。22.2chなんて、スピーカーをセッティングするだけでも相当な労力と時間がかかる。なので、フォーマットに合わせてスピーカーが可動するシステムとかいろいろ検討したんですが、そんな力技ではなく、バーチャルに実現できたらいいんじゃないかと思い、SPAT Revolutionを採用することにしました。これによってあらゆるフォーマットに即座に対応できるシステムになっています」(伊藤氏)

VENUE | S6Lは、24フェーダーのS6L-24D、エンジンはE6L-192、ステージ・ボックスはStage 64という構成

そしてArtware hubの音響設備の中核として導入されたのが、Avid VENUE | S6Lです。導入されたシステムは、サーフェースが24フェーダーのS6L-24D、エンジンはE6L-192、ステージ・ボックスはStage 64という構成。Artware hubにおいてVENUE | S6Lは、PAコンソールとしてだけでなく、Pro Tools | HDXシステムのオーディオ・インターフェースとしての機能も担っています。伊藤氏はVENUE | S6Lを選定した理由について、「ミックスとレコーディングを分け隔てなく行うことができる唯一の選択肢だった」と語ります。

 

「VENUE | S6Lは、Pro Tools | HDXシステムとAVBで接続することで、128chのオーディオ信号を送受信することができるんです。ですので、その場の音をミックスするだけでなく、必要であればすぐにPro Toolsにレコーディングすることができますし、逆にPro Toolsで再生した音をミックスすることもできる。コンサートの現場では、メンバー全員が揃わない状況でもリハーサルをやらなければならないことが当たり前のようにありますが、このシステムなら入力をマイクからPro Toolsに切り替えれば、本番と同じようにミックスができるというわけです。それと今後、世界中から人をお招きすることを考えると、できるだけスタンダードなものを導入したいと思っていたので、そういった意味でもVENUE | S6Lがベストだと判断しました」(伊藤氏)

膨大なオーディオ回線をハンドリングするために導入されたPro Tools | MTRX

またArtware hubでは、膨大なオーディオ信号をハンドリングするためのルーターとして、Pro Tools | MTRXも導入。Pro Tools | MTRXはVENUE | S6Lの後段に接続され、オーディオ信号をそのままパワー・アンプに送るか、あるいはSPAT Revolutionを経由してパワー・アンプに送るかという制御が、ワン・タッチで行えるシステムが構築されています。

 

「これだけのシステムですが、主に操作するボタンは4つだけなんです。VENUE | S6Lの音を出すか、SPAT Revolutionの音を出すか、サブ・コンソールの音を出すか、ビデオの音を出すか、この4つしかない。事務局の人しかいなくても、ビデオの音を簡単に出せる設計になっています」(伊藤氏)

 

施設が完成して以降、さまざまなイベントやレコーディングで使用されているArtwarehub。伊藤氏は「梯郁太郎さんの理想がすべて反映された、本当に稀有な空間」と語ります。

 

「イマーシブ・オーディオに対応して、最新の映像設備や照明設備が整ったこれだけの施設は、世界的に見ても珍しいのではないかと思います。しかもこれだけの施設でありながら、すべての人に門戸が開かれている。これは本当にすごいことで、我々はこんな施設を遺してくれた梯郁太郎さんに感謝しないといけませんね」(伊藤氏)

梯郁夫氏と伊藤圭一氏

公益財団法人かけはし芸術文化振興財団
http://www.kakehashi-foundation.jp/

 

システムインテグレーションを行ったロックオン・プロによるシステム詳細解説Web記事も併せてご参照ください。
Artware hub KAKEHASHI MEMORIAL 様 / レジェンドの描いた夢が実現する、全方位型36.8chイマーシブステージ

<<Avid VENUE | S6L 導入事例>>

# 2 株式会社フリーウェイ
# 1 株式会社artical

導入事例一覧

VENUE | S6L発売中

ライブサウンドの次なる進化 ― 賞に輝くVENUE | S6L なら、世界で最も要求の厳しいライブサウンド・プロダクションも簡単に扱うことができます。




Avid / DSpatialイマーシブオーティオ・プロダクション・セミナー @ Avid Space Tokyo

イマーシブ・オーディオ・ニーズの拡大に伴い、ポスト・プロダクションでも、市場ニーズに対応する為の様々な新しい試みが必要になってきています。
本セミナーでは、Dolby Atmosプロダクション向け機能を搭載したPro Tools | Ultimate 2019.5の紹介を中心に、MTRX拡張オプションや、それを使ったAvid最新イマーシブ・オーディオ・ミキシング・ワークフローを紹介します。

また、今回は特別ゲストとしてスペインのDSpatial社からCEO ラファエル・デュヨス氏を迎え、22.2ch、Dolby Atmos、Auro-3Dといった標準的なイマーシブ・オーディオ・フォーマットへの対応のみならず、プラネタリウムやアミューズメント施設で必要となる最大48スピーカーまでのカスタマイズされたマルチ出力環境での制作にも対応可能なAAXプラグイン「DSpatial Reality」を使ったイマーシブ・オーディオ・プロダクション環境とその具体的な活用方法についてセミナー致します。

開催概要

2019年6月28日(金) 14:30~17:00 (受付開始14:00)
Avid Space Tokyo 
東京都港区赤坂2-11-7 ATT新館 4F アビッドテクロジー(株)内

  • 交通のご案内(map)
    東京メトロ – 銀座線 南北線「溜池山王」駅 12番出口 直結
    丸の内線 千代田線「国会議事堂前」駅 地下通路より溜池山王駅を経て12番出口 直結
    千代田線「赤坂」駅より 徒歩10分
  • 参加費:無料
  • 定員:50名

アジェンダ

第一部:
Pro Tools Ultimate with Dolby ATMOS プロダクション・セミナー

ダニエル・ラヴェル (アビッドテクノロジー株式会社 APAC オーディオ・プリセールス・マネージャー)
Auckland Audio Head Engineer and Technical Managerを経て2008年よりフリーランス活動を開始。その後、Fairlight Japanに入社、2012年よりAvid Technology。フリーランスのエンジニア/サウンドデザイナーとしても活動中。
ダニエル

Pro Tools | Ultimateソフトウェア

第二部:
DSpatial イマーシブ・オーディオ・プロダクション・セミナー

ラファエル・デュヨス(DSpatial CEO)
DSpatial社創設メンバーでCEO。80年代はバルセロナのSONY PROCOMでオーディオ・エンジニアを務め、アナログからデジタルへの移行を推進。ハード/ソフトウェア設計も行い、97年には24ch・3D音声システムの特許を申請。作曲家及びプロデューサーとしては、数百もの映画・テレビCMの音楽を担当。8度のロンドン・シンフォニー・オーケストラとの収録のうえ、91年には同楽団とコーラスによる、ロンドンとバルセロナでの初の2地点同録を成功。10年もの技術開発を踏まえた、自身の現在進行事業がDSpatialです。

DSpatial(ディー・スペーシャル)会社概要
DSpatial社はバルセロナを拠点に、現実感の高い音声制作のツールに取り組んでいます。フラッグシップ製品「Reality」の中心部は独自技術の物理モデリング・エンジンであり、作り出される2D・3D音響空間は、音源の位置や動作、空間のサイズや形状、壁の位置や素材などの物理パラメータによって調整されます。同社製品は映画、テレビ、音楽、イベント、テーマパーク、バイノーラル音声や360度VRコンテンツなど、広範囲に渡って利用されており、いずれの分野においても高いレベルのイマーシブ・オーディオを実現します。

DSpatial Reality

※セミナー内容は、事情により変更となる場合もございます。




ERA Voice Levelerで、音声のボリュームレベルを修正

ボーカル録音やダイアログ収録において、音声レベルのばらつきはつきものです。 ミックスの中で適切なバランスをとるために、手動でのボリュームオートメーションの書き込みは最も安全な方法ですが、それは間違いなく効率的な解決策ではありません。

AccusonusのERA Voice Levelerは、新しい特許出願中のアルゴリズムを用い録音した音声レベルの問題を自動的に検出し、1つのノブでリアルタイムに修正可能なツールです。 Pro Tools環境を離れることなく、簡単なダイヤル操作で自然な結果を得ることができます。 また、ERA Voice Levelerはコンプレッションを使用しないため、ボーカルの自然なサウンドを維持します。

他の同様のプラグインと一線を画す機能の1つが、録音中にボーカリストやナレーターがマイクの周りを移動することによって生じる周波数バランスのズレを補正するように設計されているEmphasis機能です。

タイトモードでは、よりはっきりとしたサウンドが得られます。これはラジオ放送のようにBGMから声を際立たせるのに特に便利です。 ブレスコントロールを有効にすれば、ブレスを検出し低いレベルに保ちます。

特にあなたが納期の決まったプロの仕事をしているとき、あなたのあらゆる時間が重要であることを私たちは知っています。 AccusonusのERA Voice Levelerは、強力なツールであり、ボーカルチェインの中でも間違いなく価値のある真のタイムセーバーです。

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Avid at NAB 2019:イマーシブ・オーディオ・プロダクションへの新たな提案

2017年、Pro Tools | UltimateはDolby Atmos™に対応しました。この統合機能は、AvidとDolbyの二社のコラボレーションによって誕生し、Atmosミックス環境の可能性が大きく広がりました。

近年、Dolby Atmosは次世代のイマーシブ・サウンドの事実上の標準として確実にその地位を築いています。フィルム市場に於いては、Atmos対応シアターが世界中に広がり、NetflixやAmazon Primeといった大きな影響力を持つストリーミング・サービスが、3D/オブジェクト・ベースのサラウンド・サウンドでの制作を推奨することで、多くの人気ムービー・コンテンツがイマーシブ・オーディオ環境でミックスされるようになり、Dolby Atmosは今、ホーム市場でも大きく浸透してきています。

イマーシブ・オーディオ・ニーズの拡大に伴い、ポスト・プロダクションや、それに携わるプロフェッショナル達も、市場ニーズに対応する為の様々な新しい試みが必要になってきています。イマーシブ・オーディオ・フォーマットの要件に基づき、より多くのトラックを用いる事になる為、セッション・サイズは大規模化し、Dolbyレンダラーに128チャンネルを送り込み、最大64チャンネルのスピーカーにサウンドをフィードする為、より多くのI/Oが必要になっているのです。また、Atmosだけではなく、複数のイマーシブ・オーディオ・フォーマットにも対応するスタジオでは、ルーム・アコースティックや空間スペースの設計などにも、より気を配る必要が出てきました。

その為、設備規模はより拡大・複雑化してきており、そういった設備に必要な高いメンテナンス性も踏まえたシステム・インテグレーションを、効率的に行なう事が重要になってきています。つまり、将来イマーシブ・オーディオ化がより進んでいくフィルムやTVサウンドに対応していくには、より正確で透明性の高いサウンドを持つ、柔軟かつ多くのI/O環境が必要になるのです。

 

よりエレガントなソリューションを求めて

NAB2019で、AvidはPro Tools | Ultimate、Pro Tools | S6、 HDX、そしてMTRXといったDolby Atmosの為の完全統合されたオーディオ・ポスト・ソリューションを展示します。これらを組み合わせる事で、イマーシブ・オーディオ・ミックスを行なう為の、より一体感の高いスムースなエンド・トゥ・エンド・ソリューションを実現可能となるのです。

 

1台のMTRXが持つパワー

Pro Tools | MTRXは、要件に応じて任意のオプションを追加できる8つの拡張カード・スロットを搭載したパワフルで柔軟性の高いI/Oシステムで、Avidのイマーシブ・オーディオ・ソリューションの中心となる製品です。最大化されたMTRXでは、2Uラック・サイズの筐体上で膨大な数のI/Oをハンドリングし、アナログ及びMADI, DanteそしてDigiLinkといった多くのI/Oフォーマットに対応することが可能です。

この広大なI/Oキャパシティーとカスタマイズ性により、より多くの入出力を使うモニター/レンダー環境が必要なオーディオ・ポスト・ワークフローを完璧にサポートすることが可能となります。このMTRXを中心にシステムを構築することで、デジタル領域内で、複数フォーマットを持つ複数のディバイスを柔軟にルーティングし、EUCON対応のコントローラーを、統合コンソールとして機能させる事ができるようになります。

 

オプション・カードによるMTRXの拡張 

今、ポスト・プロダクション・スタジオには、イマーシブ・ミキシングに適した正確にチューニングされたサラウンド・ルームが必要となってきています。昨年リリースされたSPQ スピーカー・プロセッシング・オプションでは、1枚のカードでAtmosがサポートする最大スピーカー数である64チャンネルの倍に当たる128チャンネル分の1,024ディスクリート・フィルターが搭載され、正確なルーム・チューニングが可能となります。このスピーカー・キャリブレーション・オプションは、MTRXに完全統合されていますので、シグナル・チェーン内に追加のI/Oを加える必要もありません。

 

昨年末にリリースされた128-チャンネル対応IP オーディオDante カードは、単体または複数のHDシステムを、Danteネットワークに接続することを可能にします。カードを拡張することで、1台のMTRXで最大1,088チャンネルのDante I/Oを接続でき、複数の部屋をコスト・エフェクティブなIPオーディオ・ソリューションであるDante対応機器で統合していくといったことも可能となります。

 

DigiLinkオプション・カードをプレビュー

現在、MTRXベース・ユニットには、64チャンネルに対応したデュアルDigiLinkポートが標準搭載されています。これは1枚のカードを持つHDXシステムには非常に有意義ですが、イマーシブ・オーディオ・ミックス時に必要となる複数のHDXシステムを統合する場合は、MADI等の他の複数のI/O機器を各HDXシステムに接続し、MTRXとインテグレートする必要がありました。

今回発表されたMTRX用の64チャンネルDigiLinkオプション・カードの登場により、複数のHDXシステムがMTRXの強大なルーティング・キャパシティーに直接アクセスすることが可能となります。1台のMTRXに最大6枚まで搭載可能となる、このDigiLinkオプション・カードにより、複数のHDXカードをMTRXに直接接続可能となり、1台のHDXシステム用のI/Oキャパシティー(カード3枚時最大192チャンネル)が増えるだけではなく、それぞれのDigiLinkオプション・カードに別々のHDXシステムを接続することもできるようになるのです(最大6 x HDXシステム)。これにより、追加のハードウエアの必要性が減り、より低コストでシステム構築を行なうことが可能となります。

 

Dolby Atmosでは、複数HDXシステムのサウンドを128チャンネルにまとめ、それをDolby RMUに送る必要がありますが、これまでは複数のMADI及び/またはDanteインターフェースを使いMTRXに統合したサウンドをRMUに送受信を行い、そしてそれをモニター・スピーカーにフィードしていました。

DigiLinkオプション・カードを使い、複数のHDXシステムを1台のMTRXに直接接続可能となることで、必要なインターフェース数が減り、よりシンプルにAtmosインテグレーションが可能となります。

NAB 2019では、Avidの最新のイマーシブ・オーディオ及びオーディオ・ポスト・ワークフローを紹介しています。是非、お立ち寄りください。

Pro Tools | MTRX

Pro Tools | MTRXは、DAD社の伝説的なAD / DAコンバーターの優れた音質に加え、スタンドアローンまたはAvid Pro Mixing サーフェスを使用して、広範で柔軟なルーティングおよびモニターコントロールを提供します。

 




Avid at NAB 2019: Pro Tools 2019 プレビュー

Avidは、Connect及びNAB2019にて、Pro Tools 2019のプレビューを行なっています。この近日リリース予定のPro Toolsでは、MIDIトラック数倍増、再生中のトラック操作機能、macOS Mojave対応を含む、パワフルでパフォーマンスに優れた幾つかの新機能が追加されます。

中でも注目の機能は、Pro Tools | Ultimate上でのボイス数50%増でしょう。Pro Tools 2019では、Pro Tools | Ultimateスタンドアローン・ソフトウエアとHD Nativeシステムで、48kHz時最大同時384ボイスをサポートします(これまでは256です)。また、追加のボイス・オプションを搭載することで、HDXシステム最大拡張時と同等の768ボイスまでスケールアップさせることも可能となっています。ここでは、このボイス追加機能の詳細について、それが有効となるワークフローも含めて見ていきましょう。

 

ボイスとは何か、そしてその増加がなぜ価値があるのか?

ボイスとは、Pro Tools内で個別に再生可能なオーディオ・ストリームのことをさします。モノ・オーディオ・トラックは、ボイスを一つ使用し、ステレオ・オーディオ・トラックは二つ使用するといった形になります。対応ボイス数が多いとそれだけ同時再生(発音)できるオーディオ・トラック数が増える事になる為、より大規模なセッションを構築しながら作業可能となるのです。扱えるボイス数が増え、大規模セッションを構築可能になると、数千ものトラック数にまで膨れ上がるフィルム・コンテンツ制作時のワークフロー改善にもつながります。

 

なぜ「ボイス制限」は存在するのか?

Pro Toolsに限らず、全てのDAWには発音可能なボイス数の制限が存在します。Avidでは、それぞれのシステムの能力に応じて、より確実に再生可能となる最大ボイス数を公示しています。幾つかのDAWでは、無制限トラック(この場合ボイス数をさす)を謳っているケースもありますが、そういった場合でも、実際には使用するコンピュータのパワーに応じた限界が存在するのです。その限界点はケースによって様々ですが、真に「無制限」といった状態を作り出すことはできません。

拡張性と柔軟性

Pro Tools | Ultimate ソフトウエアとHD Nativeシステムでは、ボイス数が384まで増えたことに加え、Pro Tools | Ultimateボイスパック・オプションの追加で、システム毎に、Pro Tools|HDX最大拡張時(カード三枚)と同等の最大768ボイスまで拡張することも可能となりました。これにより、メインのスタジオで使用しているPro Tools|HDXで作業したセッションを、他のスタジオにあるHD Nativeで編集/微調整するといったことも可能となり、オーディオ・ポストプロダクション時のコラボレーション・ワークフロー時の柔軟性が一層向上します。

HDXについての特記事項

Avidでは、NAMM 2019でテクニカル・プレビューしたように、HDXに対するボイス増加も現在開発中ですが、HDXに期待されている業務基準の使用に耐えるレベルの安定性/堅牢性に到達するには、もう少しの時間を要します。

その為、直近でリリースされるPro Tools 2019で装備されるボイス増加機能は、Pro Tools | Ultimateソフトウエア及びHD Nativeシステムに対するもののみとなります。

Pro Tools | HDXは、DSPベースの決定論に基づいた堅牢性を重視した仕様により、最大768ボイス(カード毎に256ボイス)を実現し、ネイティブCPUパワーベースのシステムの宿命である、その依存性に基づいた制限への配慮を必要とせず使用することが可能です。加えて、CPUパワーを消費しないAAX DSPプラグイン、超低レーテンシー仕様、拡張可能な入出力コンフィギュレーション等の独自の価値を備えたシステムとなっています。

Pro Toolsネイティブ環境で実現された今回のボイス増により、Pro Tools Ultimateソフトウエア及びHD Nativeシステムの、HDXシステムとの共存、大規模セッション時の相互運用性がより向上されることでしょう。

Pro Tools 2019は、再生停止を行なう事なく実行できるトラック編集機能、macOS Mojave対応等、その他の機能も追加されています。さらに詳しくは、Avidの What’s New page ページをご参照ください。

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Avid at NAB 2019: 開発中のPro Toolsビデオ・エンジンをプレビュー

NAB2019では、開発中のPro Tools搭載Avidビデオ・エンジンをプレビューしています。これらの機能 (*) は将来的なPro Toolsリリースに含まれる予定ですが、具体的な搭載時期は後日アナウンスされる予定です。

これらのアップデイトにより、ハイレゾ映像フォーマット時に於けるオーディオ・プロダクション・プロセスに必要な、”True-HD”タイムラインのフレーム基準を正確に反映させることができ、HD解像度以上の様々なビデオ・フォーマットにも対応可能となります。

 

HD以上のハイレゾ/ハイ・フレームレートへの対応

4K及びそれ以上の高解像度ビデオ・コンテンツの普及を受け、それらのコンテンツに対するオーディオ・ポスト・プロダクション・ワークフローをスムースに実行可能とする為、Pro Tools上で、より幅広いレンジのビデオ・フォーマット、フレームレート、ラスターサイズを、簡単に扱えるようになることが重要になってきました。

今回のビデオ・エンジン改良の目的は、単にHD以上の高解像度を持つビデオやハイ・フレームレートに対応するということだけではなく、時間を無駄にするやり取りやトランスコードといった作業を極力最小化することで、ビデオ編集とサウンド・ミキシング作業時コラボレーションを、より効率よく行なえるようにするという点にあります。

 

最大フレームレート120fps対応

現在のPro Toolsでは最大59.94fpsまでのビデオ・ファイル・フレームレートを補間認識可能ですが、セッション・フレームレートに基づくメイン・タイムコード・カウンターは最大30fpsまでという制限がある為、30fps以上のビデオ・フレームを正確に表示するには、ハーフ・フレームを選ぶか別のグリッド値を選択する必要がありました。

NAB2019でプレビューされる新しいビデオ・エンジンでは、HD以上のフレームレート(最大120fps)をタイムライン上で表示可能となっています。これにより、メインカウンターのフレーム・グリッドも、実際のビデオファイルが持つフレームレートと一致させながら操作することが可能となりました。

現在のセッション・フレームレート選択

新たなセッション・フレームレート選択

3桁表示可能なメイン・タイムコード・カウンター

30fpsセッション/グリッド上の30/60/120fps の1フレーム・オーディオ・クリップ

120fpsセッション/グリッド上の30/60/120fps の1フレーム・オーディオ・クリップ

HDを超える高解像度ビデオへお対応(4K含む)

ビデオ・ラスターは、ファイルの解像度を示し「ラスターサイズ」とも呼ばれます。現在のPro Toolsは29fps 1080p以内のビデオの再生は可能ですが、30fps 1080p以上には対応していません。この仕様は、放送フォーマットに縛られずに制作を行なう一部のコンテンツ業界では制限となることもあり、Pro Tools上に取り込む前に、フレームレート変換等が必要になるケースもありました。

近い将来、Pro Toolsは、4K解像度を含む、より幅広いレンジのラスターサイズをサポートし、それによりAvidのビデオ編集ソフトウエアMedia Composerとの親和性も一層向上することになります。また、放送やOTTで採用される業界のスタンダード・フォーマットをプリセット化してサポートすることに加え、そういった既存フォーマットにこだわらずにコンテンツ制作を行なう、WEBベースや設備用映像といった、カスタマイズされたラスターサイズが必要なケースにも対応することが可能となります。

プリセット・サイズ

 

The Video track itself will now appear a little differently, where the frame rate and raster size are independent, rather than fixed settings of frame rates and size.

現在のレイアウト

新しいレイアウト

H.264再生パフォーマンスの改善

Avidでは、H.264ファイルをより安定かつスムースに再生する為、32-bit QuickTime API を使わない独自のデコード機能も開発しています。

H.264は、そのファイルサイズに対して高画質を維持できる為、広く普及していますが、制作環境の中で、スムースに再生するのは難しいコーデックとして知られています。これは、様々エンコード方法があることも一因ですが、ファイル自体にフレーム等の様々な情報が含まれていることもその理由のひとつです。その為、ナッジ、スクラブそしてシャトリング時の取り扱いが難しくなるのです。こういった技術的な困難にも関わらず、Avidでは、この汎用性が高く重要なコーデックに対するパフォーマンスの改善にチャレンジしています。

これらNAB2019でプレビューされている新しいビデオ・エンジン改良機能の詳細は、 avid.com/nabでもご覧いただけます。

 

 

*ビデオ・エンジンに対するこれらの新機能は開発中で、リリース時には変更される可能性もありますので、ご了承ください。

 

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Pro Tools | S6導入事例 #16:スクウェア・エニックス

Installed by TAC System

日本を代表するゲーム・ソフトの開発/販売会社、株式会社スクウェア・エニックス。同社は2016年末、本社内に開設された音響スタジオ、『SOUND STUDIO』を2部屋同時にリニューアルしました。今回のリニューアルでは、コンソールを中心に機材が大幅に入れ替えられたほか、大規模な『SOUND STUDIO1』はDolby Atmos for Homeにも対応。これからの10年を見据えたモダンな音響スタジオとして生まれ変わりました。同社サウンド部所属のサウンド・デザイナー/レコーディング・エンジニアの五十川祐次氏は、“音質のさらなる向上”が今回のリニューアルの狙いであると語ります。

 

「音質に関しては、前々からもっと向上させたいと考えていたんです。ICON D-Controlシステムの導入以降、モニター・コントローラーとして標準のXMONを使用していたんですが、その部分での音質劣化がずっと気になっていた。今回のリニューアルは、ICON D-Controlシステムのサポートの終了がきっかけだったんですが、どうせコンソールを入れ替えるのであれば機材をシンプルにして、Pro Toolsの出力をダイレクトに鳴らせるようなシステムにしたいと思ったんです」(五十川氏)

新たにPro Tools | S6システムが導入された『SOUND STUDIO1』

録音メインのスタジオ『SOUND STUDIO 2』には、Pro Tools | S3システムとPro Tools | Dockの組み合わせを導入

今回のリニューアルでは、長らく使われてきたICON D-Controlシステムをリプレースする形で、『SOUND STUDIO1』にはPro Tools | S6システムが、『SOUND STUDIO2』にはPro Tools | S3システムとPro Tools | Dockの組み合わせが導入されました。『SOUND STUDIO1』のPro Tools | S6システムは24フェーダー/5ノブ仕様のM40で、各モジュールは音響施工会社が製作した特注フレームに収納。中央のモニター・ディスプレイ/キーボード周りを広くすることで、台本や資料が置きやすくなっているのが特徴です。

 

「ICON D-Controlシステムの次に入れるコンソールということで、『SOUND STUDIO1』のPro Tools | S6システムに関してはほとんど迷わずに決まりました。一方の『SOUND STUDIO2』に関しては、最近は録音作業がメインになっていたので、小さなアナログ・コンソールを導入しようと思っていたんです。しかし今回お手伝いいただいたタックシステムさんからDAD AX32の話を聞いて、オーディオ・インターフェースで音質を向上できるのであれば、わざわざアナログ・コンソールを導入することもないだろうと。最終的にPro Tools | S3システムとPro Tools | Dockの組み合わせを選定しました」(五十川氏)

『SOUND STUDIO1』のPro Tools | S6システム

『SOUND STUDIO2』のPro Tools | S3システムとPro Tools | Dock

五十川氏によれば、「今回のリニューアルのポイントとなった機材がDAD AX32」とのことで、この製品はご存じのとおり、Pro Tools | MTRXの原形となったオーディオ・インターフェースです。『SOUND STUDIO』では、Pro Tools | HDXとAX32はDigiLinkでダイレクトに接続され、またDanteポートにはゲーム開発ツールのWindowsマシンも接続。さらにはCB TechnologiesのTMC-1-Pentaを接続することで、モニター・コントローラーとしても活用されています。

 

「AX32によって、ルーティングをシンプルにすることができ、その結果今回の最大の目標だったクリアな音質を実現することができました。AX32は内部がバランス回路なので、とても音質がクリアで、内部のゲイン調整などの融通も利きますから、本当に便利な機材です。DSDにも対応していますから、音楽のマスター音源を試聴する際にも重宝していますね。AX32と組み合わせる機材としてTMC-1-Pentaを導入したのは、このスタジオで扱うセッションのサンプル・レートがバラバラだからです。基本は96kHzなんですが、48kHzのときもありますし、たまに192kHzで作業することもある。その点TMC-1-Pentaは、AX32側のサンプル・レートの切り替えだけで済むのが良かったんです。9.1.2chに対応しているというのもポイントでしたね」(五十川氏)

今回のリニューアルでポイントとなった機材、DAD AX32。Pro Tools | MTRXの原形となったオーディオ・インターフェース

約10年使用してきたICON D-Controlシステムに替えて導入されたPro Tools | S6システムとPro Tools | S3システム。その操作感と新しいワークフローについて、五十川氏は大変満足していると語ります。

 

「Pro Tools | S6システムに関しては、エンコーダーやフェーダーの感触が格段に良くなりました。ICON D-Controlシステムのエンコーダーは、動きが極端な感じでEQの微妙な操作が厳しかったんですが、Pro Tools | S6システムではアウトボードのような感覚でプラグインを操作できています。フェーダーもガタガタいっていた感じが無くなって、滑りが良くなりました。

正面のディスプレイ・モジュールは、オートメーション・カーブが表示されるのが便利です。最初は別に要らないかなと思っていたんですが、作業中につい見てしまうということは便利ということなんでしょう。フェーダーの下にトラックの色が表示されるのも分かりやすくて気に入っています。

今のところ一番気に入っているのは、フェーダー・ロックとメーター・ロックですね。好きな位置にフェーダーとメーターを固定しておくことができるんです。他のフェーダーをスクロールさせてもそこだけは動かない。頻繁に操作するフェーダーを固定しているんですが、これはかなり便利ですね。

新しいスタジオは、AX32の導入によって音が凄く良くなりましたが、違和感なくこれまでどおり作業できています。工事が終わってフル稼働ですが、動作も安定していてトラブルも無く、とても満足していますね」(五十川氏)

写真左から、タックシステムの小野隆氏、スクウェア・エニックスの五十川祐次氏、タックシステムの小林稔朗氏

Pro Tools | S6

Avid Pro Tools | S6は、モジュール式設計であり、構成されたシステムを選択するか、または独自のシステムを構築することが可能です。