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モバイル・ジャーナリスト

“電話で済ます”とは、おざなりにするという意味で使われてきましたが、今日、電話取材する記者は、手抜きをしているわけではありません。むしろ、モバイル・ジャーナリストの役割を受け入れているだけです。

従来の現場取材では、記者とカメラマンがチームを組み、重くて扱いにくい機材を使って、インタビュー、Bロール、記者の現場レポートを撮影します。それから、ニュースルームに戻って、放送用の原稿を書き、編集します。モバイル・ジャーナリストまたは “モジョ(Mojo)” は、現場でスマホやタブレットを使ってストーリーを伝える術を学び、装備をしています。その結果、プロセスを加速、機材コストを削減、少ない人数で多くのことをこなします。

この新しい取材形態を採用している放送局もありますが、他の放送局は、モバイル・ジャーナリズムは従来の取材の質に及ばず、既存のワークフローに取り入れるには複雑という根強く残る認識によって踏み出せずにいたようです。コロナ禍と在宅勤務が必須になったことで、できることにやっと目が向けられました。

ドバイの放送局アルアラビーヤの例を見てみましょう。コロナ禍で孤立を余儀なくされた時、クルーは現場から映像を撮影するためにスマホを利用しました。アルアラビーヤのオペレーション・ディレクターであるルーバ・イブラヒム(Ruba Ibrahim)氏は、スマートフォンの画質の高さと使いやすさを称賛します。

「今では、記者がライブ中継のソリューションを求めた時に、これを採用することが多くなっています」 とMaking the Mediaポッドキャストで話しました。

スマートフォンのパワー

最新のスマートフォンは、ジャーナリズムにおけるスイス・アーミー・ナイフです。スマホを携えた記者は、写真や動画を撮影し、適切に編集して、現場から速報をライブ中継することさえできます。それもわずか数タップで。

スマホは小さく、軽くて邪魔にならず、現場の記者はこれまで以上に機動的かつ自由に動き回ることができます。デジタル技術の急速な進化により、最新モデルのスマホで撮影した動画は、プロ用のテレビカメラやDSLR(デジタル一眼レフカメラ)と比べても遜色ないばかりか、勝ることもあります。さらに、充実したモバイル・ジャーナリズム向けのツールが、放送品質のオーディオや照明を提供します。

モバイル・ジャーナリストの取材に個人のスマホを使用させるのは魅力的かもしれません。しかし、放送局が同じメーカー、同じモデルのスマホに同じアクセサリを装備したキットを用意するほうが良いでしょう。共通したツールセットは、トレーニングやトラブルシューティングが容易になります。とは言え、モバイル・ジャーナリストは大概、通信用と技術的な問題が起こった場合のバックアップとして、いつも自分のスマホを所持しています。

 

モバイル・ジャーナリズムのワークフロー

モバイル・ジャーナリズムは、多くの報道媒体や放送局がすでに採用しているデジタル主体のワークフローに無理なくフィットします。競争の激しい報道環境において、現場からスマホより速く速報を伝えられる方法はありません。記者は、ネットワークにアクセスできさえすれば、数分で “生” 配信できます。今日の視聴者が最初にニュースに触れる傾向にあるソーシャル・メディア・プラットフォームにコンテンツを直接公開することができます。

Avidのグローバル・マーケティング担当バイス・プレジデントのコリーン・スミス(Colleen Smith)は、TVTech電子書籍 『The Newsroom of the Future(英語)』 において、「モバイル・ジャーナリズムが話題に上がりだした当初、人々はニュースルームで行ったことのすべてを、現場の記者にも提供しようと試みました。しかし、本当に必要なのは、ツールを変えて、必要なツールを与えることです。」 と話します。

MediaCentralなどの堅牢なメディア・ワークフロー・プラットフォームは、ニュースルームのワークフローにモバイル・ジャーナリズムを統合するための鍵となります。シンプルで使いやすいグラフィカルなウェブ・インターフェースを使って、記者はどこからでもタスク、プロジェクト、アセットにアクセスできるだけでなく、トランスコードや編集用に生動画をアップロードすることも可能です。

 

モバイル・ジャーナリズムの考え方

モバイル・ジャーナリズムでは、必要となるツールが異なると同時に考え方も異なります。小型で安価な機材を記者が使っているからと言って、完成品の品質が低下するわけではありません。モバイル・ジャーナリストは、技術的にも編集的にも、従来の取材チームと同等の高い水準を満たすことが期待できますし、またそうでなければなりません。

アイルランドRTÉのデジタルネイティブ・コンテンツ編集者フィリップ・ブロムウェル(Philip Bromwell)氏は、モバイル・ジャーナリストのチームと一緒にやろうとしているのは、「これらの日常的なモバイル機器を使って、放送品質のコンテンツを作ることが完全に可能であるという考えを売り込むこと」 だとMaking the Mediaポッドキャストで語っています。彼は “モバイルの考え方”、つまり新しいことや違うことに挑戦する熱意で人を採用し、スキルは二の次です。

ブロムウェル氏は、モバイル機器は大型カメラほど習得が容易ではないものの、適切なトレーニングをうけることができると言います。新しいツールやワークフローと同様に、トレーニングと情報文書、実践のためのリソースと時間の組み合わせによって、記者はモバイル・ジャーナリズムのスキルに自信を持つことができます。

コロナウィルスの世界的な大流行により、特にリモート・コラボレーションに関しては、新しいワークフローや新しい技術の受け入れが加速しました。予算は縮小し、複数プラットフォームでのコンテンツに対する需要は拡大、モバイル技術は継続的に進化する時代において、モバイル・ジャーナリストの居場所が存続するのは間違いないでしょう。

メディア・エンタープライズのクラウド導入

どのようなワークフローがクラウドに移行できますか?また、その方法は?早速見てみましょう。




Avid NEXIS | EDGEプロキシ・ワークフロー:機能と重要性

Avid NEXIS | EDGEは、エディターやポストプロダクション・チームのコラボレーションを支援する新しいメディア・ワークフロー・ソリューションです。その中心にあるのは、Media Composer | Enterpriseを使うエディターが、どこにいても編集室で作業するのと変わらないメディア・アクセス、ワークフロー、ユーザー・エクスペリエンスで作業することを可能にする新しい画期的なプロキシ・ワークフローです。

 

Avid NEXISストレージを活用して、オンプレミスに匹敵するセキュリティを実現し、プロキシ・メディアを作成して、ハイレゾ・バージョンとプロキシ・バージョンをMedia Composer | Enterpriseのタイムライン上で簡単に選択することができます。これにより、オンプレミスの作業からリモートの作業への切り替えが容易になり、手作業で再リンクする必要もなくなります。

 

Avid NEXIS | EDGEでは、Media Composer | Distributed Processingを使用して、リモートからでも社内の使用していないコンピューターと通信できるため、プロキシ作成やレンダリングなど、プロセッサーに負担のかかる作業を、空いているコンピューターに割り当て、Media Composerを解放して時間を節約しながら、作業を継続することができます。

 

Avid NEXIS | EDGEの新しいプロキシ・ワークフローは、これまでのAvidや他のプロキシ・ワークフローとどのように違うのでしょうか?技術的詳細については、ホワイトペーパー『Reimagining the Possibilities of Proxy Workflows for Media Production』(メディア制作向けプロキシ・ワークフローの可能性を再考:英語版)をご参照ください。

Avid NEXIS | EDGEおよびMedia Composer | Distributed Processingは、Media Composer | Enterpriseサブスクリプションに無償で含まれます。

Avid NEXIS | EDGE

どこでからもコラボレーションでき、リモートでビデオ編集を可能にするソリューション。エディターが編集室で編集するのと同様のメディア・アクセス、ワークフロー、ユーザーエクスペリエンスを得られ、どこからでも作業できます。




メディア・ストレージの動向と分散型ポストプロダクションの未来を探る

メディア・ストレージは、今後数年で爆発的な成長が見込まれています。ポストプロダクション業界の仕事、受け入れ、コミュニケーションの方法における最近の変化の多くは、コロナ禍によってもたらされ加速されたものですが、メディアの保存や共有の方法を変えています。

ポストプロダクション業界では、リモート・ワークフロー、クラウド・ストレージ、クラウド・コンピューティングなど、クラウドベース・ソリューションの導入傾向が明確であると、デジタル・ストレージ・アナリストのCoughlin & Associates社 社長のトム・コフリン(Tom Coughlin)氏は、Avidのウェビナーで語っています。メディアチームは、ロックダウンの規制緩和後も、さまざまな場所からコラボレーション作業を続けてきました。リモートへの移行ラッシュは、将来にわたってポストプロダクションに影響を与え、ポストハウスやポスト部門は、今後、どこからでも働けるワークフローのさらなる進化に向けて計画を策定する必要があります。

問題は、もはや社内の階層型メディア・ストレージをアップグレードする必要があるかどうかではなく、既存のオンプレミスのリソースとクラウドベースのサービス・プロバイダをどのように組み合わせれば、最高の柔軟性、セキュリティ、価値が得られるかです。

 

将来を見据えた分散型ポストプロダクション・ワークフロー

コフリン氏が指摘するように、リモートの制作およびポストプロダクション・ワークフローでは、クラウド上のメディア・ストレージ、クラウドベースの共同レビューや承認ワークフロー、クラウドベースのレンダリングやコンテンツ配信への需要が高まっています。

さらに、リモート制作作業を通じて、制作とポストプロダクションの融合が進み、LEDウォールやリアルタイムでのグリーンバックの入れ替えなど、ポスト・イン・プロダクション技術の利用が増えることで、ポストチームや制作チームがうまく連携するための新しいソリューションが必要になっています。

クラウドのメディア・ストレージとコスト

このような変化により、すべてのオンライン・ストレージを提供するデータセンターの容量は大幅に増加し、オンライン・ストレージ・プロバイダーの選択肢も大きく多様化しました。ポストプロダクション・チームは、それぞれのソリューションの長所と短所を、変化する独自のニーズと照らし合わせて検討しなくてはならないため、選択肢の多さは、意思決定の際に混乱を招くかもしれません。

クラウドベースのメディア・ストレージ戦略を簡略化する1つの方法は、クラウドをアーカイブまたはバックアップ・ソリューションに限定して使用することです。これにより、大量のメディアをダウンロードする際に生じる高価な出力コストを抑えることができます。しかしこれでは、クラウド・ワークフローの変革力を単なるストレージ・コンテナに減じてしまうことになります。

ここで1つ注意して欲しいのは、クラウドベースのメディア・ストレージ・ソリューションが、自社でローカル・ストレージを維持するよりも依然として高価であることです。ポストハウスは、日常的な編集作業がクラウドに移行する中で、ストレージのニーズを資本支出から運用支出に(1回払いを月額払いに移行するなど)転換することがキャッシュフローの制約に適しているか、見極める必要があります。

 

アップグレードをスピンアップ

クラウドベースのポストプロダクション・ワークフローを導入するもう1つの側面は、ローカルのハードウェアを、もっとパワフルなクラウド上の仮想マシンに置き換えることです。お客様のワークフローの必要に応じて、動的に構成、スピンアップ、展開することができます。

仮想デスクトップ・インターフェースの使用も劇的に増え、オンプレミスのネットワーク・ストレージへも安全にリモートアクセスできるようになりました。コロナ禍で、社内スタッフが自宅オフィスを設置した時、既存のストレージやファイルへのアクセスが必要になりました。このような接続では、自宅のシンクライアント・マシンで作業しながら、メディア・ストレージの性能やレンダリングに関する面倒な作業はすべて、オフィスに戻ってから行えるという利点があります。

 

マルチクラウドの難点

競合する機能を備えたクラウド・プロバイダーが数多く存在するため、ポストハウスは、複数のソリューションを組み合わせて、最適なソリューションを見つけることができます。クラウド・プロバイダーは、レンダリング機能が優れていたり、AIによるメタデータの抽出が優れていたり、出力コストが低かったりと、それぞれさまざまな特長を提供します。

課題は、複製コストと転送コストを削減しながら、異なるクラウド上にあるさまざまなメディア・ストレージの要件を管理することです。オンプレミスのネットワーク・ストレージ・ソリューションが簡潔に一元化されてないリモートのポストチームを効率的かつコスト効率よく運営ためには、コスト効率の高いメディア管理とプロジェクト・アセットの追跡が不可欠です。

 

「もっともっと」 を受け入れる:すべてが高度なワークフロー

コフリン氏が強調し、ポストプロダクション業界で無くなることがなさそうなもう1つの傾向は、より多くのピクセル、より多くのギガバイト、より多くのコーデックという、もっともっとの限りない前進です。

高解像度、高フレームレート、高ダイナミックレンジのビデオ・フォーマットにより、性能と容量の両面でストレージへの要求が全体的に高まっています。ポストハウスや部門によっては、例えば、HDから4K、さらにその先に対応するために、既存の集約型ハードウェアやインフラストラクチャの大規模なアップグレードが必要になるかもしれません。また、リモートのコントリビューターがローカルで使用するために配布できる複数の低容量、高性能のストレージ・ソリューションが必要になる場合もあります。

 

クラウドバースト拡張

クラウドの柔軟性がもたらすメリットの1つは、オンプレミスのストレージが満杯になった時に、ストレージのニーズを素早く拡張できることです。アセットの一部をクラウドに移動してローカルの容量を解放する方法を、一般的にクラウドバーストと呼びます。この緊急対策は、状況に応じて簡単に拡張できるため、ローカルストレージを過剰に用意してアイドリング状態にしてしまうことを回避することができます。

クラウドバーストは、ストレージのニーズが比較的動的な場合には、ローカルストレージを大量に購入するよりも事業コストを削減できるかもしれません。短縮された納期に間に合わせるために、より多くの制作アーティストがリモートで接続して、素早く参加しなくてはならない場合、この機能が役立ちます。

高性能なビデオファイルに取り組む方法や、ネットワーク・ストレージ上にあるそれらのファイルへリモートでアクセスする方法を決める場合、低遅延の予測可能な接続と中断のないビデオデータのストリームが不可欠です。低品質のオンライン接続でビデオ通話をするだけならまだしも、遅延やコマ落ちに悩まされながらの制作作業は、ストレスが溜まります。これらの要件から、ポストプロダクションのメディア・ストレージは独自のものになります。

場所を問わない働き方のこれから

今後、ポストプロダクション業界の傾向が加速する中で、ポスト事業においても長期的なリモート・ファーストの戦略が実施されていくでしょう。今すぐ計画することで、クラウド・ソリューションがもたらす軽快な運用性によるメリットを享受し、安全で生産性の高い接続によって既存のオンプレミスのネットワーク・ストレージへのアクセスを維持しながら、制約を受けずに重要な創作作業を継続することができます。

メディア・エンタープライズのクラウド導入

どのようなワークフローがクラウドに移行できますか?また、その方法は?




Making the Media S2E03:Safe and Sound(クラウドでメディアの安全性を確保)

メディアの世界でクラウドはリモート・ワークをサポートして、分散するチームを繋ぎ、新たな可能性を生み出します。しかし、セキュリティが制作の主要な検討事項となった今、コンテンツの安全性を確保するためには、どのような戦略がベストなのでしょうか?

クラウドの安全性に関する神話に偽りがあることを証明しつつ、オンプレミスの安全性が常に最善の選択肢であるという前提にも疑問を投げかけます。

今回の概要:

  • クラウドでメディア・ワークフローを展開する際の検討課題
  • 安全性に関して、クラウド事業者とお客さまの間で責任を共有することの重要性
  • セキュリティ侵害を受けた時に考えるべき方策

 

ゲスト

ジョエル・スロッス(Joel Sloss)氏 – クラウド・プラットフォーム Microsoft Azure シニアプログラムマネージャー

過去25年にわたり、ジョエル(Joel)は企業のITおよびセキュリティの最前線にいます。Windows NT Magazineでテクニカル・エディターを務めた後、1997年Microsoftに入社しました。Windows NT Magazineでは、100以上の記事や製品レビューを執筆、数冊の書籍に寄稿して、多くのハードウェアやソフトウェア・ベンダーを悩ませました。Microsoftでは、事務職からISA Server、モバイル・サービスの製品ラインの管理を経て、最近ではAzureエンジニアリング・チームのセキュリティおよびコンプライアンス戦略を統括しています。また、この間、データ保護、ネットワーク・セキュリティ、安全な管理、アーキテクチャの基礎、ポリシーおよびプロセスなどに関する数多くのホワイトペーパーを執筆しています。現在は、デジタル・メディア&エンターテインメント業界、同業界のコンプライアンス目標(セキュリティ認証など)、パブリック・クラウドにおけるプライバシーのニーズ等に重点的に取り組んでいます。2016年からCDSAの理事を務め、『Bobbleheads: The Movie』(2020年、ユニバーサル・ピクチャーズ)の [クラウド] テクニカル・アドバイザーを務めました。また、業界カンファレンスの人気登壇者です。

想定される侵害、侵入テスト、定期的なログ作成、脅威の検知などの戦略は、継続的なセキュリティ戦略において、最良の味方になります。 – ジョエル・スロッス(Joel Sloss)、Microsoft Azure

エピソードの記録

(ポッドキャストの文字起こし)

 

クレイグ・ウィルソン(以下「CW」という):こんにちは。「Making the Media podcast」へようこそ。クレイグ・ウィルソン(Craig Wilson)です。お聴きいただきありがとうございます。

メディア関係者であれば、外界をシャッタアウトしていない限り、クラウド利用への関心が驚くほど高まっていることに気付かれているでしょう。ネット配信、アーカイブ、Avid | Edit On Demandなどの編集およびストレージの本格ソリューション、リモート・ワーク、災害復旧や事業継続など、オンプレミスからクラウドへのワークフローの移行は、業界で常に話題となっています。1つはっきりしていることは、ワークフローを実現するものとして、クラウドは変革をもたらす可能性がある一方で、セキュリティが変わらず最優先事項であるということです。自社施設内のワークフローでもそうですが、クラウドを検討する場合、論争はさらに大きくなります。

これらの問題に取り組むにあたり、世界最大のクラウド・プラットフォームMicrosoft Azureのシニア・プログラム・マネージャを務めるジョエル・スロッス氏に話を聞きました。スロッス氏は、25年以上にわたり、企業のITおよびセキュリティ分野で活躍してきました。今は、デジタル・メディア&エンターテインメント業界、同業界のコンプライアンス目標、パブリック・クラウドにおけるプライバシーのニーズに重点的に取り組んでいます。クラウドの導入に興味を持つお客さまが、セキュリティに関して最も懸念することは何ですか?という質問から始めました。

ジョエル・スロッス氏(以下「JS氏」という):人々の懸念には、幾つかのベクトルがあると言えるでしょう。1つは、コンテンツがクラウドにある時、およびクラウドにあるコンテンツで作業している時の保護についてです。もう1つは、コンテンツの入手方法という少しメカニカルな問題です。単なるデイリーなのか、制作スタッフへのライブ・ストリーミングなのか。または、クラウドへ保存したコンテンツの扱い方などです。それは、大きな悩みの種になりがちです。

ここではセキュリティの話をしているので、当然ながら、編集されるデータはどうなるのか?制作前の漏洩は、最もダメージが大きなものの1つなので、環境のロックダウン、アクセス制御、暗号化など力を入れる必要があるのです。

 

クレイグ・ウィルソン:明らかに、人々には、数々の懸念があります。では、そのような不安を払しょくするために、どのように協業に取り組んでいますか?Microsoftがお客様に「確かに課題はあります。しかし、やりたいことはすべて実現可能です」と言えるまでに、どのような段階を踏むのでしょうか。

 

JS氏:おそらく、最初に言われるのは、「信頼できるか?」です。人々は、信頼を一番に考える傾向があります。コンテンツがAvid NEXISのようなローカル・ストレージアレイに保存されているか否かにかかわらず、四方の壁に囲まれていれば、不正アクセスや盗難、破損を防ぐことができると感じて、安心します。

しかし、クラウドへ移行すると、突然、スタジオや制作会社が制御できない環境に置かれることになります。そこで、Azureでは、プラットフォームで信頼を構築するところから始めます。クラウド展開について人々がどのように感じるかだけでなく、セキュリティ要件が満たされていることを示すために目に見えるもの、具体的なものを示すことで、信頼が生まれます。そして、その上にAzure Defenderや暗号化などのセキュリティ・サービスを重ねるというAzure自体の基本的な構築方法で実行します。Azure上のAvid NEXISのようなソフトウェア・ストレージ・ソリューションでも、その管理方法、アクセス方法、保護レベル、Appleかどうか、ID管理、基本的な暗号化などを可視化します。

次に、ガイダンスを提示します。エンド・ツー・エンドでコンテンツを保護するために使用できる自動化とツールを紹介します。VPNやExpress Route Linkを利用して、設定してツールを展開できる隔離されたサブスクリプション環境へコンテンツを転送する時に、コンテンツを保護する方法を説明することができます。それによって、スタジオ環境やプロダクション、または個人のアーティストでも、ユーザーは、データの使用や隔離、保護の状況について、常にエンド・ツー・エンドで可視化することができます。

 

CW:いくつか興味深い点をあげていただきましたので、少し掘り下げてみたいと思います。1つ目は、仰るように、これが共有責任であることは明らかです。これは、顧客が責任を持つべきことであり、当然ながら、クラウド事業者にも責任があります。

では、境界線はどこにあるのでしょう?実際、境界線がどこにあるのかを明確にする必要があると思うのです。

 

JS氏:責任の共有は、顧客にとって理解しがたいことの1つでしょう。まず、映画制作の原点に立ち返ってみましょう。オフィスには、カメラ、メモリーカード、ストレージ・アレイがあります。自分の腕で抱えることができれば、責任と説明責任を容易に実感でき、コンテンツを渡す相手もわかります。

他所の施設にデータを送る場合、「Azureですか。すべての認証を取得した?素晴らしい。何もする必要ないね」といった混乱が生じます。しかし、実際にはそうではありません。

責任分担とは、ローカルのデータや環境を保護するのと同様のことを、クラウドでも行う必要があるということです。サブスクリプションやテナント契約には、データセンターの物理的なセキュリティから、個々のサーバーやストレージ・アレイのデータ処理メカニズムに至るまで、間違いなく様々なものが組み込まれています。つまり、その部分の責任は私たちの側にあるので、お客様は心配する必要はありません。しかし、お客様のプライベートなストレージに関しては、自社のITと同等の保護が必要です。コントロールを設定する必要があります。暗号化に対応する必要があります。誰が、いつ、どのように、どこで何をしているか分かるようモニタリングやログ作成、アラートに取り組まなければなりません。それは、複雑ゆえに忘れられがちです。

小規模な制作会社では多くの場合、そのような専門知識を持つ人がいません。なので、この分岐点を理解することが、本当に本当に重要です。これは、設定するだけで、あとの操作は一切不要という種類のものではないのです。

 

CW:そうですね。もう1つ気になるのは、今おっしゃっていたことですが、私も多くのお客さまと話をしてきました。彼らも、お話しにあったようなことを懸念しています。オンプレミスであれば、おっしゃるとおり、自分の腕の中である程度コントロールできると感じられるものがあります。しかし現実では、誰かがUSBメモリを持ってサーバールームに入り、マシンに差し込んでメディアを書き出し、出ていくということが可能です。また、コロナ禍では、スニーカーネットを使って、ドライブやものを移動するということも行われています。

同意されるかどうかわかりませんが、オンプレミス環境での安全性については、ある程度、誤った認識が持たれているように思います。また、クラウドで起こりうることを過剰に心配しているようです。クラウド事業者が基本中の基本であるセキュリティを確保できなければ、ビジネスとして成り立たないでしょう。そのあたりについては、どうお考えですか?

 

JS氏:確かに、対立する視点や考え方がたくさんあります。WindowとLinuxの間のどちらがより安全か、どのくらいコードをコントロールできるかという昔あった争いに若干似ています。Linuxはオープンソースで好きなようにできるから、より多くの人がセキュリティに取り組むと考える人もいました。確かに、当時は、まったくの見当違いでした。つまり、物理的資産であろうとデータであろうと、その資産を物理的に所有する場合には、保護することが前提となるのです。今回のコロナ禍では、マシンやカメラ、カード、ドライブを物理的制御したことで、どちらかというと、人々を数年後退させたようです。業界は、ドライブの暗号化と同じくらいシンプルに、セキュリティのメカニズムを強化することを受け入れつつあったと思います。

しかし、おっしゃるように、今は誰もが自宅で仕事をしていて、スタジオの安全なストレージに格納せずに、同僚宅まで車を走らせ、OneDriveから出したものを渡すというスタイルに戻ろうとしています。今私たちは、そのアーキテクチャを念頭に置いて、セキュリティがどのような役割を果たすかを理解し、配慮を高めたやり方でこれを推進しなくてはなりません。

物理的デバイスに物を置くという考え方は、クラウドには当てはまりません。物理的デバイスは安全であるという前提が、そもそも正しくないのです。おっしゃるように、誰かがドライブを持ち出すことができます。LaCieのスタックを丸ごと手に入れたり、空港でノートパソコンを掴んで、プロジェクトを丸々手に入れたりできるのです。しかし、セキュア・エンタープライズの考え方で安全なストレージを使うことで、コントロールを取り戻すことができます。

 

CW:それは、脅威の軽減や排除に関する話ですか?それは、常に進化する分野のように思います。

 

JS氏:誰かがドライブをもって立ち去る脅威があることは理解されているので、間違いなく防御と軽減から始めます。しかし、防御できることは限られています。ドアには鍵があります。しかし、ドアを開けた瞬間、誰かが入ってきたとしたら。物理的にドアには鍵がかかっておらず、誰かが入ってきて持ち去ることができます。

同様のものがクラウドにも存在します。「クラウドは信頼できるもの?誰かのストレージ環境にいれても安全?」という先ほどの質問に戻ると、防御は、軽減策を含む戦略の一部になります。おそらく、見過ごされて、却下されるものですが、それが、想定する侵害です。なぜなら、自分のIT環境であっても、誰も聞いていないという保障はないからです。ランサムウェアの攻撃や侵入、そして、意図的か偶発的かに関わらず、企業内の信頼できる個人からのコンテンツの流出などをみれば良く分かります。

これらのコンセプトの1つを単独で取り上げて、それが本当に必要なものを与えてくれると考えることはできません。多層防御は、防御の削減であり、脅威の特定です。そして、侵害を理解することから防御、軽減、対処、回復へと導くライフ・サイクル全体を規定します。そして、後半の段階で事業を守ります。

近頃は、大規模なランサムウェア攻撃が発生しています。攻撃を受けたら、それでゲームオーバーだと思うでしょう。しかし、事前に適切な戦略を立て、検知した場合、何かが発生した時に作動するポリシーやシステムがあれば、システムや仕組みが、侵害発生の前に実行されます。バックアップはありますか?銀行や電気会社と同じことが、メディア環境にも当てはまります。毎日バックアップを取り、バックアップをテストして、クラウドであれ物理的な施設であれ、社外のストレージに送られるデータが適正であることを認識していれば、たとえ被害を受けたとしても、失うのはせいぜい一日分の作業です。日中に複数回、増分バックアップを実行していれば、12時間前、24時間前に記録されたイメージやデータに戻るだけです。つまり、軽減戦略から次の復旧戦略へ移るのです。

ご存じのように、「被害範囲を最小限に抑える」とは、すぐに復旧できるようにすることです。仕事の多くを失ってはいません。ランサムウェアのようなものには、確実に有効です。しかし、データ盗難への対応は、明らかにもう少し困難です。持続的な脅威があり、誰かがゆっくり全てのコンテンツを漏洩していて、それに気付かないような場合には、想定侵害、侵入テスト、定期的なログ作成、脅威検出などの戦略が、継続的なセキュリティ戦略における最善の武器になります。

 

CW:信頼は非常に重要な要素です。それについては、実際、ポッドキャストでもさまざま」な方々と話してきました。1つお聞きしたいのは、メディア向けのクラウド・セキュリティは、他の業界向けのクラウド・セキュリティと何か違いがあるのか、それとも本質的に同じなのかということです。

 

JS氏:誰もが自分は特別な存在で、「自分のコンテンツは他の誰のものより重要だ。もっとお金がかかってる」と思っています。確かにM&E業界では、何十億というお金がかかっています。数年前に、大ヒット映画の公開では、制作前のリーク、特に内容全体のリークは、600~700億円の興行収入につながる可能性があるという研究論文があったのを覚えています。ストリーミングが存在する今、それがどこまで正しいかわかりませんが。劇場公開について、私は市場分析の専門家ではありませんが、ある業界は他の業界よりも貴重なデータを持っている、あるいは保護が行き届いているという前提があると思います。

M&E業界が抱える課題は、成熟度であると考えます。政府や金融、医療といった分野では、人命にかかわるため、最先端のセキュリティ、戦略、イノベーションが不可欠です。M&Eでは、もう少し長期的に考えます。特に企業レベルでは、技術の導入に時間がかかります。それから急ピッチで制作を進めて、半年後に戻すというようなことも。さらに、環境が安定しないため、安全性の維持はより複雑になります。

つまり、答えは「はい」。M&Eには他の業界にはない課題があると言えるでしょう。しかし、自身を守る方法は同じです。どんなデータを扱っているかは関係ありません。メディアは、他の業界のやり方から多くを学ぶことができ、自動化を使用して、編集や視覚効果、またはもっと一般的なポストプロダクションのプロセスなど、使用するワークフローの種類に合わせて調整することができます。セキュリティは、「自分は他の誰よりも特別だ」という全体的な見方ではなく、データとその重要性をどのように理解し、保護するために何をするかによって決まります。

 

CW:例えば、多国籍企業と連携する場合、グローバルに展開し、クラウドがそのような組織にもたらすメリットを活用したいと考える大規模な組織では、さまざまなデータセンターのどこにマテリアルがあり、どのように共有されているのか、懸念されることが多くないですか?そういう時は、どのように対処しますか?

 

JS氏:今は、10年前にはもちろん、5年前にもなかったような興味深い方法でデータを扱っています。制作会社はカメラデータだけを扱うわけではないため、国際的な個人情報保護基準が何らかの障壁をもたらします。中小企業でも大企業でも、人事関連資料や請求書、日々の業務データなど、あらゆるものを所持しています。スタッフや人材の個人を特定できる情報(PII)を扱う場合、そして国外にいる場合、そのデータには居住要件が発生します。個人情報保護の要件が発生します。もし個人を特定できるようなものがあれば、それは国内にとどめなくてはなりません。そこに、使用できるデータセンターがありますか?多くの場合、特にAzureでは、適切な場所すべてにデータセンターを配置しています。しかし、コンテンツを世界のどこかに転送すると、そこではネットワークに上げることすら許されず、また常駐場所からコードが盗まれるかもしれません。

 

CW:ここ数年、Avidの中で、クラウドの利用を検討する人が爆発的に増えていると感じています。在宅勤務や分散するチームなど、理由はさまざまです。Microsoftの側からみて、この一年半くらいに、このようなクラウド環境に参入しようとする人々について、個人的にどのように思われますか。クラウドへの関心は爆発的に高まっていますか?

 

JS氏:追いつけないくらいの勢いがあります。Teamsを例にとると、皆が自宅にこもり始めると、すぐに必要な要件や容量が爆発的に増えて、少し時間がかかってしまいました。M&Eでは、企業環境としてすでにインフラと機能を備えていることが多いため、他の業界よりも対処に少し長くかかるかもしれません。単に規模が不足していただけです。出先から仕事する、病気なら自宅からアクセスするなどしていましたが、みんなが同時にアクセスして、実行しようとしていたわけではないからです。

メディアには、そのためのインフラがありませんでした。そこで、物理的な施設にアクセスする方法をあれこれ考えました。編集設備・インフラがスタジオにある場合、現在、そこに行って使うことはできません。では、データを取得するために、自宅から会社やスタジオ環境にVPNを設定するにはどうすればよいでしょう?自宅のローカル・ワークステーションにMedia Composerをインストールしたけれども、すべてのものが制作オフィスのAvid NEXISにある場合、どうやったら転送を始められるのでしょう?

当初、人々はあまりクラウドについて考えず、「大変だ、どうやって仕事を続けよう?」という感じでした。その後、事態が落ち着いてくると、「使えそうなツールが他にもある」と人々は学び始めました。すると、面白いようにクラウドは、「そこに自分のものを置いておけるのか?信頼できるのか?仕事をするにはそれしか方法がないのだから、信頼するしかない」から、「どうすれば、効率的かつ生産的に行えるのか?誰でもアクセスできる?」に変わりました。そして、「クラウドで実際に制作が行えるのか?色深度やデータの整合性、忠実性など維持できる?自分のワークステーションの経験は、十分なのだろうか?」と言う話にシフトしていきました。ビデオ通話と同様、スタジオの物理的なワークステーションだけでなく、クラウドでホストされている仮想ワークステーションへのリモート・デスクトップも可能にする必要性から、この機能の使用はほぼ一夜にして爆発的に増加しました。そして、人々がそんなことを考えもしなかったところから、今では、世界中に人々が分散するため、共有できるコンピューターのパワーとストレージへアクセスすることが生命線になるところまできました。

ここ2年ほど、Threshold Entertainmentというスタジオと『Bobbleheads: The Movie』という映画プロジェクトに取り組みました。プロジェクトは、本当にグローバルな協業でした。アーティストはネパールにいて、スタジオはLAにあります。Azureデータセンターを介してデータを共有しました。Azureでレンダリングしたら、メールや民生の共有を使ってドライブなどを送ろうとせずに、Azureストレージ内で編集ファイルを共有してやりとりしました。既にある技術を使い、以前は存在しなかった、あるいは人々が考えもしなかったようなリモート・アーティストに機能を提供するよう応用するだけでした。そこで、興味と理解が突然変化したのかという質問ですが、答えは「もちろん」です。以前からあった動きが、超高速回転し始めました。

 

CW:考えるべきこと、検討すべきことは間違いなくたくさんあります。では、ポッドキャストで皆さんに聞いている質問をお聞きします。状況を見た時に、夜も眠れなくなるようなことがあるとしたら、どんなことですか?

人々を説得することでしょうか。水場に馬を連れていくことはできても、水を飲ませることはできない。ツールやガイダンス、プラットフォームを提供し、やり方を丁寧に教えることはできます。しかしそれを維持すること。それが一番難しい部分です。

アドバイザーである私たちにとっても難しいので、ベンダーやパートナー、あるいはアーティストである皆さんにとっては間違いなく大変なことだと思います。繰り返し耳にするのは、「制作予算が厳しい?最初に削られるものは?セキュリティ」です。複雑であるがゆえに、セキュリティは理解してもらえません。皆がセキュリティを考えず、真剣に取り組まなければ、どんなにパワフルなパスワードを設定しようとも、脆弱な部分から全てが崩壊してしまいます。ユーザーに任せられない場合(ユーザーが信頼できないというつもりはありませんが)には、それを代行してくれるツールを活用する必要があります。パスワードを覚えられず、付箋に書いている人がいたら、そのパスワードは削除します。多要素認証を導入して、iPhoneの指紋認証で、ログインできるようにします。そのような、テクノロジーが可能にしてくれることが、新しいリモート制作の世界では、心強い味方になります。

 

CW:参加してくれたジョエルに感謝します。いかがだったでしょうか?感想をお聞かせください。私のTwitterとInstagramアカウントは、ユーザー名@CraigAW196です。または、メールでMakingthemedia@avid.comへまで、お寄せください。

フランス・テレヴィジオン(France TV)がAvid | Edit On Demandを使ってワークフローの一部をクラウドに移行した方法、オンプレミスとクラウドの導入バランスを検討する際に考慮すべき点についての詳細は、ショーノートをご覧ください。

今回のポッドキャストはこれで終わりです。プロデューサーのマット・ディッグス(Matt Diggs)、ソーシャル・プロデューサのウィム・ヴァン デン ブロイーク(Wim Van den Broeck)、そして何より時間を割いてお聴きいただいた皆さまに感謝します。今回の内容が気に入ったら、感想を投稿したり、ポッドキャストをネットワークで共有したりしてください。クレイグ・ウィルソンでした。次回のMaking the Mediaをお楽しみに!

メディア・エンタープライズのクラウド導入

どのようなワークフローがクラウドに移行できますか?また、その方法は?




ユーザーレポート:仙台放送 – Avid | Edit On Demandは ゲームチェンジャーとなるか?

翌日には使用開始

 

毎年沖縄県久米島で行われてきた東北楽天ゴールデンイーグルスの春季キャンプは、新型コロナウイルス感染拡大 の影響により、2021年より沖縄県の金武町に場所を移しています。宮城県仙台市の株式会社仙台放送にとって、この春季キャンプの取材は毎年の重要な仕事の一つです。

 

「これまでは、キャンプ取材用に機材一式をレンタルしていました。外付けHDDに保存した撮影素材をPCにインストールされたMedia Composerで編集した後、伝送システムを使って本社に伝送していました。しかし、今回希望していたマシンが借りられず、また物理的な輸送にはコストもかかります」(株式会社仙台放送 技術局 映像制作部 西崎 光一 氏・以下同)

 

そこで西崎氏はEdit On Demandのことを思い出しました。Avid | Edit On Demandはクラウド向けに最適化されたMedia ComposerソフトウェアとAvid NEXISストレージを備えたSaaSパッケージであり、希望するMedia Composerの台数とAvid NEXISの容量を決めるだけで、月額のサブスクリプションでクラウド環境を使うことができます。Avidでは、2021年5月から2週間の無償トライアルの受け付けを開始していました。

 

「Edit On Demandは以前から知っていて、一度使ってみたかったのです。例えば番組で編集システムを一時的に増やしたいということはよくあり、そのような状況ではEdit On Demandはとてもいいシステムだと思っていました。そこに今回のキャンプ取材とEdit On Demandのトライアルがあり、いい機会なので試してみたいと思いました」

 

販売代理店である伊藤忠ケーブルシステム株式会社に相談し、トライアル使用の申し込みをしたのは2022年1月31日。翌2月1日にはEdit On DemandのアクセスURLが届き、すぐに使用を開始することができました。

 

PCとU2さえあれば何も要らない

沖縄・キャンプ地の共同の仮設編集室

沖縄で取材をした映像素材は、Edit On Demandに含まれるアップロードツール・FileCatalystを使ってクラウド上に転送します。

 

「いわゆるFTPツールのような簡単さで、Webブラウザーに表示されるローカルの素材を選んで『Upload』ボタンを押すだけです。『こんなに簡単でいいのか』と思いました」

 

その転送速度も目をみはるものでした。

 

「これまでは他社製の転送ツールを使っていたのですが、それと比べても非常に高速です。さらに、ファイルを大量に転送する場合でも、1つのファイルが転送されたらすぐにMedia Composerで取り込みを開始でき、その間も別のファイルを転送し続けられるので、アップロード時間はまったく気になりませんでした」

 

アップロードされた素材をもとに、 そのままクラウド上のMedia Composerで編集を開始します。

 

「そのために持っていったのは、5-6万円の小さなノートPCだけです。最初は編集担当スタッフにも『これで編集できるの?』と不安がられましたし、私も経験がなかったので、パフォーマンスが足りなかったときのことも考えてレンタルした機材も一緒に持っていきました」

実際の編集に使用した機材

しかし、その心配は必要ありませんでした。

 

「現場で編集した担当スタッフは『いつもの編集機と変わらず、編集中の違和感はまったくない』と言っていました。結局、『明日もあさってもこれを使いたい』とのリクエストで、2月7日から11日までのメインのOA素材はすべてこれで編集しました。PCと(XDCAMドライブの)U2さえあれば、他には何も要らないのです」

(入り口を挟んで右)他局の持ち込み機材(左)仙台放送の機材

編集が完了したら、クラウド上のAvid NEXISストレージに完パケをエクスポートし、仙台側でそれをダウンロードします。

 

「本来ならここで伝送なのですが、ファイルはすでにクラウド上にあるのでその必要はありません。今回のトライアルではクラウド上にMedia Composerを2台置いたのですが、そのもう一台の方を仙台で開いて『あぁ、ここまで出来たんだな』と確かめたりもしていました」

 

 

本当にとてもいいシステムでした

 

このトライアルの経験は、さまざま な人にインパクトを残したようです。

 

「興味深かったようで、社内でもいろいろな人が来て見ていきました。若手のスタッフたちは完パケのダウンロードを積極的にやっていました。面白かったんだと思います」

 

もちろんそれは、西崎氏にとっても同じです

 

「仕事のやり方を変えられる、素晴らしいシステムだと思いました。例えば特番や単発について、オペレーションをお願いする人が社内にいないことがあります。ロケが東京と仙台で、編集が仙台、などという場合、これはとても有効だと思います。物理的な設置が必要ないので工事コストも工事期間も必要なく、必要なときだけ使って、終わったら契約を止めればいい。固定資産にならず運用費でカバーできるので、費用管理的にも楽です。個人的には、固定で必要な数台だけを会社に残して、あとはすべてこれにしたいくらいです」

 

より大きなビジョンとしてのDX化への取り掛かりとしても、積極的に活用できそうです。

 

「例えば系列がこのようなシステムを持っていてくれたら、素材をクラウドに送り込み、あとは自由に編集してもらえばいい。今回のように実際に使うのがキャンプ期間だけなら、その期間だけクライアントやストレージのサイズを増減すればいいのです」

 

トライアルを終了したあとの感想として、西崎氏はこのように付け加えました 。

 

「本当にとてもいいシステムでした。未来を体感できたような気がします」

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編集ポストチームでAI(人工知能)を活用する5つの方法

ビデオ・ポストプロダクションでは、AIアプリケーションを応用して、自動文字起こしやメタデータ入力、時間がかかるカラー・コレクション(色補正)やVFX処理などを高速化しています。

しかし、映画やテレビでは、行き過ぎたAIの計算を懸念する傾向があります。通常、そのような懸念は、スタジオが業績予測アルゴリズムを使って、映画やテレビシリーズの制作を決めるというニュースに対する反応が多いです。

少なくとも映画やテレビのポストプロダクションに関して、そのような心配は無用です。最も重要なポストプロダクションのクリエイティブなプロセスが、AIに取って代わられる危険はありません。AIは、数ある選択肢の中から最適なテイクを選ぶことはできません。シーンをポーズする絶妙のタイミングや、カットしてコメディ効果を作るタイミングも把握できないですし、型破りな選択でシーンを盛り上げることもありません。

ポスト・ワークフローにAIを取り入れる5つの方法

AIアプリケーションは、ビデオ・ポストプロダクション・チームを解放することができます。それによってチームは、テレビや映画制作において極めて重要なクリエイティブな作業に集中することができるのです。ポスト・ワークフローに組み入れることで、クリエイターのクリエイティブな制作をサポートするAIアプリケーションを5つ紹介します。

 

1. メディア管理

AIを使えば、DITやAEは、メタデータの入力に長時間費やす必要がなくなります。顔認識ソフトは、シーン内の人物を自動的に検出し、その情報からメタデータを作成することができます。堅固なAIソリューションでは、映像の中のセリフと台本のセリフを同期して、各クリップのメタデータに情報を入れこむことも可能です。

 

さらに、音声検索や映像の自動転写機能を備えたAIアプリケーションを導入すれば、ドキュメンタリーなど映像の大部分に台本がない制作において、膨大な時間と労力を削減することができます。日々、脚本から若干外れた特定のクリップやテイクの検索に時間を費やすことも面倒なメタデータの入力も必要なく、映像を簡単に検索することができます。

 

2. VFX

ピーター・ジャクソン監督の『ロード・オブ・ザ・リング』三部作の時代から、AIは、コンピューター生成された大群衆の中で、動作を個別にシミュレーションするツールとして使われてきました。現在、AIのVFXへの応用はほぼ無限に広がり、膨大な計算パワーも必要としません。

 

ロトスコープを全てAIに任せたら、エディターやVFXアーティストがどれだけの時間を節約できるか想像してみてください。あるいは、2Dスケッチから3Dモデルを自動的に生成でるとしたら、どうでしょう。

 

そのようなアプリケーションは既に存在し、現在多く使用されています。コンピューターに学習させて、人間をオブジェクトとして選択し、フレームから外したり、環境を変えたりすることができるようになり、ブルーバックの使用は減っています。カメラで撮影した動作を使ってオンセットのCGIレンダリングを生成する方法が効率化されれば、面倒なモーションキャプチャー・スーツは、すぐに過去のものとなるでしょう。

 

また、顔を自動的に置き換える技術がさらに進歩すれば、コストがかかり、俳優には不快で、時間がかかる装具が必要になるケースも最終的には無くなるでしょう。

 

3. 音響

映画のサウンド・デザイン構築には、オプションが重要になります。例えば、映画に残したい音があっても、何かしっくりこない場合、優れた音響アーティストは、選択肢を提示したいと考えます。AIアプリケーションは、与えられたライブラリの中から似た音を探したり、独自に似た音を生成したりできます。

 

同様に、作曲家もこのようなツールを使うことで、可能性のある音を幅広く集めて楽譜に組み込み、創造力に富んだ音風景を作り出すことができます。エディターは、AIが生成した楽譜を使って、制作作業を進めることができます。静的に蓄えられた音楽の代わりに、AI生成の楽譜は、編集者の作業に合わせて動的に変化します。

 

また、より日常的な問題解決には、現在のAIツールは、オーディオ・トラックから風の音を除去して、映画音響の黎明期から制作を悩ませてきた問題を解決します。

 

これらのプログラムは、ハンス・ジマーのように高品質の音楽を自然に生み出すことや、映画の音風景を全て作り出すことはできません。ただし、何十年にもわたり音響デザイナーが抱えていた問題を解決し、最終的には、制作的な問題解決よりも創作に集中できる余裕をもたらします。

 

4. カラー・コレクション(色補正)

AIの導入によって、カラリストが失業することはないでしょう。しかし、この技術によって、カラリストは、キー・ビジュアルを正確に表現することにより多くの時間を費やせるようになります。AIプログラムは、キーとなるイメージやショットに他のシーンを自動的に合わせることができ、カラリストが自分で行うよりもはるかに速く、例えば30分かかるものが数秒で行えます。

 

このような自動化により、映画全体のグレーディングにかかる時間が、数週間からほんの数日に短縮できる可能性があります。現在、市場に出ているものは完璧ではないものの、数年前と比べると飛躍的に進歩していて、どんなエラーも仕上げの段階で簡単に解消できます。

 

5. 品質保証

AIは、人の手によるクリーンアップ作業の時間を短縮する方法を提供します。適切な技術によって、ショット内のブームの一部であっても、不要なピクセルを処理することができます。ブームを消去できるソリューションを使って、ディレクターやエディターは、ブームが映っていても最適なテイクを選ぶことができます。

 

古い映像や低解像度の映像の高画質化もAIで対処できるため、古い映画の商業利用が可能になります。将来的には、既存のフレームから新しいフレームを生成して、映画のフレームレートを上げることも可能になるかもしれません。

 

 

AIを活用する

AIの用途は、あくまでも特定のツールを制作プロセスに適用することです。AIは創造的判断ができないので、判断には常に人間の知性が欠かせません。AIを活用してワークフローの効率化を図り、意思決定のための精神的余力を生み出すことで、ポストプロダクション・チームは、余裕を手に入れて最高の作品を作り出すことができます。

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クラウドでメディアの安全性を確保する方法

メディアおよび放送業界は、クラウドに移行しているものの、セキュリティについては疑問が残っています。

 

次のMaking the Media Podcastでは、ホストのクレイグ・ウィルソン(Craig Wilson)が、Microsoft Azureシニアプログラム・マネージャーのジョエル・スロッス(Joel Sloss)氏と、クラウドでのメディア制作に展開すべき適切な戦略について話します。

 

ポッドキャストではスロッス氏が、プロデューサーや放送局が自社のビジネスを守るために、どのようにすれば適切なセキュリティ戦略にできるかについて概説します。それは、多面的なアプローチであり、「だから、これらのコンセプトからひとつだけ取り上げて、それが本当に必要なものを与えてくれるものと考えることはできないのです。多層防御は、防御を減らします。脅威を特定します。。。つまり、多層防御には、侵害の理解から防御、緩和、対処、回復までのライフサイクル全体が含まれます。そして、ビジネスを守るのは、後半の段階です。」

 

スロッス氏は、クラウドのセキュリティは、クラウド提供者と顧客の間で共有される責任であると、詳しく説明します。事業継続計画は不可欠であり、「緩和戦略は、次の回復戦略へと繋がります。ご存じのように、『Blast Radius(障害による被害)を最小限に抑える』ことによって、素早く復旧して稼働できるようになります。多くの作業を失うことはなく、ランサムウェアなどには、確かに有効です。しかし、データの盗難については、明らかに対処がやや困難です。というのも、脅威が続き、誰かがすべてのコンテンツを徐々に外部に漏らしても、それが起こっていることに気付かないからです。そこでは、想定できる侵害、侵入テスト、通常のログ作成、脅威検出などの戦略が、継続的なセキュリティ戦略において最高の味方となります。」

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編集の可能性を拡張し、共同作業ワークフローをクラウド化する

エディターの生活は、編集室で発揮する創造性がすべてではありません。仕事を離れた時間や家族と過ごす時間、そしてオンとオフのバランスも重要です。従来は、エディターがマシンやメディアに簡単にアクセスできるオフィスで仕事をするのが当たり前でした。しかし今は、必要不可欠なツールへのアクセスを失うことなく、オフィス以外の場所で仕事をする方法があります。それが、業界最先端のワークフローと制作コントロールを提供するAvid | Edit On Demandです。

コロナ禍でのソーシャルディスタンスという取り組みにより、同じ編集室で一緒に仕事をするという従来の共同作業環は破壊され、ほぼ不可能になりました。制作チームの分散化が進み、エディターが編集場所と同じ都市や同じ国内にいない場合もあります。結果として、この問題に対処するリモートワーク・ソリューションの必要性と需要が高まっています。

 

仕事との関わり方にも変化がありました。週に何時間もかけて通勤する必要はないでしょう。自宅から楽々と編集作業ができるのに、わざわざ時間とお金をかけて毎日通勤する必要はありますか?

しかし、リモートワークでは、仕事のペースが落ちませんか?共同作業が制限された状況で、関係者全員が仕事の進捗状況を確認できなければならないという課題を、常に抱えながら作業するということになりませんか?また、自分が行った作業をメンバーと簡単に共有することができなくなるのではないですか?

 

いいえ、Avid | Edit On Demandでは、そのようなことにはなりません。

 

プロジェクトの共有やビンのロックなど、Avidの見慣れたコラボレーション・ワークフローが、クラウド上にあるだけです。受賞歴を誇るMedia Composerと業界トップの高性能ストレージAvid NEXISが、デスクの下にあるマシンと隣のサーバールームにあるストレージを使って編集する時と同様のレスポンスを実現します。

複数のエディターが、離れた場所からでも同じ建物にいるかのように共同で作業することができます。オーバー・ザ・ショルダー・ワークフロー(プレビュー画面共有)により、プロジェクトが進行する中で、作業内容の共有や、メンバーからの重要なフィードバックの取得も簡単に行えます。

 

Avid | Edit On Demandで可能性を広げ、コラボレーション・ワークフローをクラウド化し、仕事ではなく生活を重視したワークライフ・バランスを実現しましょう。

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柔軟で安全、そして経済的に有利なクラウドへ編集作業を移行する

Avid | Edit On Demandが、エディターやアシスタントにもたらすメリットは明白です。自宅で作業。メディアへリモートアクセス。日常的な通勤がない。使い慣れたワーフクロ―。それでは、ビジネスの観点からはどうでしょう。編集やストレージ・ソリューションのクラウド化を進める理由はなんでしょう?

第1の理由は、単純にコストです。まとまった投資は常に難しい決断です。投資分は、コミッションや仕事の受注という形で回収されなければなりません。しかし、それは不規則かつ予測不可能であり、拡張が必要な場合には、新しい編集室の増築や、建物の移動などの必要からコストがかさみます。また、サーバールームや電力、冷却などのコストも考慮する必要があります。Avid | Edit On Demandでは、必要な時にだけ使用し、週単位、月単位で使用した分だけ支払います。

 

単純な経済的コストに加えて、Avid | Edit On Demandの支払い方法は、ビジネス上のメリットももたらします。サブスクリプション・サービスでは、一度に多額の設備投資をするのではなく、月々の支払いとなるため、プロジェクトの初期投資を抑えることができます。また、MyAvidアカウントのダッシュボードから、1日単位でコストを把握することも可能です。

もう1つの理由は、柔軟性です。プロジェクトが進捗し、納期が近づくにつれて、エディターの増員やストレージの増設が必要になる場合があります。オンプレミス型では、追加の機材を調達またはレンタルして、さらに、その配置場所を確保しなければなりません。Avid | Edit On Demandは、そのような必要性をすべて排除します。サブスクリプションを変更するだけで、数時間以内に新しい編集機や追加ストレージが用意されて、使用できるようになります。

何千ドルあるいは何百万ドルもの資金を投じる制作では、セキュリティが最重要課題になります。また、コロナ禍で多くの人が自宅で仕事をするようになり、世界中で素材を保存したドライブが移動するようになったことで、マテリアルの漏洩や紛失のリスクが高まりました。Avid | Edit On Demandは、ユーザー管理プロトコルに加えて、緻密なセキュリティ対策が組み込まれたMicrosoft Azureをホストとしているため、制作(およびクライアントの投資)の安全性を確信することができます。

 

経済的なメリット、柔軟性、安全性などを備えた、Avid | Edit On Demandには、ビジネス上において明確な価値があります。

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分散処理(Distributed Processing)とその仕組みについて

メディアのトランスコーディング、エクスポート、ミックスダウンなどは、ポスト作業中に膨大な時間を使いますが、納期が厳しいチームにはその余裕がありません。エディターやカラリストを含むポストのプロフェッショナルのクリエイティブな思考や流れを中断するこれらの要素は、時間のロスだけでなく、創造性の喪失にも繋がります。そこで登場するのが分散処理です。

 

分散処理とはどのようなもので、ポストプロダクションのワークフローをどのように変えることができるのでしょうか?

 

分散処理とは、基本的に複数のコンピューティングコアを同時に使用することです。これにより、1台のコンピューターで実行する場合よりも、レンダリングが劇的に高速化します。“これが世界を一変させる”と、アカデミー賞7部門受賞作品 『ゼロ・グラビティ』 のCGスーパーバイザー、クリス・ローレンス(Chris Lawrence)氏は言います。

 

「 『ゼロ・グラビティ』 をシングル・プロセッサ搭載のシングル・コアマシンでレンダリングして、2013年の映画公開に間に合わせるには、エジプト文明以前に開始しなければなりませんでした。」

インサイダー』 によると、2019年時点で、世界最大級のレンダリング・ファームを有するPixar社でさえ、超緻密な 『トイ・ストーリー4』 の1フレームをレンダリングするのに、60時間から160時間かかっています。

 

これらの大規模例は、分散処理の威力と、分散処理があらゆる規模のプロジェクトで作業するポストプロダクションのプロフェッショナルにとって、不可欠である理由を示しています。制作会社は、利用可能なすべてのコンピューティング・リソースを活用してワークフローを高速化し、クリエイティブなアーティストの限られた資産である “時間” を最大限に活用することができます。

 

しかし、これはどのように機能するのでしょう?また、大規模レンダリング・ファームがない場合でも、分散処理を利用するにはどうすればよいでしょう?

 

分散処理とは

分散処理(Distributed Processing)では、複雑な演算タスクをネットワーク上の個別マシン(またはノード)に分割します。それぞれのマシンが割り当てられたタスクを完了して送り返すと、1つのシームレスな出力にコンパイルされます。

 

クラウドで実行されるあらゆるものが、ネットワーク・サーバーを効率的に使用して特定のタスクを処理しているように、現代社会の大部分は分散処理に依存しています。他の例としては、ブロックチェーン・ファーム、大規模多人数同時参加型オンラインゲーム(MMO)、仮想現実コミュニティ、視覚効果やアニメーション映画のレンダリング・ファームなどがあげられます。

 

現在、ほとんどのポストプロダクション・ソフトウェアは、ローカルの共有ネットワークを介してマシンにアクセスするか、クラウドベースのレンダリング・システムにレンダリング・ジョブをアップロードして結果をダウンロードするなど、何らかの方法で分散処理を活用することができます。これらのプロセスを調整、変更、追跡、優先順位付けする機能は、施設やコンテンツ制作チームにさらに多くのメリットや制御を提供します。

 

分散処理の仕組みについて

特定のジョブを順次実行するのではなく、タスクをセグメントに分割してネットワーク上に分散し、並行して実行する分散処理では、処理時間を大幅に短縮することができます。

 

分散処理の基本要件:

  • 個々の作業者やノードのネットワーク
  • それぞれが同じ共有ストレージにアクセスできること
  • 分散管理ソフトウェアにより組織化および統制されていること

 

各ノードは、基本的にはレンダリング・ファームにあるようなコンピューティングコアやGPUを搭載する専用の“ヘッドレス” マシンでも、あるいは単にポストプロダクション施設のどこかにあるアイドル状態のコンピューターでも構いません。これらのノードは査定されて、リソースを最大限に活用して、目の前のタスクを最適に実行するよう設定されます。例えば、高速なGPUを搭載したマシンは、複雑なビデオのエンコーディングやレンダリングに最適です。一方で、性能の劣るマシンも、オーディオ・ミックスダウンのコンパイルやメディアの統合などの軽い作業には十分活用できます。

 

ジョブに貢献するために注意しなければならないことは、すべてのノードがプロジェクトのマシンで使用されているものと同じメディアと同じサードパーティ製プラグインにアクセスできなければならないということです。

 

分散処理でポストプロダクション・ワークフローを加速する方法

時間を要する演算タスクが関わるところではどこでもワークフロー全体を加速できることから、ポストプロダクションで分散処理システムを利用するメリットが幾つかあります。これには、メディアの取得やトランスコーディングから、タイムライン上での複雑なエフェクトやプラグインのレンダリング、最終的なエクスポートのエンコーディング、ミックスダウン、プロジェクト統合まで、あらゆるものが含まれます。

 

分散処理により、クリエイティブな作業を減速するような “時間がかかる” タスクを飛躍的に加速し、短時間で完了することができます。結果として、クリエイティブな人材の貴重な時間の無駄遣いを避けることができ、プロジェクトのクリエイティブな流れを技術的なタスクで中断されることなく、集中し続けることができます。

 

例えば、キューの中のジョブの優先順位や、ネットワーク上のどのマシンを使用するかなど、多くの場合、一度タスクの詳細を設定したら、次からはジョブごとに選択するだけで、最適な方法で実行できます。

 

分散処理のさらなる利点は、ポストプロダクション・エコシステムから電子ゴミを排除できる可能性です。最新で最高のプロジェクトには適さず、棚に放置されていたり、埋め立て地行きになるような古いマシンが、分散処理ネットワークで有効活用されます。

 

つまり、施設内のすべてのマシンの処理能力を活用し、施設を通過するすべてのプロジェクトのワークフローを高速化する能力により、利用可能なリソースを最大限に活用し、時間とコストの両方を節約することができます。

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