ヘッドフォンを使用してDolby Atmos Mixを作成する

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新しいDolby Atmos Renderer 3.5では、どこでもDolby Atmosで作成でき、さらに優れたバイノーラルヘッドフォン体験が得られるため、作成とリリースをすぐに開始できます。Dolby Atmosを作るのに、大規模なミキシングステージが必要とされた2012年と違って、現在では Pro Tools | Ultimate セットアップと Dolby Atmos Production Suite を使ってヘッドフォンでDolby Atmosミックスを作成できます。

 

バイノーラル

Dolby Atmosは大規模なスピーカー設備を備えた劇場やスタジオでの最高の没入体験型オーディオ(immersive audio experience )として地位を獲得しており、民生用機器業界では上向き天井反射型スピーカーとバーチャル化を活用しながらホームスタジオシステムを通して消費者へDolby Atmo対応機器を提供し続けています。2019年に発売された高機能のAmazonエコースタジオスマートスピーカーに至るまで、あらゆる消費者向けエンターテイメントデバイスでDolby Atmosが体験できるようになりました。

Dolby Atmosのヘッドフォン再生はAmazon FireタブレットでのDolby Atmosの初期のバーチャル化機能以来、可能となりました。現在は、最新版のiOS14で同様の機能があり、AppleのAirPods Proを介してDolby Atmosを再生できます。ただ、これで終わりではありません。

Pro Tools | Ultimate Dolby Atmos パンナー

Pro Tools 用のDolby Atmos Music パンナー AAX プラグイン

ここ数年、バーチャルリアリティを最初のビジネス領域として、Dolbyはバイノーラルレンダリングに注力してきました。その間、専用のパンナーが、オブジェクトの位置情報を設定するだけでなく、以下の三つのレンダーモードのいずれかを設定する為に使用されました。
「Off」モード:オブジェクトのストレート・ステレオ・レンダリングを可能にするモード、「Near」モード:それぞれのオブジェクトが近くに感じるように具現化するモード、「Far」モード:バーチャル環境でのスピーカーコーンに音がよりレンダリングされるようにするモード、の三つです。これらのモードはヘッドフォンを使用する際、再生される音がどのようにリスナーに知覚されるかを設定することを可能にします。それらのコントロールはDolby Atmos Rendererに直接組み込まれ、AAXプラグインからコントロールすることが可能です。

新しいDolby Atmos バイノーラル設定AAXプラグイン

具現化

Dolby Atmosバイノーラルは二つの要素を兼ね備えています。1つ目は「ヘッドモデル」です。これは、一般的なもので、より多くのリスナーに良い経験をしてもらうため、幅広いリスナーの背格好の平均値をとったものです。2つ目は前述した「レンダーモード」です。これらの二つの要素は、同時に使われる時、バーチャルポジションの創造と、いかなるスピーカー再生でも変化をもたらさないヘッドフォンによる音の再生のコントロールを可能にします。

最新バージョンのレンダー(v3.5)では、ヘッドフォンによるDolby Atmos体験の解像度と再現性が大幅に向上しています。

 

ヘッドフォンはどれを使用するべきですか?

どのヘッドフォンでもこの体験を得ることは可能です。2チャンネルのレンダリングはDolby Atmos Renderer内で生じているからです。しかし、Bluetoothではなく、有線のヘッドフォンの使用を推奨します。

 

ヘッドフォン ミックスを別に作成する必要はありますか?

いいえ、ミックスに関連づけられたメタデータにより、2つの別々のミックスを必要とせずに、スピーカーとヘッドフォンで再生できる様に多数の楽曲が制作されています。メタデータはエンコーダが再生デバイスに最適化された変換を行うのに使用されます。現在、AC4-IMSコーデックはAndroidデバイスのTidal HiFiで使用され、Dolby Atmosバイノーラル体験を提供しています。

 

何が必要ですか?

Pro Tools | Ultimateとthe Dolby Atmos Rendererがあれば、全ての異なるフォーマットをミックスし、モニターすることや、再レンダリングやバイノーラルモニタリングのような、より多くの拡張機能を使うことを可能にします。Dolby Atmos Renderer 3.5の導入と一緒に、DolbyはDAWのセッションファイルに組み込まれた無料のバイノーラル設定プラグインも導入しました。このプラグインは内部のプラグインからDolby Atmosセッション内のオーディオチャンネルのバイノーラルレンダーモードを設定することが可能で、メタデータの簡単で一貫したリコールを提供します。これは、配信に必要なBWAV ADMにバウンシングする際に含まれます。

ヒント、トリック、デフォルト

デフォルトでは、Dolby Atmosミックスの全てのチャンネルはバイノーラルレンダリングに「Mid」設定を使用します。これにより、全てのミックスにおいてバイノーラル体験が可能なエンコードと再生ができるようになります。バイノーラルレンダーモードに設定する事によって、リスナーにその体験をしてもらうことができます。

音楽の世界では、「mullet」レイアウトが多くのミキサーのなかで人気になっています。フロント (L C R)の「Near」、 サイド(Lss Rss)の「Mid」、オーバーヘッドとリア(Lt, Rt, Lsr, Rsr)の「Far」です。このレイアウトはベッドチャンネル用です。リズミカルな要素はよく「Near」モード、パッドは繊細な「Far」モードに割り当てられます。これらは厳格に決まっているわけではないので、いろいろ試してみることをお勧めします。

例えば、オーケストラのソリストは、より存在感のある「Near」モードの代わりに、部屋の形に沿ってもう少し作業ができるように「Far」モードに設定することによって、よりメリットが得られるでしょう。同様に、同じ位置のオブジェクトをレンダーモードでミキシングとマッチングすることで、ヘッドフォンで聴いた時により深みが出るでしょう。

ファイナルミックスをAvidPlayを通して配信する前に、Dolby Atmosスピーカーのあるミキシングルームのスピーカー、もしくはスピーカーベースの環境でミックスを聴くか、Dolby Atmos Rendererからエクスポートしたmp4ファイルを使用して民生用システムでファイナルミックスをチェックすることをお勧めします。

Dolby Atmos Musicを知る

Dolby Atmosがどのように音楽に空間、明瞭さ、深みをもたらし、曲の中にあなたを引き込む全く新しいリスニング体験を生み出すかを探ります。

Content and Studio Enablement for Dolby Music — Following a career in the film and television industry, Ceri joined Dolby to drive workflow developments for Virtual Reality before turning his attention to Dolby Atmos music. He now works with mixers, engineers, producers and labels to provide solutions for them in creating immersive music.