モバイル・ジャーナリスト

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“電話で済ます”とは、おざなりにするという意味で使われてきましたが、今日、電話取材する記者は、手抜きをしているわけではありません。むしろ、モバイル・ジャーナリストの役割を受け入れているだけです。

従来の現場取材では、記者とカメラマンがチームを組み、重くて扱いにくい機材を使って、インタビュー、Bロール、記者の現場レポートを撮影します。それから、ニュースルームに戻って、放送用の原稿を書き、編集します。モバイル・ジャーナリストまたは “モジョ(Mojo)” は、現場でスマホやタブレットを使ってストーリーを伝える術を学び、装備をしています。その結果、プロセスを加速、機材コストを削減、少ない人数で多くのことをこなします。

この新しい取材形態を採用している放送局もありますが、他の放送局は、モバイル・ジャーナリズムは従来の取材の質に及ばず、既存のワークフローに取り入れるには複雑という根強く残る認識によって踏み出せずにいたようです。コロナ禍と在宅勤務が必須になったことで、できることにやっと目が向けられました。

ドバイの放送局アルアラビーヤの例を見てみましょう。コロナ禍で孤立を余儀なくされた時、クルーは現場から映像を撮影するためにスマホを利用しました。アルアラビーヤのオペレーション・ディレクターであるルーバ・イブラヒム(Ruba Ibrahim)氏は、スマートフォンの画質の高さと使いやすさを称賛します。

「今では、記者がライブ中継のソリューションを求めた時に、これを採用することが多くなっています」 とMaking the Mediaポッドキャストで話しました。

スマートフォンのパワー

最新のスマートフォンは、ジャーナリズムにおけるスイス・アーミー・ナイフです。スマホを携えた記者は、写真や動画を撮影し、適切に編集して、現場から速報をライブ中継することさえできます。それもわずか数タップで。

スマホは小さく、軽くて邪魔にならず、現場の記者はこれまで以上に機動的かつ自由に動き回ることができます。デジタル技術の急速な進化により、最新モデルのスマホで撮影した動画は、プロ用のテレビカメラやDSLR(デジタル一眼レフカメラ)と比べても遜色ないばかりか、勝ることもあります。さらに、充実したモバイル・ジャーナリズム向けのツールが、放送品質のオーディオや照明を提供します。

モバイル・ジャーナリストの取材に個人のスマホを使用させるのは魅力的かもしれません。しかし、放送局が同じメーカー、同じモデルのスマホに同じアクセサリを装備したキットを用意するほうが良いでしょう。共通したツールセットは、トレーニングやトラブルシューティングが容易になります。とは言え、モバイル・ジャーナリストは大概、通信用と技術的な問題が起こった場合のバックアップとして、いつも自分のスマホを所持しています。

 

モバイル・ジャーナリズムのワークフロー

モバイル・ジャーナリズムは、多くの報道媒体や放送局がすでに採用しているデジタル主体のワークフローに無理なくフィットします。競争の激しい報道環境において、現場からスマホより速く速報を伝えられる方法はありません。記者は、ネットワークにアクセスできさえすれば、数分で “生” 配信できます。今日の視聴者が最初にニュースに触れる傾向にあるソーシャル・メディア・プラットフォームにコンテンツを直接公開することができます。

Avidのグローバル・マーケティング担当バイス・プレジデントのコリーン・スミス(Colleen Smith)は、TVTech電子書籍 『The Newsroom of the Future(英語)』 において、「モバイル・ジャーナリズムが話題に上がりだした当初、人々はニュースルームで行ったことのすべてを、現場の記者にも提供しようと試みました。しかし、本当に必要なのは、ツールを変えて、必要なツールを与えることです。」 と話します。

MediaCentralなどの堅牢なメディア・ワークフロー・プラットフォームは、ニュースルームのワークフローにモバイル・ジャーナリズムを統合するための鍵となります。シンプルで使いやすいグラフィカルなウェブ・インターフェースを使って、記者はどこからでもタスク、プロジェクト、アセットにアクセスできるだけでなく、トランスコードや編集用に生動画をアップロードすることも可能です。

 

モバイル・ジャーナリズムの考え方

モバイル・ジャーナリズムでは、必要となるツールが異なると同時に考え方も異なります。小型で安価な機材を記者が使っているからと言って、完成品の品質が低下するわけではありません。モバイル・ジャーナリストは、技術的にも編集的にも、従来の取材チームと同等の高い水準を満たすことが期待できますし、またそうでなければなりません。

アイルランドRTÉのデジタルネイティブ・コンテンツ編集者フィリップ・ブロムウェル(Philip Bromwell)氏は、モバイル・ジャーナリストのチームと一緒にやろうとしているのは、「これらの日常的なモバイル機器を使って、放送品質のコンテンツを作ることが完全に可能であるという考えを売り込むこと」 だとMaking the Mediaポッドキャストで語っています。彼は “モバイルの考え方”、つまり新しいことや違うことに挑戦する熱意で人を採用し、スキルは二の次です。

ブロムウェル氏は、モバイル機器は大型カメラほど習得が容易ではないものの、適切なトレーニングをうけることができると言います。新しいツールやワークフローと同様に、トレーニングと情報文書、実践のためのリソースと時間の組み合わせによって、記者はモバイル・ジャーナリズムのスキルに自信を持つことができます。

コロナウィルスの世界的な大流行により、特にリモート・コラボレーションに関しては、新しいワークフローや新しい技術の受け入れが加速しました。予算は縮小し、複数プラットフォームでのコンテンツに対する需要は拡大、モバイル技術は継続的に進化する時代において、モバイル・ジャーナリストの居場所が存続するのは間違いないでしょう。

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