ミキサーのアンドリュー・シェップスが、HDXのハイブリッド・エンジンが音楽制作におけるゲーム・チェンジャーである理由を説明します

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Pro Tools | Ultimate            Pro Tools | HDX

Pro Tools | HD Native             Pro Tools | MTRX

Avid S1                                 Avid Dock

アンドリュー・シェップスは、メタリカ、アデル、レッド・ホット・チリペッパーズ、ビヨンセ、グリーン・デイ、ジェイZ、U2、マイケル・ジャクソンなど、世界で活躍するアーティスト達と仕事をしてきた、とても尊敬されている音楽ミキサー、プロデューサー、エンジニアです。

彼はアデルのアルバム「21」で受賞した「アルバム・オブ・ザ・イヤー」を含む、3つのグラミー賞を受賞しました。長年の活躍と数々の業績にもかかわらず、彼は驚くほど謙虚で、常に技術の向上を目指しています。

 

シェップス:「私はまだまだです。自分が何をしているのかわからない。私よりもずっと上手な人がたくさんいるので、より良いものを作ろうと、いつも努力しています。」

 

彼は、デジタル・レコーディングの最前線にいました。 マイアミ大学でオーディオ・レコーディングの学位を取得してすぐに、Synclavierデジタル・シンセサイザーのメーカーであるNew England Digitalに就職しました。その後、Sound Tools(Pro Toolsの前身)を使い始める事となり、それ以来シェップスはキャリアを通じてPro Toolsを使用してきました。

 

シェップス:「テクノロジーに対して常に好奇心が強く、大好きでした。レコードを作ったり、スタジオに居たりすることで、テクノロジーと向き合えると知ったとき、それが私のやりたかったことだと気づいたのです。」

 

長年にわたり、彼は多数のアーティストの音楽制作に携わり、そして90年代半ばのPro Tools III NuBusから今日のPro Tools | HDX とPro Tools | HD NativeまでのPro Toolsの多くの進化を通じて、彼は技術を磨き、進歩させてきました。しかし、彼のミックスがより大きく、より複雑になるにつれて、HDXシステムのすべてのDSPを使用するようになると、彼はHD Nativeを使用してプロジェクトをミックスし、HDXでトラッキング・タスクを処理するようになりました。 このデュアル・リグのセットアップは長年にわたって役立ちましたが、彼がPro Tools | UltimateでHDX用の新しいハイブリッド・エンジンのベータ・テストを開始したとき、状況は変わりました。

シェップスの以前のスタジオであるPunkerpad Westは、
ヴィンテージ・アナログ・ギアで壁一面に埋め尽くされていました。

ハイブリッド・エンジン—HDXにより多くのパワーをもたらします

オーディオ・ミキサーがHDXシステムのDSPを必要とする代わりに、ハイブリッド・エンジンを使用すると、プロジェクトを完全にネイティブ・モードでミキシングでき、ボタンを押すだけでいつでもトラックをDSPモードに切り替えて録音できます。 シェップスはすぐにその利点に気付きました。

 

シェップス:「ハイブリッド・エンジンは、Pro Toolsの長い歴史上で一番大きなゲーム・チェンジャーとなるものです。私は、HDXカードを、ロー・レイテンシーのトラッキングに使用することはあっても、ミキシング作業には使っていませんでした。」

 

これは、彼がミキシングに使用するプラグインの80〜90%をAAXネイティブプラグインで賄っているからです。これらのプラグインは、大規模なセッションをHDXでミキシングするときにハイブリッド・エンジンを使用しない場合、すぐに多くのボイスを使いきってしまうという可能性があります。

 

シェップス:「これまでは、レコーディング用のHDXリグを使った後、ミキシング用にHD Nativeカードに切り替えていました。セッションが大きくなると、AAXネイティブ・プラグインで生じるラウンド・トリップによって、ミキサーがHDXカード全体を占有するため、DSPが足りなくなってしまっていたのです。」

 

DSPプラグインの後に、ネイティブ・プラグインをインサートすると、HDXとホスト・コンピューターの間でラウンド・トリップが生じ、利用可能なボイス数が減るという技術的な課題に直面していたのです。

 

シェップス:「私がハイブリッド・エンジンをテストした最初の日に、その問題が完全に解決していることに気づきました。

もうハイブリッド・エンジンを搭載したHDXカード・プラットフォームでのミックス以外は考えられません。 これは、現在存在する中で最も効率的なPro Toolsシステムだと断言できます。

 

また、2つのシステム間を移動する必要がなくなったため、レコーディング時における、ワークフロー上のストレスが大幅に軽減されました。

 

シェップス:「オーバーダブを行いたい場合は、[DSPモード]ボタンを押すだけで、オーバーダブを行えます。レコーディングをする前によく考えることはありません。お尻が痛くなるので熟考したくないという理由ではなく、それ以外の方法では、私が録音しているものを正確に聴くことはできないからです。今、私は録音しているものを絶対的に正確に聴いています。それは本当に素晴らしい事です。作業中にトラックをDSPモードに変更してロー・レイテンシーのモニタリングを得ることができるという事実は、私にとって、まさに必要不可欠な要素なのです。」

 

彼は、システム全体からパフォーマンスが大幅に向上していることも気づいています。

 

シェップス:「ステレオをミキシングする時でもわかります。ハイブリッド・エンジンを使用したシステムの負荷は、HD Nativeカードを使用した場合よりも実際に少なくなります。より少ない再生エラーやDSPエラーにより、ステレオの場合であっても、はるかに高速にミキシングできます。新しいコンピューターを手に入れたような気になります。実際にそうです。ハイブリッド・エンジンまでは、Mac Proの購入を真剣に検討していました。ですが、所有しているiMac Proでも、私がしていることの全てに対して問題がありません。現在、大規模なセッションを実行していますが、CPU使用率が20%を超えることがないのです。」

人気の高いシェップスのセミナーは定期的に開催され、ミキシングのアプローチと方法を共有します。

Dolby Atmosの可能性を探る

ハイブリッド・エンジンによってHDXでのフルタイムのミキシングに戻ることができるようになった今、シェップスは、Dolby Atmos®で音楽をミキシングする機能など、HD Nativeシステムでは不可能だったクリエイティブな機会を実現化しています。

 

シェップス:「全てのI / Oが使用可能になりました。これは、Atmosミュージックに移行する上で非常に重要です。すでに所有しているものをこんなにもアップグレードできるとは、まさにクレイジーです…今日、後ろにあるスピーカーをAtmos用に吊るしました。これには、128のI / Oが必要であり、HD Nativeカードでは不可能でした。Dolby Atmos Renderer(レンダラー)に128のI / Oを割り当てると同時に、ネイティブ・ミキサーを実行できることで、Atmos用のミキシングについて考えることもできます。ハイブリッド・エンジンなしでは絶対に不可能です。」

 

ハイブリッド・エンジンは、Pro Toolsの長い歴史上で一番大きなゲーム・チェンジャーとなるものです。

数週間後、私たちは、Dolby Atmosミュージックをミキシングするというシェップスの冒険がどのように進んでいるかを確認をしに行き(彼のスタジオは現在、正式にDolby認定を受けています)、ミックスへの通常のアプローチからの最大の変化は何であったかを見つけ出しました。

シェップスは、Dolby Atmosのミキシング用に現在のスタジオを装備し、Pro Tools | HDX、
2つのAvid S1、Avid Dock、および9.1.4アレイのPMCモニターを完備しています。

シェップス:「それはあらゆる角度から見ても、ミキシングの方法が全く異なったものになります。最も大きな違いは、ミックス・バスがないことです。ステレオ・ミュージック・ミキシングでは、ミックス・バスを使い、その作業においても大きな部分を占めています。Atmosでは、考え方を変える必要があります。ミックス・バス・スタイルの処理方法と、同様に多用するパラレル・プロセッシングを行うため、いくつかのクリエイティブな方法を思いつき対応していますが、基本的には、全く異なるものだと考える必要があります。もう1つは、劇場用のAtmosはスピーカー・ベースの再生メディアであるのに対し、Atmosミュージックはスピーカーよりもバイノーラル再生されることが多いため、ヘッドフォンにどのように変換されるかを十分に注意しておく必要があります。」

 

そして彼は、ハイブリッド・エンジンが没入型フォーマットへの進出を可能にする上でどれほど重要であったかを繰り返し述べています。

 

シェップス:「クラシックHDXエンジンでは絶対にミックスできませんでした。ハイブリッド・エンジンは、ネイティブ・ミキサーを使用しながら、必要な数のI / Oとボイスを利用できるため、Atmosミュージックを含む大規模のミキシングが可能になります。」

 

現在、彼はステレオ・ミックスだけでなく、クライアントにより多くのクリエイティブなオプションを提供できると述べています。 Apple Music、Amazon Music HD、TIDAL HiFiがすべてDolby Atmosミュージック・ストリーミングをサポートするようになりましたが、彼はそれらの要求に応える準備ができています。

Dolby Atmosは、Dolby Laboratoriesの登録商標です。
© 2020 Avid Technology, Inc. All rights reserved. Avid、Avidのロゴ、Avid Everywhere、iNEWS、Interplay、ISIS、AirSpeed、MediaCentral、Media Composer、Avid NEXIS、Pro Tools、Sibeliusは、米国とその他の国またはそのいずれかにおけるAvid Technology, Inc.またはその子会社の商標または登録商標です。「Interplay」の名称は、Interplay Entertainment Corp.の許可に基づいて使用しています。Interplay Entertainment Corp.は、Avid製品に関していかなる責務も負いません。その他の商標はすべて、各社が所有権を有します。製品の機能、仕様、システム要件および販売形態は予告なく変更されることがあります。

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