Pro Tools に搭載されて久しいプレイリストは、録音セッションのテイク整理や演奏の最高の瞬間を合成する編集で使用するパワフルな機能です。トラック内に収められたバーチャル・レーンであるプレイリストを使い、タイムライン上の位置リファレンスを維持しながら、同じトラックで複数のテイクを録音、保存、編集することができます。Pro Tools 12.6では、波形ビュー(Shift +上下矢印)でプレイリスト操作のショートカット、録音中および編集中にクリップが重なる時にプレイリストを自動作成する設定、利用可能なプレイリストとトラックを一目で識別できる新たなビジュアル・フィードバックなど、プレイリストの機能が改善されました。
Pro Tools 2018.1では、高速かつ効率的なワークフローを実現するプレイリストを活用するためのさらなる機能強化をリリースします。これまで、異なるテイクから最高の瞬間を素早く編集するには、複数マイクを使用する状況で最善の編集を行う場合、スクリーンの大部分を占領してしまうエディット・ウィンドウのプレイリスト・トラック・ビューで行うか、プレイリスト選択メニューを使ってテイクを探し、プレイリスト間でクリップを手作業でコピー&ペーストしなくてはなりませんでした。
今回、Pro Toolsにはクリップの選択肢を任意のプレイリストに送ることができるターゲット・プレイリストが搭載されます。ターゲット・プレイリストは、様々な方法で選択できますが、プレイリスト選択メニューを開き、新しいターゲット・プレイリスト選択メニューで、ターゲットになるプレイリストを指定すると、ターゲット・アイコンの隣に青字で表示されます。

プレイリスト選択メニューに埋め込まれた新しいターゲット・プレイリスト
プレイリスト・トラック・ビューでは、新しいターゲット・プレイリストのボタンが青色に変化します。これをクリックすると、プレイリストをターゲットとして割り当てることができます。また、キーコマンド(下記コマンド表を参照)を使って、編集選択範囲を含むトラックのターゲット・プレイリストを割り当てることができます。

プレイリスト・トラック・ビューでターゲット・プレイリスト・ボタンをクリックしてターゲットを選択可能
ターゲット・プレイリストがメイン・プレイリストである場合、または、複数のプレイリストを含むトラックでターゲット・プレイリストが割り当てられていない場合にも、プレイリスト・セレクターは青くなります。メイン・プレイリスト・ビューにターゲット・プレイリストが表示されない場合、セレクターはオレンジ色に変わります。

プレイリスト・セレクターは重要な情報を色分けして表示
新しいショートカットを使って、波形ビューやその他のトラック・ビューからターゲット・プレイリストへクリップの選択を素早くコピーまたは移動することができます。いつでも指定したターゲット・プレイリストをメイン・プレイリストに素早く呼び出し、最後に表示された2つのプレイリスト間で切り替えることもできます。
Shift + Command + 上矢印 (Mac) | 前のプレイリストからオーディオを順送りする |
Shift + Command + 下矢印(Mac) | 次のプレイリストからオーディオを順送りする |
Shift + Opt + 上矢印 (Mac) | 選択をターゲット・プレイリストにコピー |
Shift + Opt + T (Mac) | 選択をターゲット・プレイリストに移動 |
Shift + Command +右矢印 (Mac) | 編集選択範囲を含むトラックのターゲット・プレイリストにメイン・プレイリストを指定 |
Shift +右矢印 | ターゲット・プレイリストをメイン・プレイリストに取り込む |
Shift +左矢印 | 最後に見た2つのプレイリスト間で切替 |
*プレイリストでのワークフローを加速するために作られたキーコマンド
これらのキーコマンドは全てEuCon対応です。S6、S3、DockおよびフリーアプリのPro Tools Control iPadアプリ等のAvidコントロール・サーフェス上でソフトキーとして使用し、素早く簡単なアクセスを実現します。

Pro Tools Control iPadアプリでは、新しいプレイリスト・コマンドをソフトキーとして割り当て可能
波形ビューでテイクの素早い編集を可能にすることで、複数マイクの場合(ドラム、ホーン、コーラスなど)にも、画面を有効活用して、編集時に全チャンネルをモニターすることができます。他のツールやプラグイン用に保存された画面割当てを使用することも可能です。
加えて、選択範囲のみのオーディオ切換機能により、メイン・プレイリストにコンプを維持しながら、他のプレイリストの選択範囲内のオーディオのみを素早く試聴して、ペーストすることができます。ホーム・アイコンが現われたら、元のオーディオに戻ったことがわかるようになっています。

選択内の他のテイクからオーディオを順送り可能
ユーザー・カスタマイズに対応するプレイリスト初期設定も、初期設定>編集>トラックに新たに追加されました。

赤線で囲まれた部分はPro Tools 2018.1の初期設定。青線で囲まれた部分は12.6に追加された設定。
これらの機能強化には、便利なビジュアル・インジケーターが付属し、新機能での作業をサポートします。
青いターゲット・アイコン -メイン・プレイリストとして表示されたプレイリストが、ターゲット・プレイリストとして指定されている
グレイのターゲット・アイコン -メイン・プレイリストとして表示されたプレイリストが、ターゲット・プレイリストとして無効になっている(“ターゲット・プレイリストに指定”の取消を実行した後)
緑のチェックマーク -クリップの選択がターゲット・プレイリストに正常に送られた
赤丸に斜線 -ターゲット・プレイリストに含まれたクリップの選択を、ターゲット・プレイリストに送れない
これまで、プレイリストを使用することで、ユーザーは効率的に作業し、録音された素材から最高のテイクを抽出してきました。そして今、Pro Tools 2018.1が、編集フローをさらに加速し、よりスムーズにします。アップグレード・プランまたはサブスクリプション契約中の全てのユーザーは、本機能を含む多くの新機能を搭載するPro Tools 2018.1をご利用いただけます。
*ビデオは日本語字幕がご利用いただけます。表示されない場合は、右下の字幕ボタンで設定してください。