Pro Tools | MTRX 導入事例:カプコン bit MASTER studio

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『ストリートファイター』や『バイオハザード』、『モンスターハンター』など、数々のヒット作品を世に送り出してきた日本を代表するゲーム・メーカー、カプコン。同社のゲームはサウンド面でも高く評価されていますが、そのプロダクションの要となるのが、“bit MASTER studio”と名付けられた自社スタジオです。本社(大阪市中央区)近くの研究開発ビル内に開設された“bit MASTER studio”は、いち早くICON D-Controlシステムを導入したスタジオとして知られ、2015年にはそのICONシステムをPro Tools | S6システムにリプレース。カプコンのゲーム・サウンドのほとんどが、このスタジオから紡ぎ出されています。

カプコン bit MASTER studioの“Dubbing Stage”

そんなカプコンは昨年、“bit MASTER studio”をリニューアル。Pro Tools | S6システムが導入されたStudio Aには新しいオーディオ・インターフェースとしてPro Tools | MTRXが導入され、またコンパクトなStudio BのコンソールはPro Tools | S3Pro Tools | Dockの組み合わせに更新されました。リニューアルを機に、Studio Aは“Dubbing Stage”、Studio Bは“Dynamic Mixing Stage”へと名称も変更された“bit MASTER studio”。その狙いについて、株式会社カプコン プロダクション部サウンドプロダクション室の瀧本和也氏は次のように語ります。

 

「現在のワークフローに合わせて、環境をアップデートしようというのが、今回のリニューアルの狙いです。と言うのも、この1〜2年の間に僕がスタジオで行う作業がかなり変わってきたんです。これまで大きなタイトルのゲームですと、“カット・シーン”と呼ばれる映画のワン・シーンのようなムービーが必ず挿入されていたんですが、昨年発売した『バイオハザード7 レジデント イービル』ではカット・シーンが完全に無くなり、映像的なシーンはすべてゲームのプログラムとして流れるようになったんです。それであれば、スタジオを大幅にアップデートして、“プログラムのためのミックス”をやりやすい環境にしようということですね」(瀧本氏)

“Dubbing Stage”に導入されたPro Tools | MTRX

関西では導入第一号機となった“Dubbing Stage”のPro Tools | MTRX。瀧本氏は音質面はもちろんのこと、モニター・コントローラーとしての機能面も高く評価しています。

 

「以前はタックシステム VMC-102を使用していたのですが、Pro Tools | MTRXはPro Tools | S6のサーフェースから完全にコントロールできるのが素晴らしいですね。これにより昔のコンソールのような感覚でモニター・コントロールをすることが可能になりました。導入したPro Tools | MTRXは、現状AD/DAカードは装着していないのですが、将来的にはAD/DAカードを装着して、すべてのアナログ入出力をここに集約することも考えています」(瀧本氏)

 

一方、“Dynamic Mixing Stage”は部屋の音響施工からやり直され、新たに7.1.4chのモニタリング・システムを導入。これによりDolby Atmos/DTS:Xに準拠した3Dオーディオ対応スタジオへと生まれ変わりました。

 

「ここ数年の間に“ゲームで3Dオーディオを”という気運が確実に高まってきているので、いよいよ真剣にハイト・スピーカーを使った音響を考えていかなければならないだろうと。3Dオーディオにはいろいろなフォーマットがありますが、現状ゲームの世界ではDolby Atmosが一歩リードしており、同じ配置でDTS:Xもカバーできるため、7.1.4chのモニタリング・システムを導入することにしました。また、ハイト・センター/トップにスピーカーを追加することで、Auro3D 13.1chにも対応します」(瀧本氏)

音響施工から完全にやり直された“Dynamic Mixing Stage”

“Dynamic Mixing Stage”の中心となるのは、HDXカード2枚のPro Tools | HDXシステムで、オーディオ・インターフェースはPro Tools | HD MADIとDirectOut Technologies ANDIAMOの組み合わせを採用。そしてICON D-Controlに替わるサーフェースとして、Pro Tools | S3とPro Tools | Dockの組み合わせが導入されました。

 

「“Dynamic Mixing Stage”では、ゲーム開発機でのミックスが多くなるのですが、プロモーション・ビデオの制作や音楽ミックスで使うことがあるので、Pro Tools環境はしっかり整えました。Pro Tools | S3とPro Tools | Dockの組み合わせによって、導入コストを抑えながらも、ハイ・レベルなミキシング環境になったのではないかと思います」(瀧本氏)

“Dynamic Mixing Stage”に導入されたPro Tools | S3とPro Tools | Dock

“Dynamic Mixing Stage”に導入されたPro Tools | S3とPro Tools | Dock

3Dオーディオのミキシングについてはまだ実験段階とのことですが、いずれはカプコンから対応タイトルがリリースされるのは間違いないでしょう。瀧本氏も3Dオーディオは非常に大きな可能性を秘めていると語ります。

 

「3Dオーディオのミキシングを実験していて感じるのは、映画とはまた違った可能性がゲームにはあるということです。ゲームではプレイヤーに与える情報として、音の定位を利用することが多くあります。例えば敵や仲間の位置、銃撃されている方向など……。上方向という定位はゲーム・プレイをかなり熱くしてくれますから、そこは実現してみたいポイントです。それにゲーム開発において音は、言ってみればすべてが座標で管理されたオブジェクトなわけですから、ゲームと3Dオーディオの親和性は非常に高いと感じています。将来、このスタジオで3Dオーディオのミックスをするのが今から楽しみですね」(瀧本氏)

株式会社カプコン プロダクション部サウンドプロダクション室の瀧本和也氏

株式会社カプコン プロダクション部サウンドプロダクション室の瀧本和也氏

カプコン

http://www.capcom.co.jp/

 

CAP’STONE(カプコン・サウンド・チーム 公式Web)

http://www.capcom.co.jp/sound/

Pro Tools | MTRX

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Pro Tools | S6

Avid Pro Tools | S6は、モジュール式設計であり、構成されたシステムを選択するか、または独自のシステムを構築することが可能です。