分散処理(Distributed Processing)とその仕組みについて

By in ニュース・トピックス, ビデオ
image_pdfimage_print

メディアのトランスコーディング、エクスポート、ミックスダウンなどは、ポスト作業中に膨大な時間を使いますが、納期が厳しいチームにはその余裕がありません。エディターやカラリストを含むポストのプロフェッショナルのクリエイティブな思考や流れを中断するこれらの要素は、時間のロスだけでなく、創造性の喪失にも繋がります。そこで登場するのが分散処理です。

 

分散処理とはどのようなもので、ポストプロダクションのワークフローをどのように変えることができるのでしょうか?

 

分散処理とは、基本的に複数のコンピューティングコアを同時に使用することです。これにより、1台のコンピューターで実行する場合よりも、レンダリングが劇的に高速化します。“これが世界を一変させる”と、アカデミー賞7部門受賞作品 『ゼロ・グラビティ』 のCGスーパーバイザー、クリス・ローレンス(Chris Lawrence)氏は言います。

 

「 『ゼロ・グラビティ』 をシングル・プロセッサ搭載のシングル・コアマシンでレンダリングして、2013年の映画公開に間に合わせるには、エジプト文明以前に開始しなければなりませんでした。」

インサイダー』 によると、2019年時点で、世界最大級のレンダリング・ファームを有するPixar社でさえ、超緻密な 『トイ・ストーリー4』 の1フレームをレンダリングするのに、60時間から160時間かかっています。

 

これらの大規模例は、分散処理の威力と、分散処理があらゆる規模のプロジェクトで作業するポストプロダクションのプロフェッショナルにとって、不可欠である理由を示しています。制作会社は、利用可能なすべてのコンピューティング・リソースを活用してワークフローを高速化し、クリエイティブなアーティストの限られた資産である “時間” を最大限に活用することができます。

 

しかし、これはどのように機能するのでしょう?また、大規模レンダリング・ファームがない場合でも、分散処理を利用するにはどうすればよいでしょう?

 

分散処理とは

分散処理(Distributed Processing)では、複雑な演算タスクをネットワーク上の個別マシン(またはノード)に分割します。それぞれのマシンが割り当てられたタスクを完了して送り返すと、1つのシームレスな出力にコンパイルされます。

 

クラウドで実行されるあらゆるものが、ネットワーク・サーバーを効率的に使用して特定のタスクを処理しているように、現代社会の大部分は分散処理に依存しています。他の例としては、ブロックチェーン・ファーム、大規模多人数同時参加型オンラインゲーム(MMO)、仮想現実コミュニティ、視覚効果やアニメーション映画のレンダリング・ファームなどがあげられます。

 

現在、ほとんどのポストプロダクション・ソフトウェアは、ローカルの共有ネットワークを介してマシンにアクセスするか、クラウドベースのレンダリング・システムにレンダリング・ジョブをアップロードして結果をダウンロードするなど、何らかの方法で分散処理を活用することができます。これらのプロセスを調整、変更、追跡、優先順位付けする機能は、施設やコンテンツ制作チームにさらに多くのメリットや制御を提供します。

 

分散処理の仕組みについて

特定のジョブを順次実行するのではなく、タスクをセグメントに分割してネットワーク上に分散し、並行して実行する分散処理では、処理時間を大幅に短縮することができます。

 

分散処理の基本要件:

  • 個々の作業者やノードのネットワーク
  • それぞれが同じ共有ストレージにアクセスできること
  • 分散管理ソフトウェアにより組織化および統制されていること

 

各ノードは、基本的にはレンダリング・ファームにあるようなコンピューティングコアやGPUを搭載する専用の“ヘッドレス” マシンでも、あるいは単にポストプロダクション施設のどこかにあるアイドル状態のコンピューターでも構いません。これらのノードは査定されて、リソースを最大限に活用して、目の前のタスクを最適に実行するよう設定されます。例えば、高速なGPUを搭載したマシンは、複雑なビデオのエンコーディングやレンダリングに最適です。一方で、性能の劣るマシンも、オーディオ・ミックスダウンのコンパイルやメディアの統合などの軽い作業には十分活用できます。

 

ジョブに貢献するために注意しなければならないことは、すべてのノードがプロジェクトのマシンで使用されているものと同じメディアと同じサードパーティ製プラグインにアクセスできなければならないということです。

 

分散処理でポストプロダクション・ワークフローを加速する方法

時間を要する演算タスクが関わるところではどこでもワークフロー全体を加速できることから、ポストプロダクションで分散処理システムを利用するメリットが幾つかあります。これには、メディアの取得やトランスコーディングから、タイムライン上での複雑なエフェクトやプラグインのレンダリング、最終的なエクスポートのエンコーディング、ミックスダウン、プロジェクト統合まで、あらゆるものが含まれます。

 

分散処理により、クリエイティブな作業を減速するような “時間がかかる” タスクを飛躍的に加速し、短時間で完了することができます。結果として、クリエイティブな人材の貴重な時間の無駄遣いを避けることができ、プロジェクトのクリエイティブな流れを技術的なタスクで中断されることなく、集中し続けることができます。

 

例えば、キューの中のジョブの優先順位や、ネットワーク上のどのマシンを使用するかなど、多くの場合、一度タスクの詳細を設定したら、次からはジョブごとに選択するだけで、最適な方法で実行できます。

 

分散処理のさらなる利点は、ポストプロダクション・エコシステムから電子ゴミを排除できる可能性です。最新で最高のプロジェクトには適さず、棚に放置されていたり、埋め立て地行きになるような古いマシンが、分散処理ネットワークで有効活用されます。

 

つまり、施設内のすべてのマシンの処理能力を活用し、施設を通過するすべてのプロジェクトのワークフローを高速化する能力により、利用可能なリソースを最大限に活用し、時間とコストの両方を節約することができます。

© 2021 Avid Technology, Inc. All rights reserved. Avid、Avidのロゴ、Avid Everywhere、iNEWS、Interplay、ISIS、AirSpeed、MediaCentral、Media Composer、Avid NEXIS、Pro Tools、Sibeliusは、米国とその他の国またはそのいずれかにおけるAvid Technology, Inc.またはその子会社の商標または登録商標です。「Interplay」の名称は、Interplay Entertainment Corp.の許可に基づいて使用しています。Interplay Entertainment Corp.は、Avid製品に関していかなる責務も負いません。その他の商標はすべて、各社が所有権を有します。製品の機能、仕様、システム要件および販売形態は予告なく変更されることがあります。

Avid Media Composer

一流の映画、テレビ、放送局のエディターが使用するツールでストーリー制作を加速します。4K/UHD の編集もこれまでになくスピーディかつ簡単に行えます